こんな疑問に答えます。
この記事では合唱曲『COSMOS(コスモス)』について、以下のことをまとめました。
- パート練習・音取りのコツ
- 歌い方・アンサンブル(合わせ)のコツ
- 音楽づくりの方向性、仕上げ方のポイント
- 指揮・伴奏で意識すること
この記事を読みながら練習に取り組んでいただきますと、ワンランク上の演奏を目指せること間違いなしの内容になっています。
それではどうぞ!
もくじ
合唱曲『COSMOS』の概要
まずはじめに『COSMOS』という曲の概要について触れておきたいと思います。
- 作詞・作曲:ミマス
- 編曲:富澤裕
- 演奏時間:約4分
- 編成:ピアノ付き混声3部
- 言語:日本語
- 難易度(クラス合唱):ふつう
『COSMOS』の作詞者・作曲者・編曲者について
中学校のクラス合唱向けレパートリーとして絶大な人気を誇る『COSMOS』。
作詞・作曲をされたのはミマスさん。音楽ユニット「アクアマリン」作詞・作曲担当をされているそうです。
『COSMOS』のほか、『地球星歌』などが合唱作品として親しまれています。
編曲者は富澤裕さん。先ほどの『地球星歌』も富澤さんによる編曲です。
『COSMOS』の編成について
『COSMOS』は大人気曲なだけあり、色々なアレンジバージョンがあるようです。
今回取り上げる混声三部版のほか、混声二部版、混声四部版があります。
『COSMOS』の難易度について
『COSMOS』は非常にオーソドックスでシンプルな編曲がなされており、原曲の良さが生かされているのではないかと思います。難易度的にはふつう程度です。
やや難しい点としては、男声に比較的高音域が要求されることだと思います。
また終盤にかけて半音上がる転調もありますので、音域的にやや苦しいかもしれません。
逆にそこをクリアできるならば、親しみやすく歌い易い作品です。
ピアノ伴奏に関しても、オーソドックスな範囲の難易度だと思います。
『COSMOS』の練習番号と構成
練習していく上で曲の構成を掴んでおくことはとても重要です。
ここでは『COSMOS』の練習番号を参考に、構成を分析してみたいと思います。
- 【冒頭】…前奏
- 【A】…Aメロ
- 【B】…Bメロ
- 【C】…サビ
- 【D】…サビ(ヴォカリーズ
- 【E】…Aメロ(1番静か)
- 【F】…Bメロ
- 【G】…サビ
- 【H】…サビ(半音上がる転調)
曲の構成は非常にオーソドックスなものとなっています。
まずAメロでしっとりと歌い出し、歌詩の世界観を伝えます。
その後Bメロの展開では、部分的な転調(Ges-dur/変ト長調)を用いて変化をつけ、サビに向かって盛り上がりを作ります。
サビのメロディーは伸び伸びとしたスケール感が魅力で、比較的高音域が連続するため熱量も感じられます。
2番は1番にをややアレンジしながらの繰り返しとなっています。
終盤に転調(Es-dur→E-dur)と半音上がり、より一層の盛り上がりを見せます。
合唱曲『COSMOS』パート練習のコツ
「音取りが不安だな…」という場合はまずパート練習をしっかり行いましょう。
やり方はこちらの記事(【5ステップ】質の高いパート練習の進め方|PL経験者のノウハウ公開)をご参照ください。
合唱曲『COSMOS』歌い方のコツ
音がしっかり取れたら全体練習(アンサンブル)を行いましょう。
練習番号ごとに解説していきます。
他の曲・フレーズでも応用できるポイントはこちらの記事(【ポイント6つ】全体練習(アンサンブル)をまとめる方法|合唱指揮者が解説)にてまとめていますので、ご利用ください。
【A前半】神秘的な歌詩を伝えよう
『COSMOS』は歌詩の神秘的で壮大な雰囲気も魅力の1つで、聞いている人にぜひに伝えたいところです。
【A前半】のフレーズでは気をつけないと伝わりにくい言葉がたくさんありますのでいくつか取り上げてみましょう。
詳しくはこちらの記事(【日本語編】合唱の歌詩(歌詞)・言葉をはっきり伝えるためのコツと練習法)をご参照ください。
”なつの”
”な”という文字は伝わりにくい音です。ポイントとしてはnの子音をしっかりと響かせること。
8分休符がありますので、この間に準備しておきましょう。
”くさはらに”
”くさはら”の”は”はハ行で伝わりにくい音です。
hの子音をやや長めに歌いましょう。(ハァ~たいな感じ。)
”たかくうたう”
”たかく”と”うたう”が繋がってしまって「たかくーたう」のように聞こえてしまわないよう注意が必要です。
”うたう”の”う”を少々言い直すつもりで歌うのがポイントです。
【A後半】掛け合いを意識して歌おう
【A後半】は前半の発展形のフレーズです。ずれて歌うメロディー(掛け合い)がポイント。
メロディーや歌詩を歌うタイミングのことを「タテ」ということがあります。
Bでポイントとなるのは2点。
掛け合いの部分
”きみの~”と歌い出す部分ではタテがずれていて掛け合いとなっています。
こういった場所は「正しくずれる」ことが大切。リズムを間違わないように覚えましょう。
また、ずれていることアピールするためには子音を立てることが有効です。
今の場合ですと、”きみ”の”k”をやや強調することで、メロディーの掛け合いが明瞭になり、音楽に複雑さが生まれます。
合流地点を意識
今回の場合だと”ぬくもり”からソプラノ・アルト・男声が合流して「タテが揃い」ます。
この場合、歌うタイミングが一致しなければいけません。
ずれた後に合流するふれーずでは、何となく歌っているとぴったりと合いにくいです。
「ここで合流!」という意識を持っておきましょう。
【B】クレッシェンドでサビのfに繋げよう
【C】のサビに入る手前の2小節間にはクレッシェンド(だんだん強く)がつけられています
ここで大きく盛り上げていきましょう。このとき次のfに繋ぐという意識を持つことが大切です。
2小節分じっくりかけて大きくしていくので、途中で息切れしないようペース配分を考えましょう。
どちらかというとクレッシェンドが書かれている後半でより大きくしていくと迫力が出てきます。
【C】音を合わせつつしっかり歌おう
【C】はサビの部分です。
- fの豊かな音量
- 歌詩を伝えること(特に”ひかり”のh子音)
- 丁寧に声を合わせること
これら3つを押さえておくのが肝心です。
大きな声で歌いたい部分ではあるのですが、何も考えずに声を張り上げるだけでは上手な演奏にはなりません。
ここで気をつけたいのは”ひ”の入りの音です。
ソプラノと男声を見てみましょう。どちらもミ♭の音で同じです。
繰り返しになりますが、同じ音を良く合わせるというのは合唱においては非常に基本的で、すぐに上達しやすいポイントです。
【D】デクレッシェンドで丁寧にフレーズを収めよう
【D】のフレーズの終わりにはデクレッシェンドが書かれていますね。【D】とは違う部分となっています。
このデクレッシェンドの役割は、ここでサビのフレーズを収めて前半の大きなまとまりを締めくくることです。
デクレッシェンドの次は点に注意しましょう。
- 小さくペースを全体で合わせる
- 音が下がらないようにする
- 短くならないようにする
【E】繊細なpの音量をキープして歌おう
【E】のpは非常に繊細な音楽です。
曲の中でも一番静かな場面で、サビとは正反対の聞かせ所となっています。
ここで気をつけたいのは、メロディーの音が高くなってもpの音量を保つことです。
”ときのながれ”、”ひとりのこらず”で跳躍(音が飛ぶこと)がありますが、こういったところではついつい声が大きくなってしまいがちです。
フレーズの中で音量に波ができないよう、均等な音量で小さく歌えるように練習してみましょう。
【F】伸ばす音のハーモニーを整えよう
【G】に向かって伸ばす音のハーモニーを整えてみましょう。
まずは”ほたる”の”る”で伸ばす部分に注目です。
アルトと男声がどちらも「レ♭」の音で同じことが分かります。
このような場所で音がばらついていると濁った響きになり、悪目立ちします。
- ピッチ(音の高さ)
- 音色(声の質)
この両方をお互いの響きを聴き合って確かめながら合わせましょう。
さらに”に”まで来たところできれいな和音になってハモります。
ここでもお互いに聴き合うことが非常に大切。
「ピッチ」「音色」の他に、「バランス」にも気をつけましょう。
【G】デクレッシェンドの違いに注意
同じメロディーですがデクレッシェンドの付き方が違うことに注意です。
まとめると次のようになります。【H】も合わせて考察します。
【C】…合唱はデクレッシェンドなし
続く【D】がfで、しかも”Ah”で歌って盛り上がる部分なのでデクレッシェンドなしとなっています。
【D】…最後の小節でデクレッシェンド
続く【E】がpの音量で、曲全体を通して一番静かな部分となっています。
それに繋げる意味のデクレッシェンドです。
【G】…最後から2小節前でデクレッシェンド
リピートで繰り返すのですが、同じフレーズをずっとfで歌い続けるとメリハリが無くなってしまいます。
ここでいったん小さくし、繰り返しでfを作り直すことで、飽きさせずに聞かせられるという工夫となっています。
【H】…最後の2小節分でデクレッシェンド
一番最後はデクレッシェンドが2小節に渡って書かれており、長めです。
曲の最後を締めくくるためにこのように書かれていると思います。
じっくり小さくしていくことで、音が遠ざかっていくような雰囲気を作ることができるでしょう。
【H】転調+ffを輝きのある声で歌おう
これまでのEs-dur(エス デュアー/変ホ長調)からE-dur(エー デュアー/ホ長調)へ転調します。
音が半音上がるのでさらに盛り上がります。
音量はff(フォルティシモ/フォルテより強く)で、この曲でのクライマックスとなります。
しっかり歌いたい部分ですが、同時によくハモってこそ、ffが発揮されます。
逆に音が揃っていなかったりすると、お互いに声の良さを打ち消し合ってしまい、十分にffが響きません。
合唱曲『COSMOS』指揮のポイント
『COSMOS』は4拍子の曲ですので、基本は4拍子図形で振ることになります。
行進曲的なビートをしっかり効かせる音楽とは異なり、歌詩に寄り添ったメロディーやピアノパートの流れるような動きがメインの要素になります。
そのため全体的にはレガート(なめらか)な表情をイメージして振ると良いでしょう。
強弱もはっきりしています。基本的な考え方は以下。
- p系の場面では小さく振る
- f系の場面では大きく振る
終盤転調し、ffの盛り上がりを見せますので、中盤でのサビ(f)なども計算に入れておきましょう。
指揮のコツに関してはこちらの記事(【初心者向け】すぐにできる合唱指揮のコツ5選!【専門知識は不要】)をあわせてご覧ください。
合唱曲『COSMOS』伴奏のポイント
合唱と同じ動きをしている箇所がほとんどとなっています。
そのため常に合唱とのアンサンブルを意識して演奏するのがポイントです。
Dなど、サビの手前では左手のリズムが変わっていますね。
このリズムをうまく活用して合唱のクレッシェンドを引っ張ってあげるとサビの場面がより効果的になります。
Eの場面は合唱に休みでも良いと書かれていることから分かる通り、ピアノの役割が大きくウェイトを占める場面です。
ピアノ・ソロのような気持ちで思い切って主張しましょう。
まとめ:合唱曲『COSMOS』【定番だけど奥深い】
お疲れさまでした。
合唱曲『COSMOS』は定番曲ですが、練習していくとなかなか奥が深いですね。
繰り返し練習してハイクオリティな演奏を目指しましょう!
本ブログではさまざまな合唱のコツをまとめていますので、他の記事もぜひご覧ください。