合唱人のための音楽理論

音楽理論って必要?メリットは?|作曲者・指揮者・演奏者の視点から

音楽理論って必要?
女の子
女の子
音楽理論って勉強した方がいいの?
えすた@指揮者
えすた@指揮者
勉強するとメリット大です。

この記事では、

  • 作曲者
  • 指揮者
  • 演奏者

という3つの異なる視点から、音楽理論を学ぶ必要性、音楽理論を学ぶメリットを解説していきたいと思います。

音楽理論と言う言葉は非常に意味の幅が広いです。とりあえずここでは対位法、古典的な和声法、ポピュラーよりのコード理論をひっくるめて考えることにします。

結論:音楽理論は必須ではないが知っているとお得

まずはじめに全体の結論を言ってしまいます。

「音楽理論は必須ではないが知っているとお得」

というのが私の意見です。

作曲者・指揮者・演奏者どの視点から見てもこの結論は同じです。

音楽理論を知っていなくても、曲は書けるし、指揮もできるし、歌も歌えます。

だから音楽理論と言うのは必ずしも必要なものではないではないのです。

しかし、全く不要かと言うと、私の考えはそうではありません。

音楽理論を知っておくことで、たくさんのメリットが享受できるからです。

そのメリットとは何なのか? 各視点から解説していきたいと思います!

合唱の人の場合「演奏者(歌う人)」が得られるメリットもかなりあると思います。

作曲者が音楽理論を学ぶメリット

まずは作曲者の視点です。

作曲をするのに音楽理論は必要か? ということですが、結論としては先ほども書いた通り、「知らなくても曲は書ける、でも知っておいた方がお得」です。

「どんな点でお得なのか?」解説していきたいと思います!

えすたは作曲家ではないですが、割と作曲もできます。(世に出ていないだけで…)

作曲者のメリット1.変なところを直せる

曲を書いていて、「なんかここ変だな?」と思うことがあると思います。

  • 「響きがおかしい(気がする)」
  • 「コードの繋がりがおかしい(気がする)」

などなど…。

音楽理論を知っていると、「おかしいな?」と言う部分を見つけ出し、すぐに直すことができます。

音楽理論は変な部分(間違った部分)を正す指針にできるということですね。

逆に音楽理論を全く知らないと、「おかしい気がする」と言うところで詰まってしまうことが多いと思います。

感覚に頼って添削するのは結構骨が折れます。

作曲者のメリット2.コード進行を作曲の指針にできる

合唱と言うとクラシックな印象があるかもしれませんが、今現在新たに生み出される曲も当然あります。

最近書かれる曲の傾向として、ポピュラー的なコード進行をベースとした作品が非常に多くなっています。

特に中学・高校生向けのピアノ伴奏つきレパートリーなんかは顕著ですね。

ポピュラー音楽において王道のコード進行は決まっていますので、音楽理論を学ぶことでそれを作曲の指針にすることができます。

王道というと「ありきたり、ツマラン」と思われるかもしれませんが、歌が広く歌われるためにはノリも大事で、ノレるためには王道が一番です。

作曲者のメリット3.禁則を避ける・あえて使う

音楽理論をかじったことのある方なら、「平行5度は禁則」と言うのを聞いたことがあるかもしれません。

音楽理論ではこういった禁則というのが存在します。

先ほど例に出した「平行5度」ですが、これをやってしまうと声部(各パート)の独立性が損なわれるとかなんとか…。

「声部(各パート)の独立性が損なわれる」と言われてもピンと来ないと思いますので、私なりのイメージを紹介しておきます。

合唱という媒体おいては、各声部がムラなく混ざり合ったハーモニーを目指します。(それが美しいとされています。)

そこに「平行5度」が存在するとその声部が十分に混ざり合わず、ダマになってしまいます。

それは美しくない…、だから「平行5度」はダメということになっているのです。

実際、ハーモニーを大切にした、叙情的な作品においては「平行5度」を避けた方がより美しいと私も思います。

一方で、「平行5度」をはじめ禁則というのは、「やってしまうと作曲家失格!」…というものではありません。

特有の響きをあえて使い、サウンドに効果を与えている場合もたくさんあります。

大切なのは、自分が表現したい音楽に適したテクニックを使うということで、その際に音楽理論を知っていると

  • 「ここでは禁則を避けよう」
  • 「ここではあえて禁則を使おう」

という判断ができるという点でメリットがあると思います。

禁則(的なもの)が敢えて使われている合唱作品の例を挙げます。

『薤露青』(千原英喜)

平行5度によって神秘的な宇宙感が表現されています。

『宮沢賢治の最後の手紙』(千原英喜)

ピアノ左手のコードに密集したセブンスコードを低音域(ロー・インターバル・リミット以下)で使っています。和音の響きよりビート感を重視したと私は解釈しています。

音楽理論を学ぶと発想の幅が狭まる?

よく「音楽理論を学ぶと作曲の発想の幅が狭まる」という意見を耳にします。

私はそうでもないんじゃないかと思います。

むしろ逆で、禁則を知った上であえて使うことで新しいサウンドを生み出せる可能性がある、そんな風に私は思います。

そういう意味ではアイディアに行き詰まった時の道しるべとして、音楽理論は役に立つのではないかと思います。

逆に、禁則から生み出される響きを使って面白いことができないかな? と考えるのも一興です。

指揮者が音楽理論を学ぶメリット

続いては指揮者の場合です。

一応えすたの本業です。(合唱においては。)

指揮者のメリット1.楽曲の分析に役立つ

楽譜を分析して音楽づくりに結びつけるというのは指揮者の大切なお仕事の一つです。

分析の方法と言うと色々あると思いますが、音楽理論と言うのはその中でも特に強力なツールです。

指揮者のメリット2.様式感の理解

様式感というのはあまり耳慣れない言葉かもしれませんが、音楽づくりにおいて非常に大切な要素です。

様式感というのは、例えば

  • ルネサンスならルネサンスらしさ
  • ドイツロマン派ならドイツロマン派らしさ
  • 現代ものなら現代らしさ

といったように「その曲らしさ」といった意味合いで使われる言葉です。

音楽を作っていく際には、様式感に即して、つまり「その曲がその曲らしいように」演奏をすることを目指すのが大切です。

楽曲を分析することと重なりますが、音楽理論の知識はここでも大変役に立ちます。

ルネサンスポリフォニーは対位法で書かれた音楽ですし、ロマン派の時代の音楽は和声法に基づいています。

指揮者のメリット3.的確な指示出し

練習を組み立て、プレイヤーに様々な指示を出すのも指揮者の役割です。

この指示出しの根拠としても音楽理論が役立ちます。

例えば合唱においては「この和音がなんか変!」ということは茶飯事です。

音楽理論を知らなければ耳だけを頼りに修正していくことになるのでしょうが、それだけではなかなか原因にたどり着けないことも多いと思います。

理論を知っていれば比較的すぐに分かります。

特に最近の曲はセブンス、ナインスをはじめ複雑な和音が使われる傾向にあるので、知識があるとかなり役立ちます。

演奏者が音楽理論を学ぶメリット

最後に歌う側のメンバーも和音について少々勉強しておいた方が良い理由について、説明します。

合唱においては、歌う人にとってのメリットも非常に大きいと私は思います。

演奏者のメリット1.音取り・譜読みが圧倒的に速くなる

演奏者が音楽理論を学ぶ最大の理由がこれです。

なんだかんだ合唱で一番苦労するのは「音取り・譜読み」です。

みんながみんな絶対音感を持っているわけではないので、とりあえず歌えるようになるまでに時間が掛かるわけです。

指揮者的にも音取りばっかりやっていると練習が面白くなくなるので、なるべく早く済ませたいという気持ちもあります。

そこで役に立つのが音楽理論の知識です。

どのように役立つのか例を挙げると、

  • 音程が分かるのでメロディー予想できる
  • 階名唱(移動ド)ができるので初見で歌える
  • 和音の繋がりから次の音を予測する

などなどが挙げられます。

少しでも音楽理論の知識を持っていて、それを練習の時に思い出せると音取りのスピードが圧倒的に速くなります。

なのでみんなちょっとでも学んでね…!

演奏者のメリット2.より良くハモれるようになる

合唱をやるならハーモニーは非常に大切です。

音楽理論はハーモニーをより美しくするのにも役立ちます。

  1. 楽譜から和音を判別できる
  2. どんな響きが鳴るのか、正解が分かる
  3. 自分の歌うべき音が分かる
  4. 結果、良くハモる

と言った感じで効果が得られます。

演奏者のメリット3.様式感に基づいた演奏に繋がる

指揮者にとってのメリットでも述べましたが、演奏者にとっても様式感は重要です。

今歌っている曲にどんな技法が用いられているのか、少しでも良いので気づけたら良いですね。

まとめ:音楽理論のメリット|作曲者・指揮者・演奏者の視点から

それではまとめです!

「音楽理論は必須ではないが知っているとお得」

というのが私の結論でした。

作曲を志す人以外にもメリットはあり、個人的にはむしろ演奏者(歌う人)にとってのメリットの方が大きいのではないかと感じました。

マニアックなところまで知っておく必要はありませんが、少しでも興味を持たれたならば学び始めてみることをおすすめします。

それではまた!