男の子
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合唱曲の『夢の世界を』を歌います。コツやポイントを教えてください。

こんな方に向けた記事です。

合唱の練習では、きちんとポイントを押さえておくことが肝心です。

この記事では合唱曲『夢の世界を』の歌い方のコツについて、合唱歴15年以上・合唱指揮者歴10年以上の筆者が詳しく解説します。

この記事を読みながら練習に取り組めば、確実にワンランク上の演奏を目指すことができるはずです。

教育芸術社『クラス合唱曲集 Super Chorus」に収録されている楽譜を参考にし、本文中で歌詩などを引用する場合には「””」で示しています。

『夢の世界を』の構成【場面ごとの違いと工夫】

合唱曲『夢の世界を』歌い方のコツ

まずは曲全体を見渡して、場面ごとにどのような違いがあるかを解説します。

『夢の世界を』は大きく2つの部分に分けられます。それぞれに練習番号(【A】【B】)をつけてみましょう。

練習番号
  • 【A】…9小節目~(”ほほえみ”)
  • 【B】…25小節目~(”さあ”)

次からは、これらの場面の違いを分析していきたいと思います。

1. 声部(パート数の違い)

【A】と【B】でまず違うのは声部といってパートの数の違いです。

【A】はunis.(ユニゾン)と書かれています。これは「全員が同じ音のメロディーを歌う」という意味になります。

つまり、ソプラノもアルトも男声も、同じ音を歌うのですね。

音が同じということはハモリはありません。シンプルでスッキリとした印象になります。

一方で【B】にはdiv.(ディヴィジ)と書かれています。これは「パートに分かれて歌う」という意味です。

これまで同じ音を歌っていたソプラノ・アルト・男声が、ここからは別々の音を歌う、ということになります。

具体的に見てみると、25小節目の”あ”ではソプラノ・アルト・男声の順に「ミ」「ソ」「ド」の音を歌っています。これを同時に鳴らすと和音になります。

これまではユニゾンでシンプルな響きだったところから、一気にハーモニーが広がるという仕掛けになっているのですね。

2. 強弱の違い

【A】の強弱記号はmf(メゾフォルテ)になっています。これは「少し強く」という意味です。

一方で【B】からはf(フォルテ)です。「強く」という意味で、mfと比べるとワンランクアップの記号です。

【A】では少し抑えて歌いはじめ、【B】からは一段階元気に、盛り上げる流れになっているのですね。

ちなみに、【B】に入る手前には<のような記号があります。これはクレッシェンドと言って、「だんだん大きく」の意味。これによって【B】のfに繋げます。

強弱の違いをしっかりと表現すると、メリハリのある音楽になりますよ。

3. リズムの違い

最後にリズムに注目してみましょう。まずは合唱パートから。

【A】は黒い音符が目立ちます。これは8分音符が主体となっているからですね。

8分音符は比較的細かなリズムで、ここでは優しく語りかけるようなメロディーになっています。

一方【B】では”さあ”のように白い音符が登場していることが分かります。これらは付点2分音符といって、長く伸ばす音を表します。のびのびと歌い上げるような場面で使われるリズムです。

先ほど述べたハーモニーと合わせて、広々と世界が広がっていくような効果を生んでいますね。

次にピアノパートも見ておきましょう。

【A】では8分音符が主体ですが、全体にスラーがつけられており、柔らかく滑らかな表情です。

一方【B】では付点8分音符が登場し、全体的に弾むような活気のあるリズムになっています。

ピアノパートは合唱がロングトーンをしている間に弾むようなリズムを高音で弾くことで、音楽を軽快に前に進めるような役割を担っています。

伴奏のリズムの変化は音楽の雰囲気に大きく影響します。よく感じ取ってみましょう。

『夢の世界を』歌い方・練習のポイント

ここからは場面ごとに歌い方を詳しく解説します。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
楽譜に書き込みながら読み進めると効率的です。

【A】9小節目~ ”ほほえみ”

【A】では次のポイントを意識して練習しましょう。

  1. ユニゾンをしっかり合わる
  2. 言葉の1文字目を丁寧に
  3. 休符を守ってブレスを取る

1. ユニゾンをしっかり合わせる

【A】のフレーズは全員が同じ音を歌うユニゾンとなっています。

音が同じなので、声がぴったりとそろうようにお互い聴き合いながら歌いましょう。

なれないうちは音が揃わずに濁った響きになりやすいですが、練習を進めるうちにだんだんと音がそろってきて、透明感のある響きになってくると思います。

ほえみ”や”わして”などでは、フレーズの一番最初の文字の音が低く、はずしてしまいやすいです。事前にしっかり狙って、正しい音を思い浮かべてから歌い出すのがコツです。

”かりあい”や”あやかに”ではドの音が出てきます。少し高いためばらつきやすい音です。先ほどと同様に、これから歌おうとする音をしっかり思い浮かべて、準備しておくことが上手に歌うコツになります。

2. 言葉の1文字目を丁寧に

言葉・歌詩をしっかりと伝えることも意識しましょう。

そのためにはフレーズの1文字目が特に大切です。

例えば”ほほえみ”という歌詩はローマ字で書くと「hohoemi」となりますね。このとき、下線を引いた最初のhをはっきり発音すると、何を歌っているのかが非常にクリアになります。

他の歌詩も同じようにしてまとめておきましょう。

”かわして”…「kawashite」

”かたりあい”…「katariai」

”おちばを”…「ochibawo」

”ふんで”…「funde」

”あるいたね”…「aruitane」

kやfを子音と言います。先ほど説明したように、言葉を伝えるためには子音をしっかり発音することが重要です。

一方、oやaは母音と言います。こちらは強調して発音する必要はありませんが、音がばらつきやすいので、丁寧に歌い出すことが必要です。

すべての文字を一生懸命歌おうとする必要はありません。最初の文字が分かれば、その後何を言っているかは自然と伝わります。

3. 休符を守ってブレスを取ろう

【A】では各フレーズに終わりに8分休符がついていることに気づくと思います。

”かたりあい” → 8分休符

”あるいたね” → 8分休符

”あざあやかに” → 8分休符

”うつしだしたね” → 8分休符

この休符をしっかり守るようにしましょう。つまりここでは合唱パートは音を出さないように、しっかり音を切るということです。

ピアノパートの弾く8分音符をしっかり聴いてテンポをしっかり感じると、切るタイミングをつかみやすくなると思います。

また、休符の直前までは音をしっかりと伸ばしておくことも重要です。途中で弱くなったりしないよう、気をつけましょう。

休符では息継ぎ(ブレス)を取ります。全員のブレスのタイミングがしっかりとそろうと、次のフレーズの入りもそろいます。

【B】25小節目~ ”さあ”

【B】でのポイントとして次の3つを挙げたいと思います。

  1. 豊かなハーモニーを感じよう
  2. 強弱の変化をつけよう
  3. フレーズを大きなまとまりで捉えよう
えすた@指揮者
えすた@指揮者
音がふわっと広がるような場面となっています。

1. 豊かなハーモニーを感じよう

【A】がユニゾンだったのに対し、【B】からはパートが3つに分かれます。

この豊かなハーモニー、響きの広がりを十分に感じながら歌いましょう。

自分の音を必死で歌うのではなく、周りの音を聴くことで美しい和音が生まれます。

練習の際は、ピアノパートはお休みで(=アカペラで)、なおかつゆっくり目のテンポで歌ってみると、よりいっそうハーモニーを感じることができると思います。

2. 強弱の変化をつけよう

【A】がmf(メゾフォルテ・少し強く)だったのに対し、【B】からはf(フォルテ・強く)となっています。

つまり、【B】からは音楽的に盛り上がる場面になるということです。しっかり大きく歌いましょう。

2カッコに入った後、”せかいを”でmfになります。音量を小さくすることを忘れずに。

小さくするべきところをしっかり落とすことで、音楽にメリハリが生まれます。

1カッコにクレッシェンド(だんだん強く)が書かれています。

もともとfだったところからクレッシェンドしますが、その先もfですね。

ここでの解釈方法はいくつか考えられます。

  • 2回目はフォルテより大きく歌う。piu fのようなイメージ
  • クレッシェンドの前に一段階音量を落とす(”おもいで”から)
  • 内面的/気持ち的なクレッシェンドと捉える

「これが正解」ということはなく、どのような音楽を作りたいか、表現したいかによって選択の余地があるところだと思います。

クレッシェンドの考え方はこちらの記事(クレッシェンド・デクレッシェンドのコツ【合唱の迫力・魅力アップ】)でも解説していますのであわせてご覧ください。

3. フレーズを大きなまとまりで捉えよう

【B】の歌い出し”さあ”は長めの音符を使ったメロディーとなっています。

言葉の繋がりとしては”さあ でかけよう”なので、4小節の大きなまとまりで捉えましょう。

”さあ”と”でかけよう”の間で大きくすきまが開いてしまわないようにするのがポイントです。

4小節歌った後、フレーズの終わりに8分休符があります。【A】で練習したことを思い出して、ここでも伸ばす長さとブレスのタイミングを意識しましょう。

【Coda(コーダ)】45小節目~ ”ゆめの”

ラストはたっぷりタメて歌おう

Codaの場面で注意したい記号は次の2つ。

  1. rit.(リタルダンド/だんだん遅く)
  2. テヌート(音の長さを十分に保って)

テヌートの意味はピンと来ないかもしれませんのが「一つひとつの音をしっかり目に歌って欲しい」というような意味になります。

フレーズとしては2カッコ(33~36小節目)と同じようですが、曲の一番最後ということもあるので、よりたっぷりと「タメ」を作るのがポイントです。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
同じフレーズのようですが、ここでは曲の途中とラストで違いをつけましょう。

まとめ:繰り返しでの違いを歌い分けよう

ポイントを振り返っておきます。

『夢の世界を』歌い方のコツ

【A】のポイント

  • ユニゾンをしっかり合わせる
  • 言葉の1文字目を特に丁寧に
  • 休符を守ってブレスを取ろう

【B】のポイント

  • 豊かなハーモニーを感じよう
  • 強弱の変化をつけよう
  • フレーズを大きなまとまりで捉えよう

【Coda】のポイント

  • ラストはたっぷりタメて歌おう

『夢の世界を』はシンプルで短めの作品ですが、良く構成が考えられている曲です。

【A】【B】の場面の違いをしっかりとつかみましょう。

その他、全体練習(アンサンブル)で役立つポイントについてはこちらの記事(【ポイント6つ】全体練習(アンサンブル)をまとめる方法|合唱指揮者が解説)で解説しています。