こんな疑問に答えます。
移動ドを使って楽譜を読むには次の3ステップが必要です。
- 調を見分ける
- 音名と階名の対応表を作る
- 移動ドを書き込んで歌う
この記事ではこの手順について初心者の方でも分かりやすいように具体例を使って詳しく解説します。
目標は自力で移動ドの「ドレミ」を楽譜に書き込めるようになることです。
移動ドで読めるようにしておくと音取りのスピードが格段にアップします。
ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
【3ステップ】移動ド(階名唱)の読み方
最初にも書きましたが、移動ドで歌うための手順は次の3ステップです。
- 調を見分ける
- 音名と階名の対応表を作る
- 移動ドを書き込んで歌う
ステップ1. 調を見分ける
次の楽譜に移動ドをつけてみましょう。
最初のステップは調を見分けることです。
- シャープが2つであること
- 最後の音が「音名のレ」
これらの手がかりから今回はニ長調となりそうですね。
ステップ2. 音名と階名の対応表を作る
ニ長調の音階は次のようになります。
表にまとめると次のようになります。
音名(固定ド) | レ | ミ | ファ♯ | ソ | ラ | シ | ド♯ |
階名(移動ド) | ド (do) | レ (re) | ミ (mi) | ファ (fa) | ソ (so) | ラ (la) | ティ (ti) |
階名の略記法 | d | r | m | f | s | l | t |
調が分からなくても「ド」が見つかれば大丈夫
ステップ1.で調が分からなかった人は次のようにして「ド」の位置を探しましょう。
[♯系の調の場合]
- 一番右の♯に注目。そこが「階名のティ」
- その半音上の音が「階名のド」
♭系の調の場合は次のようになります。
[♭系の調の場合]
- 一番右の♭に注目。そこが「階名のファ」
- その4度下の音が「階名のド」
※4度が分からなければ「ファ→ミ→レ→ド」とたどればOKです。
ステップ3. 移動ドを書き込んで歌う
対応表を使って移動ドを書き込むと次のようになります。
音名(固定ド) | レ | ミ | ファ♯ | ソ | ラ | シ | ド♯ |
階名(移動ド) | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | ティ |
書き込めたら歌ってみましょう。
臨時記号が出てきたときの移動ド
今回は調号のシャープしか登場しませんでしたが、臨時記号のときの読み方もあります。
- 半音上がるとき(♯・♮)…~i(語尾がイ母音で終わる)
- 半音下がるとき(♭・♮)…~a(語尾がア母音で終わる)
半音上がるときの移動ド
元の音の階名 | ド (do) | レ (re) | ミ (mi) | ファ (fa) | ソ (so) | ラ (la) | ティ (ti) |
半音上がるとき | ディ (di) | リ (ri) | – (-) | フィ (fi) | シ (si) | リ (li) | – (-) |
半音下がるときの移動ド
元の音の階名 | ド (do) | レ (re) | ミ (mi) | ファ (fa) | ソ (so) | ラ (la) | ティ (ti) |
半音上がるとき | – (-) | ラ (ra) | マ (ma) | フィ (-) | – (-) | ロ (lo) | タ (ta) |
臨時記号が出てきたときの例
具体例を挙げておきます。
短調のときの移動ド
「短調のときはどうすれば良いの?」という疑問もあると思います。
同じように「ド」を探し、そこからたどればOKです。
長調も短調も階名は同じ
短調の曲でも長調のときと同じように移動ドをつけることができます。
音の並び方(スタート地点)は変わりましたが、音名と階名の対応関係は同じことが分かると思います。
表にまとめると次のようになります。
音名(固定ド) | シ | ド♯ | レ | ミ | ファ♯ | ソ | ラ |
階名(移動ド) | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ |
今回の場合も右端の♯が「階名のティ」となりますので、そこからたどれば「ド」や「ラ」を見つけることができます。
短調のときは臨時記号に注意
短調の具体例を出してみます。
このように短調の場合は導音(どうおん)として臨時記号が使われることがあります。
移動ドの感覚をより鍛えるには?【トレーニング法】
さて、ここまで移動ドの読み方を解説してきましたが「やり方は分かったけど正直、歌えない…」という方が大半だと思います。
それも仕方がありません。移動ドで歌うにはトレーニングを積むことでだんだん感覚を磨いていく必要があるからです。
そこでここからは「どうやったら感覚を磨くことができるの?」という疑問に答えたいと思います。
方法は次の3つです。
- 初見の楽譜を歌う
- 知っている歌を頭の中で移動ドに変換する
- アプリで練習する
これらの他、音楽理論に軽く触れるとより理解が深まります。
鍛え方1. 初見の楽譜を歌う
まだ歌ったことのない楽譜は絶好の移動ド教材です。
簡単な曲で良いので初見で歌うことに挑戦してみましょう。
このときキーボードなどの楽器を使わないのがポイントです。
鍛え方2. 知っている歌を頭の中で移動ドに変換する
小さい頃から親しんでいる童謡も教材になります。
- ぶんぶんぶん
- かえるの合唱(かえるのうた)
- 故郷(ふるさと)
- きらきら星
- 森のくまさん
これらの曲のメロディーを頭の中で思い浮かべながら移動ドに変換して歌います。
鍛え方3. アプリで練習する『ずっしーの音感トレーニング』
アプリを使うことでお手軽に練習できます。
流れているBGMを聴きながら、それを基準に音を当てることで相対音感(=移動ドの感覚)を鍛えることができます。
まとめ:普段の練習でどんどん取り入れよう
移動ドを使って楽譜を読む手順を振り返ります。
- 調を見分ける
- 音名と階名の対応表を作る
- 移動ドを書き込んで歌う
移動ド唱法は非常にメリットの大きい手法ですが、慣れないうちは難しさを感じると思います。
ある程度感覚が見について効果を感じるまでに時間が掛かるので地道に頑張りましょう。
挫折しないためには簡単な曲にたくさん触れるのが良く、そのためには普段の練習でどんどん取り入れるのが良いと思います。
「ピアノで弾いたほうが早いよね?」と思うかもしれませんが、慣れれば移動ドのほうが早かったりしますし、音楽そのもののセンスも養うことができます。
新しいスキルを習得するのは大変ですが、できるようになればそれが財産となるので頑張りましょう。
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