鷹羽弘晃

合唱曲『YELL』歌い方のポイント|聞かせどころの作り方

『YELL』解説
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この記事では2009年度Nコン中学の部課題曲の『YELL』(作詞・作曲:水野良樹 編曲:鷹羽弘晃)について、練習・演奏のポイントを詳しく解説しています。

「もっと詳しく解説してほしい!」という場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡いたください。補足・追記いたします。

練習・演奏のポイント

『YELL』解説

【A】16分休符で遅れずに

【A】では16分休符で始まるフレーズに注意が必要。

このような場合では、歌い出しのタイミングが遅れやすいからです。

[16分音符で始まるフレーズ]

  • “わたしは”
  • “なんども”
  • “みつめかえす”
  • “かれはを”
  • “あきめく”

また、ピアノパートの4分音符が刻むテンポが安定していると、合唱パートの人も歌いやすくなると思います。

【B】長いクレッシェンドを見逃さずに

【B】で注目すべき記号が19小節のpoco a poco cresc.(ポーコ ア ポーコ クレッシェンド)です。

poco a pocoは「少しずつ」、cresc.は「だんだん大きくして」という意味になります。

20~22小節にかけては何も書かれていないようですが、このpoco a poco cresc.が継続しています。

時間を掛けてじっくりと大きくしていきましょう。目標は【C】のf(フォルテ/強く)です。

【C】流れを引き継いでサビを作ろう

【C】はこの曲最初のサビ。

【B】のクレッシェンドの流れを引き継いで、豊かな音量でしっかり盛り上げましょう。

【A2】メロディーの担当を意識して

【A2】からは2番の歌詞になります。メロディーは【A】と同じですが、担当するパートが異なります。

最初は男声です。カッコよく歌いましょう。16分音符で遅れないように注意するのは【A】と同様に。

“くらがりに”からはメロディーがアルトになります。「自分が主役!」という意識を持っていたいましょう。

“だれかを”からは再び男声がメロディー担当、”えがおも”からはまたアルトです。

これらの切り替えをしっかり頭に入れておきましょう。必要に応じて楽譜に書き込んでおくのも有効です。

【D】ビートを感じて魅せ場を作ろう

ここから曲調が大きく変わります。

ピアノパートがスタッカートで刻む8分音符のビートをよく感じてみましょう。

「ソプラノ → アルト+男声」と交互に歌うメロディーの掛け合いを、タイミングよく畳み掛けるように歌ってみましょう。

53小節からはこの曲の大きな魅せ場。fからいったんmf(メゾフォルテ/少し大きく)まで音量を落とした後、poco a poco cresc.で盛り上げます。

ロングトーンに入ってからアルトの「ミ♮ → ソ → ファ♯」という動きが非常に格好良いところです。

【E】ピアノ系の見せ場を作ろう

【E】の音量はmp。ここはピアノ系の静かな場面の聞かせどころとなっています。

しっとりと語るように歌うことで、この曲のメッセージ性をより強く表現できると思います。

【F】クライマックスへ気持ちを持っていこう

ここから最後のクライマックスに向けてラストスパートです。

piu f(ピウ フォルテ)は「より強いfで」の意味。ソプラノはメインのメロディーではありませんが、力強くしっかりと歌っても問題ないと思います。

73小節、“そらへ”のff(フォルティッシモ/フォルテより強く)がこの曲のクライマックスとなります。ここに向かって気持ちを持っていきましょう。

[音量記号の整理]
mf < f < piu f < ff

【Coda】聴き合うことでハーモニーを決めよう

Codaは合唱らしいハーモニーが魅力の場面。

ハーモニーを美しく決めるためには、お互いの声をしっかり聴き合い、響きを溶け合わせるようにすることが最も大切です。

慣れないうちは別のパートの音につられてしまうかもしれませんが、練習を重ねるうちにできてくるはずです。

ポイントの振り返り

  • 【A】16休符で遅れずに
  • 【B】長いクレッシェンドを見逃さずに
  • 【C】流れを引き継いでサビを作ろう
  • 【A2】メロディーの担当を意識して
  • 【D】ビートを感じて魅せ場を作ろう
  • 【E】ピアノ系の見せ場を作ろう
  • 【F】クライマックスへ気持ちを持っていこう
  • 【Coda】聴き合うことでハーモニーを決めよう

「もっと詳しく解説してほしい!」という場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡いたください。補足・追記いたします。