松下耕

合唱曲『信じる』歌い方のコツを指揮者が解説【ドラマ性を引き出そう】

『信じる』
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男の子
男の子
合唱コンクールで『信じる』を歌います。コツやポイントを教えてください。

こんな方に向けた記事です。

合唱において、上質な演奏をするにはきちんとポイントを押さえて練習することがとても大切です。

この記事では合唱曲『信じる』の歌い方のコツについて、合唱歴10年以上・合唱指揮者歴5年以上の筆者が詳しく解説します。

この記事を読みながら練習に取り組めば、確実にワンランク上の演奏を目指すことができるはずです。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
「間違いない」ポイントをまとめました。

次の練習番号に沿って解説していきます。

『信じる』の練習番号
  • 【冒頭】1小節~
  • 【A】11小節~
  • 【B】27小節~
  • 【C】37小節~
  • 【D】45小節~
  • 【E】52小節~
  • 【F】58小節~
  • 【G】66小節~
  • 【H】86小節~
  • 【I】93小節~
事前に練習番号を書き込んでおくのは重要で、曲の構成を把握することに繋がります。こちらの記事(【入門】合唱曲のアナリーゼ(楽曲分析)|やり方・ポイント【書き方の具体例あり】)も合わせてご覧ください。
教育芸術社「混声合唱曲集クラス用 キミウタ」に収録されている楽譜を参考にし、本文中で歌詩などを引用する場合には「””」で示しています。

https://esutawachorus.com/chorus-contest-song/

合唱曲『信じる』歌い方のコツ

合唱曲『信じる』歌い方のコツ

練習番号に沿って解説していきます。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
楽譜に書き込みながら読み進めると効率的です。

音取りに不安がある場合、まずはしっかりとパート練習を行いましょう。

こちらの記事(【5ステップ】質の高いパート練習の進め方|PL経験者のノウハウ公開)もご参照ください。

パート練習の進め方
【5ステップ】質の高いパート練習の進め方とコツ|経験者のノウハウ公開この記事では、パート練習をどのように進めたらよいか分からないという方に向けて、5つのステップ解説しています。パート練習でのチェックするべき項目や、パートリーダーとしての心がけに関してもまとめていますので、中級者以上の方にとっても有益だと思います。質の高いパート練習を行いたい方はご覧ください。...

【練習番号A】ユニゾン・ハモりを区別しよう

11小節目~【A】としました。ここから合唱が歌い出します。

ポイントはユニゾンとハモる部分を区別して意識することです。

  • ユニゾン(”わらうときには”など)…みんなで同じ1つの音を歌う
  • ハモり(”おおぐちあけて”など)…ハーモニーが広がるイメージを持つ
えすた@指揮者
えすた@指揮者
ユニゾン・ハモりをチェックしておくことで音取りも楽になります。
音取りのコツ(【苦手を克服】合唱の音取りが早くなるコツ11選|絶対音感無しでもできる)に関してはこちらの記事をご覧ください。

また”じぶんにうそが”からはソプラノとアルト・男声の掛け合いとなっています。

こういった箇所では子音を上手く使うことでメロディーの絡み合いをアピールすることができます。

歌詞の伝え方に関してはこちらの記事(【日本語編】合唱の歌詩(歌詞)・言葉をはっきり伝えるためのコツと練習法)もご利用ください。

【練習番号B】molto legatoの表現を工夫しよう

27小節~【B】としました。

ここではmolto legato(モルト・レガート/よりいっそうなめらかに)と言う指示が書かれています。

実はここまでのフレーズ(【練習番号A】)でもすでにlegatoの指示が書かれていました。

そのためmolto legatoを表現するには、差をつけるための工夫が必要になってきます。

具体的にはdolce(ドルチェ/甘く、柔らかく)的な表情があると良いのではないかと思います。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
プラスアルファの表情をつけてmolto legatoを表現しましょう。

【練習番号C】テンポに乗り遅れないように

37小節目~【C】です。

次の記号に注意です。

  • Piu mosso(ピウ・モッソ/前より速く)
  • stringendo(ストリンジェンド/だんだん急き立てて)
  • poco a poco cresc.(ポーコ・ア・ポーコ・クレッシェンド/少しずつ強く)

これらの指示から分かるのは、単に速くしたり大きくしたりするだけでなく緊張感や切迫感と言った内面的な変化も求められているということです。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
まずは記号の意味を押さえ、そこからどんな音楽にすればよいか考えましょう。

【練習番号D】legatomarcatoの変化をつけよう

45小節目~【D】です。

【C】の激しい音楽とは一転、Liricamente(リリカメンテ/叙情的に)の場面です。

ここでは歌い方と気持ちに変化をつけることがポイントです。

  • legato(レガート/なめらかに)…ウルっと来るような切なさ
  • marcato(マルカート/音を一つひとつはっきりと)…意志の強さ
えすた@指揮者
えすた@指揮者
「どのようなイメージで歌うか」は全体で共有・統一しましょう。

【練習番号E】メロディーの受け渡しに気をつけよう

52小節目~【E】です。Parlando(パルランド/語るように)の場面となっています。

ここでは次のようにメロディーを受け私ながら音楽が進みます。

  1. ”しんじることで”…ソプラノ・男声
  2. ”しんじることで”…アルト
  3. ”いのち”…ソプラノ
  4. ”いのち”…アルト
  5. ”いのち”…男声

後に続くパートは前のパートの音を聴き、それをヒントに自分の音をイメージしましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
ピアノパートの和音進行をしっかり感じるのも性格に歌う上でのカギになります。

【練習番号G】mf, fでもあくまでなめらかに歌おう

61小節目~【F】です。Con moto(コン・モート/動きを持って)で、テンポがやや前向きになる場面です。

mf, f系の指示ですが、ここもなるべくレガートに歌った方がこの場面の美しさを引き出すことができると思います。

82~85小節目は【H】へ続くブリッジ的な部分で、聞かせ所となっています。

stringendo(だんだん急き立てて)にも注意しましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
歌の基本はレガートです。

【練習番号H】印象的な和音を決めよう

86小節目~【H】です。

前奏のメロディーを”lalala”で歌う非常に感動的な場面です。

特に印象深いのは91~92小節目の和音ですね。

ハーモニーをしっかり決めた上で、美しくデクレッシェンドしましょう。

  • ピッチをキープすること
  • 響きを音さないこと
  • 小さくしていく足並みをそろえること

これらのことがポイントとなります。

【練習番号I】ユニゾンで静かに曲を締めくくろう

93小節目~【I】です。Tranquillo(トランキーロ/静かに)の場面となっています。

ここのユニゾンはこれ以上なく大切に歌いましょう。

感覚を研ぎ澄ませて音をそろえるイメージを持ってみてください。

最後のロングトーンはデクレッシェンドではないことに注意です。

pの音量をキープし、十分に余韻を残しましょう。

ロングトーンのコツに関してはこちらの記事(【合唱】ロングトーン/伸ばす音で気をつけたいポイント・練習法)をご覧ください。

まとめ:歌い方を表す記号の意味をとらえよう

ポイントを振り返っておきます。

『信じる』歌い方のコツ
  • 【練習番号A】ユニゾン・ハモりを区別しよう
  • 【練習番号B】molto legatoの表現を工夫しよう
  • 【練習番号C】テンポに乗り遅れないように
  • 【練習番号D】legatomarcatoの変化をつけよう
  • 【練習番号E】メロディーの受け渡しに気をつけよう
  • 【練習番号G】mf, fでもあくまでなめらかに歌おう
  • 【練習番号H】印象的な和音を決めよう
  • 【練習番号I】ユニゾンで静かに曲を締めくくろう

『信じる』では場面ごとに細かく歌い方・表情に関する指示が書かれています。

まずはしっかりと意味を押さえ、「どうやって歌えばよいか」「どのような音楽をつくりたいか」まで意識して練習できるとても良い演奏になると思います。

全体練習(アンサンブル)のポイントについてはこちらの記事(【ポイント6つ】全体練習(アンサンブル)をまとめる方法|合唱指揮者が解説)で解説していますので合わせてご覧ください。

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