楽譜の読み方

【苦手を克服】合唱の音取りが早くなるコツ11選|絶対音感無しでもできる

音取りのコツ
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女の子
女の子
音取りって苦手だな。もっと早く歌えるようになりたい。センスが無いとしょうがないのかな…。

そんな悩みに答えます。

新しい曲を練習するときの音取りが苦手だなという人は多いと思います。

自分だけなかなか歌えるようにならないと、「周りに迷惑を掛けてしまっているのではないか…」と不安になったりもしますよね。

この記事では音取りのコツを【初級編】【中級編】【上級編】に分けて解説しました。

具体的な譜例を使って実践方法も紹介しているのでイメージしやすいと思います。

この記事で解説している方法は、すべて絶対音感が無くてもできますので、誰にでも取り組んでいただけます。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
私自身、絶対音感は無いですがこれらの方法で素早く音取りしています。

音取りがそれほど苦手ではない人でも「これはやっていないな」ということがあると思います。

「音は取れるけどつられてしまって悩んでます…」という方は【レベル別対策4つ】つられないようになる練習法【合唱初心者向け】もご覧ください。
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【前提】なかなか音が取れない原因は2つ

はじめに「そもそも、なぜなかなか音が取れないのか?」ということについて整理しておきます。

理由は2つに大別されます。

  1. 歌うべき音がイメージできていない
  2. 音は分かっているけど正しく歌えない

原因1. 歌うべき音がイメージできていない

1つ目の原因は「歌うべき音がイメージできていない」ということです。

これは本来の意味で「音が取れていない」状態です。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
この記事ではこちらの対処法を解説します。

原因2. 音は分かっているけど正しく歌えない

2つ目の原因は「音は分かっているけど正しく歌えない」です。

これは「自分の中では音が分かっているけど、実際に歌ってみると音を外してしまう」という状態です。

自分が出すべき音のイメージは掴めているということが「1. 歌うべき音がイメージできていない」との違いになります。

  • 高い音が出なくて正しく歌えない
  • 跳躍(音が飛ぶこと)でブレる

といった症状の場合にはこちらが主な原因です。

自分が歌うべき音が分かっているかどうかが2つの違いです。

この記事では「1. 歌うべき音がイメージできていない」という場合の対処法を解説していきたいと思います。

「なかなか音が覚えられないな…」という状況を脱しましょう!

「2. 音は分かっているけど正しく歌えない」という場合については、音が取れていないというよりは発声の技術的な部分が問題点です。

またの機会に解説したいと思います。

【初級編】音取りのコツ5選|たくさん繰り返そう

音取りのコツ、まずは【初級編】です。5つ紹介します。

  1. とにかく何度も歌って覚える
  2. 音源を聞きこむ
  3. MIDIを活用する
  4. 歌える人と一緒に歌う
  5. 楽譜を少しでも読めるようにする
悩む人
悩む人
ドレミが読めないし、リズムもさっぱり分からない

という方は参考にしてみてください。

初級編1. とにかく何度も歌って覚える

初心者の方がまず行うべきことはとにかく繰り返し練習することです。これが一番早い方法です。

悩む人
悩む人
そんなこと分かってます! もっと裏技的なのを教えてください

と思われるかもしれませんね。

ですが結局のところこれ以上に効果的な方法は無いんですね。

私自身、音取りに関しては色々なテクニックを知っていて活用しています。

ですがなんだかんだ繰り返し練習するのが一番早いですし、効果も高いです。

合唱に触れる時間を増やすことはとても大事です。

繰り返した練習が、経験として自分の中で積みあがるからです。

一曲をしっかり練習すると、それが別の曲でも役に立ちますよ。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
細かいテクニックを学ぶのは、もう少し経験積んでからで十分です。

初級編2. 音源を聞きこむ

練習している曲の音源を聞きこむのも有効です。

混声合唱の場合、メロディーをソプラノパートが歌っていることが多いです。

したがってソプラノの方は音源を聞きこむという方法だけでも十分音が取れるでしょう。

男声合唱ではトップテナーがメロディーを歌うことが比較的多いです。

悩む人
悩む人
他のパートの人はどうすれば良いの?

他のパートの人でも音源を聞きこむことは音取りに関してよい効果があります。

音源聞きこむことによってコード進行(和音の流れ)が体に馴染むからです。

コード進行が体に馴染んだ状態にしておくと、パート練習でも自分のパートの音が覚えやすくなります。

初心者のうちは演奏音源を聞いてもメロディー以外のパートを聞き取ることは難しいと思います。

ですが他のパートの音を聞きながら歌うことは、合唱の力を向上させるために必ず役立ちます。

そのための訓練だと思って取り組んでみてください。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
ある程度音が取れたら音源を聞きながら自分のパートを歌うという方法にも挑戦してみてください。

初級編3. MIDIを活用する

音取り用のMIDI(ミディ)音源を利用するのも手です。

MIDIはざっくり言えば音楽を電子データ化したものです。

MIDI音源を使うと、キーボードを使う替わりにPCやスマートフォンで音取りの練習ができます。

イヤホン・ヘッドホンを使えば電車での移動中などに聞くことができます。

MIDI音源を使うと、キーボードを使う替わりにPCやスマートフォンで音取りの練習ができます。

MIDIが作れるソフト

※後で出てくる楽譜とMIDIもMuseScoreで作っています。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
私の場合も、苦手な曲はバスや電車の移動中に何回も聞きこんでいました。

初級編4. 歌える人と一緒に歌う

歌える人と一緒に練習すると早く音が取れます。

これは私の経験から思うことですが、ピアノやMIDIの音よりも人の声を聞いた方が音が取りやすいです。

つきっきりで練習してもらうことは難しいですが、可能であれば歌える誰かといっしょに歌ってもらうと良いと思います。

【上達法17選】合唱が上手い人の特徴|初心者は知っておきたいでも書きましたが、合唱団のメンバーと仲良くしておけば練習の面倒も見てもらいやすいです。

初級編5. 楽譜を少しでも読めるようにする

初心者の方は楽譜が読めない方が多いと思います。

ですが、楽譜が少しでも分かるのとそうでないのでは、音取りのスピードが全く違います。

何となくでも楽譜が読めると次のようなことが読み取れるようになります。

  • 次の音は上がる、下がる
  • ここは伸ばす、ここはリズムが細かい
  • この音は臨時記号がついているから難しそう

最初は難しいかもしれませんが、少しずつ楽譜に慣れていけるように勉強してみてください。

楽譜の読み方に関しては【詳説】楽譜の読み方完全ガイド【初心者~上級者まで必見】でまとめていますので、あわせてご覧ください。
えすた@指揮者
えすた@指揮者
次の音が上がるか下がるか分かるだけでもかなり違います。

初級編 音取りのコツ実践

ここまで学んだことを実践してみましょう。こちらの楽譜を使います。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
練習用に私が作った楽譜です。
音取りのコツ「ルルル」や「ラララ」で歌ってみてください。


まずは全体の音をMIDI音源で聞いてみましょう。

音が出ます。音量注意です。

【初級編】で紹介した5つのコツのうち、

  • 2.音源を聞きこむ
  • 3.MIDIを活用する

の実践になります。

ソプラノの音取り

まずはこの音源からソプラノの音を取ってみましょう。ソプラノの音は一番高いので聞き取りやすいはずです。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
ソプラノ以外の人も練習がてら挑戦してみてください。
悩む人
悩む人
全体の音源だとソプラノの音が分からなかった

という方のためにソプラノの音を強調した音源も作りました。ソプラノだけ取り出した楽譜も掲載しておきます。

音取りのコツ_ソプラノ

音が覚えられるまで繰り返し聴いたり歌ったりしてみましょう。

  • 1.とにかく何度も歌って覚える

の実践になります。

アルトの音取り

次にアルトの音を取ってみましょう。内声になるのでやや難しくなります。

「内声」という用語については【楽譜あり】合唱パートの種類・役割・音域|外声・内声も解説で解説しています。
えすた@指揮者
えすた@指揮者
例によってアルト以外の人も挑戦してみましょう。

アルトの音量を大きくしたMIDI音源を作りましたのでこちらを聞いてみてください。アルトだけの楽譜も再掲しておきます。

音取りのコツ_アルト

悩む人
悩む人
アルトはこんな音を歌っていたんだ!

とそんな発見があると思います。

書き込み例

最後に楽譜が少し読めるようになった人向けに、楽譜への書き込み例を紹介します。

  • 5.楽譜を少しでも読めるようにする

の実践例になります。

音取りのコツ_アルト_書き込み

【実践内容】

  • 臨時記号(♭/フラット)に注意
  • 4分休符があるところで伸ばしすぎない

という2点になります。

臨時記号をチェックしておくだけで「ここは難しそうだな」ということが分かります。

こすいておくと例えばパート練習の際にそこを注意深く聞くことができるようになるはずです。

【中級編】音取りのコツ3選|情報を事前に整理する

ここからは【中級編】です。3つ紹介します。

  1. 全音半音を書き込む
  2. 表拍裏拍をチェックしておく
  3. 同じ音を探しておく
中級者
中級者
楽譜はある程度読めるし自分のパートをピアノで弾けるよ!

といったレベルの方はトライしてみてください。

楽譜が読めないうちは、ひたすら繰り返して体に覚えこませるというアプローチをおすすめしてきました。

【中級編】からは「楽譜から得られる情報を事前に整理しておく」ことで、もう少し効率よく音が取れるようにする工夫をお伝えします。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
【初級編】で「もう少し経験を積んでから」とお預けにしたテクニックを解説します。

中級編1. 全音半音を書き込む

楽譜を見たときに、全音半音を事前に書き込んでおくことで音取りのときに役立ちます。

「次の音は半音上がる、その次は全音下がる」といった感じです。

全音や半音のことを音程と言います。【音のへだたり】音楽の音程を具体例で解説【センスを磨く練習法が分かる】もあわせてご覧ください。
えすた@指揮者
えすた@指揮者
訓練を積むと全音・半音の幅も分かってくるようになります。

中級編2. 表拍裏拍をチェックしておく

今度はリズムの面でのチェックです。

曲によってはリズムが難しく、パッと見ただけでは分からないときがあります。

そういったときに「ここが表拍、ここが裏拍」とチェックしておくと、音取りがはかどります。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
リズムが難しい曲で特に効果を発揮します。

中級編3. 同じ音を探しておく

他のパートも見渡して、「自分のこの音はあのパートと同じになるな」というふうにチェックしておきます。

こうしておくことで、アンサンブルのときに自分の音が分からなくなっても、チェックしておいた部分から復帰できるようになります。

結果として、音取りが早くなります。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
同じ音をチェックしておくとハーモニーも澄んできます。

中級編 音取りのコツ実践

それではここまで解説してきた3つのコツを実践してみましょう。

楽譜は【初級編】と同じです。書き込み例をご紹介します。

音取りのコツ_書き込み

【実践内容】

  • 全音半音を書き込む…オレンジ
  • 表拍裏拍をチェックしておく…水色
  • 同じ音を探しておく…黄緑

これを念頭に、テノールとバスのMIDIを聞いてみましょう。

テノールの音取り

音取りのコツ_テナー_書き込み

3小節目のタイで繋がった音が分かりやすくなったのではないかと思います。

バスの音取り

取りのコツ_バス_書き込み

1小節目、半音ずつ上がっていく音に気をつけなければならないことが分かります

【上級編】音取りのコツ3選|初見能力を高める

最後に【上級編】です。これも3つ紹介します。

  1. 音程を覚える
  2. 階名唱(移動ド)活用する
  3. 音楽理論の勉強をする
上級者
上級者
絶対音感はないけどある程度初見で歌えるようになりたい。

という人向けのアプローチ方法です。

より深く楽譜を読み込み、得られる情報を総合して音を予測します。

【上級編】の内容を理解するためにはこちらの本を読むのがおすすめです。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
楽譜からなるべく多くのことを読み取れるようになりましょう。

上級編1. 音程を覚える

音程というのは「音と音との離れ具合」のことです。

例えば

  • オクターブ(完全8度)
  • 短7度
  • 完全5度
  • 長3度

などですね。

  • 音程を感覚で掴む
  • 楽譜から音程を読み取る

という二つのことができれば、キーボードなどを使わなくてもメロディーを辿ることができるようになります。(最初の基準になる音を確認するときだけは音の出る楽器が必要です。)

すべての箇所を音程で取らなくても、要所要所で使うことで音取りが早くなります。

上級編2. 階名唱(移動ド)活用する

階名唱(移動ド)は「その調の中での音のキャラクターをつかむ」ことで、

  • 初見で歌えるようになる
  • より清潔なピッチ感を掴む

ができる強力なメソッドです。

ただ、考え方を理解するのがなかなか難しいというデメリットもあります。

上級編3. 音楽理論の勉強をする

音楽理論を勉強することが音取りのスピードアップに役立ちます。

理論を知っていると

  • 和音の流れ
  • 声部の向かう向き

が予想できるようになります。

例えば、

  • ドミナントはトニックに解決する
  • 第7音は下がって解決する

といったことが分かります。

もちろん実際の曲がすべて理論通りになっているかと言えばそんなことは無いのですが、そのような場合には「ここは逆に進むんだな」と予測を立てることが可能です。

「そんなマニアックな方法使えるの?」と思われるかもしれませんが、私自身は結構役に立つなと思っています。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
特にロマン派の曲を歌う際にはかなり役立つ知識です。
音楽理論がどう役立つかについてはこちらの記事(音楽理論って必要?メリットは?|作曲者・指揮者・演奏者の視点から答えます!)でも解説しています。

上級編 音取りのコツ実践

【上級編】のコツを用いた書き込み例を紹介します。

音取りのコツ_階名唱_書き込み

この曲の場合は「移動ド」や「音楽理論」を手掛かりにする方法がかなりしっくりはまります。

まとめ:レベルに合わせて使い分けよう

合唱の音取りが早くなるコツを11個紹介しました。

まとめて振り返っておきましょう。

【初級編】では小手先のテクニックよりも繰り返して慣れることが重要とお伝えしました。

音取りのコツ【初級編】
  1. とにかく何度も歌って覚える
  2. 音源を聞きこむ
  3. MIDIを活用する
  4. 歌える人と一緒に歌う
  5. 楽譜を少しでも読めるようにする

中級編では事前に楽譜の情報を整理することで効率よく音を取る方法をお伝えしました。

音取りのコツ【中級編】
  1. 全音半音を書き込む
  2. 表拍裏拍をチェックしておく
  3. 同じ音を探しておく

【上級編】では音程、階名唱、音楽理論などの知識を総動員して音を取る方法をお伝えしました。

音取りのコツ【上級編】
  1. 音程を覚える
  2. 階名唱(移動ド)活用する
  3. 音楽理論の勉強をする

これらの方法に慣れていくと、絶対音感無しでも相当早く音が取れるようになります。

ただし、後半の内容は非常にマニアックですので、初心者の方はまずは【初級編】の内容をしっかり押さえていただけたらと思います。

音が早く取れると早く歌えるようになって合唱の楽しさが増すはずです。

合唱の練習方法はこちらの記事(【まとめ】合唱の練習方法|流れと内容を解説【初心者でも安心】)でもまとめていますので合わせてご覧ください。

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