橋本祥路

『時の旅人』指揮の基本・振り方のコツ【合唱歴5年以上の指揮者が解説】

時の旅人指揮のコツ
男の子
男の子
『時の旅人』の指揮をすることになった! でも何をどうやったら良いのか分からないな。ポイントやコツを教えて欲しいです。

こんな疑問に答えます。

この記事では合唱歴10年以上、合唱指揮者歴5年以上の筆者が『時の旅人』(深田じゅんこ 作詩・橋本祥路 作曲)の指揮の基本とコツについて解説しています。

次の練習番号に沿って解説していきます。

『時の旅人』の練習番号
  • 冒頭…1~10小節
  • A…11~18小節
  • B…19~23小節
  • C…24~31小節
  • D…32~43小節
  • E…44~51小節
  • F…52~59小節
  • G…60~65小節
  • H…66~80小節

すぐに実践できるようにポイントを絞ってお伝えします。

これらに取り組めば、あなたの指揮も必ずレベルアップするはずです。

ぜひ最後までご覧ください。

教育芸術社「混声合唱曲集クラス用 キミウタ」に収録されている楽譜を参考にし、本文中で歌詩を引用する場合には「””」で示しています。

こちらの記事(【まとめ】初心者のための指揮法完全ガイド|合唱指揮者が基礎から解説)では指揮法を学ぶ上で知っておきたい知識をまとめています。あわせてご覧ください。

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『時の旅人』指揮の基本【拍子・テンポ・曲想をチェック】

まずは『時の旅人』を指揮するにあたって基本事項を確認しておきましょう。

ざっくりとまとめると以下のようになります。

  • 拍子…4/4拍子
  • 最初のテンポ…4分音符=92
  • 曲想…メロディーはなめらかに、ときおり語るように

指揮の方法としては、オーソドックスな普通の4拍子で、基本的になめらかな動きで振るのが適していると言えます。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
練習番号ごとの細かいポイントについては次から解説していきます!

『時の旅人』指揮のコツ【練習番号ごとに解説】

ここからは練習番号ごとに指揮のコツを解説していきます。

これらのポイントを確実に押さえることが重要です。

【冒頭】ピアノの前奏のffを引き出そう

【冒頭】では2小節の前奏があります。

音量はff(フォルティティッシモ/とても強く)で、全曲中最も大きな音量表示となっていることも知っておきましょう。

この豊かさを引き出すために重要なのは次の2つです。

  1. 予備運動(予備拍)を大きく取る
  2. しっかりと深いブレスを取る

大きな音を引き出したい場合には、その予備の動き(特に1拍前)を大きく取るのが大切です。

このとき「音の出(で)」をイメージしたブレス(息を吸う)を取るとさらに良くなります。

強弱の振り方に関してはこちらの記事(【初心者でもできる】効果的に強弱を振り分ける4つのコツ|現役指揮者が解説)をご参照ください。

【練習番号A】tuttiと掛け合いを振り分けよう

【練習番号A】ではtutti(トゥッティ/全員がそろって歌う)の部分と掛け合い(パートがずれて歌う)の部分が交互に出てきます。

  • ”めぐるめぐるかぜ~”→tutti
  • ”ぼくらはときの~”→掛け合い

特に掛け合いのフレーズでは右手・左手を使い分け、入るパートに対してキュー出し(次はあなたたちですよ、というサイン)を送ると非常に良い指揮となります。

逆にtuttiの部分は全体の一体感を引き出すために両手を対象に動かしても良いでしょう。

右手・左手の使い分けに関してはこちらの記事(【現役指揮者が教える】右手・左手の役割|具体的な使い分け方法を解説)をご覧ください。

【練習番号B】強弱を印象的に表現しよう

この場面は強弱の変化に注目です。次の3点が重要です。

  1. f系の音楽からp系の音楽へ
  2. <>の表現
  3. 【C】に繋がるデクレッシェンド

1.f系の音楽からp系の音楽へ

【A】の音量はmf, fだったのでf系の音楽でした。【B】からは一転p系の音楽になるのでそれをしっかり指揮に反映させましょう。

2.<>の表現

”すべてのものが”についている<>をしっかり表現しましょう。かなり印象的なフレーズになるはずです。

3拍目の”もの”が音量の頂点となっています。

3.【C】に繋がるデクレッシェンド

【C】の2小節からは、いったんmfに音量がアップしてからデクレッシェンドという流れです。

このデクレッシェンドが重要で、ここでしっかり音量を落とすことで【C】のpに繋がります。

次のように振ってみてください。

  • 右手でロングトーンを右手で示し、キープする
  • 左手を伏せて下げていき、音を収束させていく
ロングトーンの振り方に関してはこちらの記事(【現役指揮者が教える】伸ばすところ・フェルマータの振り方とコツ【具体例あり】)も合わせてご覧ください。

【練習番号C】テンポ変化に注意!急がずに

【C】に入る手前ではrit.(リタルダンド/だんだん遅く)があり、【C】からテンポがゆっくりになります。

「4分音符=92」から「4分音符=72」になっていますね。

2点注意して振りましょう。

  1. テンポが以前より遅くなること
  2. 16分音符で急がないこと

特に2に関しては、このように音符が細かい箇所では急いで進んでしまう(走ってしまう)ことが多いです。

落ち着いてテンポをキープしましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
ピアノパートの4分音符も良く感じ、協力しましょう。

【練習番号D】accel.は先を見据えて

【D】にはaccel.(アッチェレランド/だんだん速く)という記号がつけられています。

これにより、2小節先まで進んだところで「4分音符=88」のテンポになります。

変化した先のテンポをしっかり把握しておいてからaccel.を掛けましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
闇雲に速くすると速くなりすぎてしまい、不自然な音楽になってしまいます。
なお、ここからニ長調に転調しています。曲の中でも特にドラマチックな部分なので押さえておきましょう。『時の旅人』の調・転調・コード進行を考察【曲をより深く理解する】

【練習番号E】男声と女声の掛け合いを大事に

【E】ではまず男声が歌いはじめ、遅れて女声が合流します。

こういった掛け合い部分は大切にしたいですね。

ここも左手を使ってキュー出しを行うべき部分です。

掛け合い部分を振り返るためにはアナリーゼの時点でチェックしておくのも有効です。こちらの記事(【入門】合唱曲のアナリーゼ(楽曲分析)|やり方・ポイント【書き方の具体例あり】)をご覧ください。

【練習番号F】ピアノの音型の変化を感じて

とても細かいのですが、【F】からはピアノパートの音型がやや変わっています。

これまでは8分音符が中心だったものが、【F】からは付点8分音符が登場していますね。これにより躍動的な印象が生まれています。

指揮の動きとしては大きく変える必要はありませんが、こういった変化を感じ取りながら振りましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
気持ちで感じ取ることも指揮をする上では大切で、プレイヤー(歌う側)に与える印象が変わります。

【練習番号G】しっかりとしたクライマックスを作ろう

【G】の終盤”うたおう”は『時の旅人』のクライマックス的な部分となっています。

次の2点がポイントです。

  1. 大きく振ってf系の音楽を引き出す
  2. 腕の振りをしっかり、やや固く。アクセントを引き出す

音量だけでなくアクセント感も大事です。

これを引き出すためには腕の動きだけでなく、手の形を変化させる方法もあり、具体的には、左手で力強くこぶしを握って示すなどが考えられます。

手の形も「音の出(で)」に与える影響が大きいです。こちらの記事(【4つの理由と悪い例】指揮をするとき手の形はどうするべき?|指揮者が解説)にまとめています。

【練習番号H】テンポを緩めて曲を締めくくろう

【H】の最後はrit.(リタルダンド/だんだん遅く)で締めくくります。

最後なのである程度しっかりとテンポを落とした方が良いでしょう。

このとき合唱のメロディーだけでなく、ピアノパートの8分音符の動きも感じながら振ると上手くいきやすいです。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
ピアニストと事前に打ち合わせておくことも必要ですね。
最後の小節ではテヌートも登場します。「音の長さを十分に保って」という意味。こちらの記事(テヌートの意味とは?| 歌い方・振り方・他の記号との違いを解説!)も参考にしてください。

まとめ:『時の旅人』指揮の基本・コツ

『時の旅人』の指揮の基本とコツを振り返っておきます。

『時の旅人』指揮の基本
  • 拍子…4/4拍子
  • 最初のテンポ…4分音符=92
  • 曲想…メロディーはなめらかに、ときおり語るように
『時の旅人』練習番号ごとのコツ
  • 【冒頭】ピアノの前奏のffを引き出そう
  • 【A】tuttiと掛け合いを振り分けよう
  • 【B】強弱を印象的に表現しよう
  • 【C】テンポ変化に注意!急がずに
  • 【D】accel.は先を見据えて
  • 【E】男声と女声の掛け合いを大事に
  • 【F】ピアノの音型の変化を感じて
  • 【G】しっかりとしたクライマックスを作ろう
  • 【H】テンポを緩めて曲を締めくくろう

こちらの記事(【まとめ】初心者のための指揮法完全ガイド|合唱指揮者が基礎から解説)では指揮法を学ぶ上で知っておきたい知識をまとめています。あわせてご覧ください。

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