この記事では2014年度Nコン中学の部課題曲の『桜の季節』(作詞:ATSUSHI 作曲:ATSUSHI / マシコタツロウ 編曲:加藤昌則)について、練習・演奏のポイントを詳しく解説しています。
「もっと詳しく解説してほしい!」という場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡いたください。補足・追記いたします。
もくじ
練習・演奏のポイント
【A】2つのメロディーを歌い分けよう
【A】の場面の特徴はメインとサブ、2つのメロディー歌われることです。
5~8小節はソプラノがメイン、アルトがサブ。9~12小節ではソプラノがメイン、男声がサブです。
それぞれのメロディーの特徴を整理すると次のようになります。
- メイン…細かい動き、mp、ややリズミカルに
- サブ…ゆったり動き、p、なめらかに(スラー)
サブのパートはバックコーラス的なイメージを持っても良いかもしれません。
このような特徴を踏まえることで、それぞれのメロディーの良さを活かしながらも調和したサウンドを作ることができます。
【B】タテのそろいを意識しよう
【A】では2つのメロディーがそれぞれ独立して動いていましたが、【B】では歌詩のタイミングが3パートでそろっている(「タテがそろっている」と言います)ところが多いのが特徴です。
【A】と比べると簡単なようですが、ただなんとなく歌っていると以外にもタイミングがバラけてしいます。
「ここはタテがそろうぞ」という意識を持つことで、ハーモニーも充実し、一体感を持ったサウンドになっていきます。
【C】短く切る音、長さを保つ音を見分けよう
【C】ではメインのメロディーを担当するソプラノと、リズムを担当するアルト・男声に役割が分かれます。
リズム担当パートには「歯切れよく」という指示があります。ここでのポイントは短く切る音、長さを保つ音の区別をしっかりつけること。
- スタッカート、16分音符…短く切る
- テヌート…長さを保つ
特に”きみの”、”たのしそうな”の4分音符は、意識しないと短く効いて歌ってしまいそうな音符です。
短い音、長い音を区別して歌い分けることでリズムにメリハリが生まれ、締まった音楽になります。
【D】音量のバランスに注意してメロディーを活かそう
【D】は【A】と対応する場面ですが、主役のパートが変わります。
まず32~34小節の”あれはきっと はじめてのこい”はアルトと男声がユニゾンでメロディーを歌います。
続く35小節以降ではメロディー担当が男声だけになります。アルトはその上でハモリる役割です。
どこがメロディーでどこがハモリなのかを知っておくのはとても大切。
その理由の1つ目は音取りがスムーズに進むこと。
2つ目は、メロディーはしっかりと、ハモリパートはそこに寄り添うようになどと、歌い方を変えられることです。
【E】小さく入って音量の差をアピールしよう
47小節からが【E】(【B】も同様です)の見せ場。
mp(少し小さく)で入り、そこからクレッシェンドしていき、f(強く)まで持っていきます。
ポイントは2点。1点目はmpを小さめに入ること。これによりクレッシェンドするときのダイナミクスレンジ(音量の差)をより効果的にアピールことができます。
2点目は歌詞にあわせてクレッシェンドをつけること。楽譜をよく見ると”まえをみて”、”すすもうと”、”こころには”という3つのフレーズにそれぞれクレッシェンドがつけられていることが分かります。歌うごとにぐいぐいと大きくしていくイメージで歌いましょう。
【F】fpで聞き手を惹きつけよう
2回目のサビになります。リズムに関する注意点は【C】と同様です。
57小節にあるfp(フォルテピアノ/強く、すぐに小さく)は聞かせどころ。
声を出す瞬間は大きく歌い、そのあとすぐに小さくします。このとき完全に音が消えてしまわないように響きを残すようにしてください。
その他のポイントは以下の通り。
- pにするタイミング
- ぶつかる音は要練習
- 発声が荒くならないように
1. pにするタイミング
fpは大きく歌った後すぐに小さくする記号ですが、fの時間が短すぎても十分なインパクトが出ません。
8分音符1つ分くらいの時間を目安にしてみてください。
このときメンバー内で小さくするタイミングがバラバラにならないよう練習しましょう。
2. ぶつかる音は要練習
ここではアルトが「ラ」、男声が「シ♭」の音を歌っています。
これらの音は半音でかなりハードにぶつかる音(≒不協和音)となっています。
お互いがお互いにつられないよう、しっかり練習しましょう。
ピアノパートを含めた全体ではB♭M7(ビー フラット メイジャー セブンス)というかっこ良いコードになっています。
3. 発声が荒くならないように
fpや山形アクセントを表現しようとして、発声が荒くなってしまうことが心配されるフレーズです。
いくらfpができていても声が悪ければ本末転倒ですので、良い発声をキープすることを意識しましょう。
【G】伸びやかに、気持ちよく歌おう
【G】は「いきいきと」と書かれている場面。
声の出やすい音域に設定されていますので、fで気持ちよく歌い上げましょう。
68小節では男声だけがロングトーンで残るのが正解。
その後69~70小節は繊細な歌い方で。そうすると71小節のピアノパートのrisoluto(リゾルート/決然と)との対比も生まれます。
【H】フレーズ終わりは切ない雰囲気で
3回目のサビです。【C】【F】で触れた注意点は同様に意識しましょう。
80~81小節のフレーズの終わりは、デクレッシェンドに切ない雰囲気が出せると良いと思います。
【I】複雑なハーモニーをクリアしよう
【I】の82~83小節はほとんどアカペラ(伴奏なし)の場面です。
合唱だけでもしっかりとしたハーモニーを作れるようによく練習しておきましょう。
自分のパートの音をきちんと歌うことも大切ですが、それにも増してお互いの声をよく聴きあうことが大切です。
テンポをゆっくりにするとタイミングがずれやすくもなるので、その点にも注意です。
87~88小節でロングトーンに入ってからはとても複雑なハーモニーになっています。
分かれた男声の↑パートの「ド」の音は、ソプラノの「シ♮」の音と半音でぶつかっているので、つられないように。
男声の↓パートの「ファ」の音は、ソプラノの「ミ」の音とぶつかるのでそこも注意しましょう。
浮遊感や不思議な余韻のあるコードになっています。
ポイントの振り返り
- 【A】2つのメロディーを歌い分けよう
- 【B】タテのそろいを意識しよう
- 【C】短く切る音、長さを保つ音を見分けよう
- 【D】音量のバランスに注意してメロディーを活かそう
- 【E】小さく入って音量の差をアピールしよう
- 【F】fpで聞き手を惹きつけよう
- 【G】伸びやかに、気持ちよく歌おう
- 【H】フレーズ終わりは切ない雰囲気で
- 【I】複雑なハーモニーをクリアしよう
「もっと詳しく解説してほしい!」という場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡いたください。補足・追記いたします。