富岡博志

合唱曲『明日へ』練習・演奏のポイント|フレーズ感を意識しよう

『明日へ』解説
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この記事では合唱曲『明日へ』の練習のコツ・演奏のポイントを詳しくまとめています。この記事を読みながら練習すればワンランク上の演奏に繋がるはず。

ぜひ最後までご覧ください。

『明日へ』の練習番号について

練習を始める前に次のように練習番号をつけておきましょう。この記事ではこの番号に沿って解説を進めます。

  • 【A】7小節~ “あおい”
  • 【A’】15小節~ “はるかな”
  • 【B】23小節~ “どこまで”
  • 【C】31小節~ “はてなく”
  • 【D】55小節~ “どこまで”

練習番号はどこから練習を始めるかを伝えるために役立つだけでなく、曲全体の構成を理解する助けとなります。

『明日へ』練習・演奏のポイント

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【A】ユニゾンで意識したい3つのポイント

【A】の場面はunis.(ユニゾン)と書かれています。

ユニゾンは全員が同じ音でメロディーを歌うことの目印。

次の3つを意識するのがユニゾンでのポイントです。

  1. 音程(ピッチ)
  2. リズム
  3. 伸ばす長さ

1. 音程(ピッチ)

ピッチ、つまり音の高さのこと。

まずはしっかりと音取りをすることが大切。

また、正しい音を頭の中に思い浮かべてから歌い出すことがコツです。

メロディーが一本の線にまとまることを目指してみてください。

2. リズム

【A】の場面ではシンコペーションのリズムが多用されています。

シンコペーションは、「付点4分音符」と「タイで繋がっている音」のことだと思っておけばOK。

これによって躍動的でノリの良いリズム感が生まれています。

少し難しいリズムですが、ずれてしまわないようにメンバー全員でテンポ感を共有し、タイミングを合わせしょう。

ピアノパートも同じリズムを弾いています。こちらの意識も忘れずに。

3. 伸ばす長さ

10小節や14小節には休符があります。その直前の音符の長さがそろうように意識できるとユニゾンをより丁寧に聞かせることができます。

休符のタイミングを取るコツはブレスを合わせること。

今回の場合、休符がフレーズの切れ目となっているため、ここでブレス(息継ぎ)を取ることになります。ブレスを合わせ、その直前ギリギリまで音を伸ばすようにすると自然と音符の長さもそろいます。

[ブレスのタイミング]

  • 10小節…4拍目表、大きめに吸う(1拍)
  • 14小節…4拍目裏、短く吸う(半拍)

【A’】ハモリ方の違いを考えて

【A】はユニゾンでしたが、【A’】からはパートが分かれてハモります。ここが大きな違いです。

どのようにハモるのか、違いを整理してみましょう。

15~18小節

ソプラノが主旋律、アルトがハモリです。

アルトは「ミ→レ♯→レ♮→ド♯→ド♮→シ」のように音が半音ずつ下がっていく半音進行となっています。

美しいラインですので、少しアピールできると良いと思います。

19~20小節

ここは男声がメロディーです。

存在感が出るように、堂々と自信を持って歌いましょう。

21~22小節

ここからソプラノ・アルト・男声がそれぞれ異なる音を出す3パートのハモリとなります。

男声の音は難しいので要注意。♯がつく音は【B】に入って短調となる前触れとなっています。

【B】強弱の対比をくっきりと

ここからは転調して嬰ハ短調になっています。

暗さのある、厳しさを感じさせる調で、”どこまでいけるかわからないけど”、”こどくやふあんをのりこえて”という歌詞によくマッチしていますね。

音量に注目すると、まずはf(フォルテ/強く)、そのあとmp(メゾピアノ/少し弱く)と変化します。

fとmpはかなり大きな差になります。強弱の差(ダイナミクスレンジ)をしっかりつけると、効果的な表現となります。

ここでのmpには、後にあるcresc.(クレッシェンド/だんだん大きく)を際立たせる役割があります。

一旦小さくしてからクレッシェンドすることで効果倍増というわけです。

【C】フレーズ感をとらえて歌おう

【C】からは伸びやかな気持ちの良い、サビとも言えるフレーズとなっています。

フレーズのまとまりを大きく、4小節単位で捉えて歌いましょう。

ブレス記号がありますので、それを守ることで自然にできるようになっています。

ソプラノのメロディーは最高音「ミ」まで到達します。

高い音なので、この高さを歌い切れるよう、しっかり体の準備をして入るのがコツです

この「ミ」の場所がフレーズの頂点となっています。クレッシェンドが書かれているわけではないですが、そこに向かって音をふくらませるようなイメージを持って歌うと良いと思います。

39~42小節も同様に歌いましょう。

【D】クライマックスを歌いきろう

【D】は基本的には【C】と同様のフレーズ感となりますが、ラストの69~71小節でメロディーが最高音「ミ」に向かって上がっていく点は大きな違いとなります。

ここは【D】だけでなく曲全体を通してのクライマックスとなりますので、一番盛り上がるように、気持ちを持っていきましょう。

息が足りなくなってしまうときは()つきのブレス記号で息継ぎをしても構いません。上手く利用してください。

【C】【D】の終わりでは”はしっていくよ”というフレーズが繰り返し登場します。

注意したいのが男声の”よ”の音。3回とも違うので、音取りの段階でぜひ把握しておきたいポイントです。

[“よ”の音]

  • 47小節…「ラ」
  • 51小節…「ソ♯」
  • 71小節…「ド♯」

特に2回目は要注意。和音が異なるためこうなっているのですが、非常に音が取りづらくなっています。

音が取れるまで練習を繰り返しても悪くありませんが、どのような和音になっているかを感じた上で、そこにはまる音をすくい取るような練習ができるとより効果的です。

ポイントの振り返り

  • 【A】ユニゾンで意識したい3つのポイント
  • 【A’】ハモリ方の違いを考えて
  • 【B】強弱の対比をくっきりと
  • 【C】フレーズ感をとらえて歌おう
  • 【D】クライマックスを歌いきろう

「もっと詳しく解説してほしい!」という場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡いたください。補足・追記いたします。