楽譜の読み方

【注意あり】長調・短調の違いと見分け方【シャープ→長調、フラット→短調ではない】

長調・短調の違いと見分け方
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男の子
男の子
長調・短調の違いって何ですか?何となくは分かるのですが楽譜を見ても見分けられないです。

こんな疑問に答えます。

長調・短調に関してはよく次のように説明されます。

  • 長調…明るい調、「ド」が中心
  • 短調…暗い調、「ラ」が中心

とは言うものの、実際に楽譜を見たときにどうやって見分けたら良いのか分かりませんよね。

また、次のように勘違いしている人も多いです。本当は違うので要注意です。

[よくある間違い]

  • ♯がつく調→長調
  • ♭がつく調→短調

そこで今回の記事では長調・短調の違いと見分け方について、分かりやすく解説したいと思います。

今回の内容を知っていると「この曲は何調?」ということもすぐに見分けられるようになると思います。

ぜひ最後までご覧ください。

「そもそも調って何?」という方は【ポイントは2つ】音楽の調ってどういうこと?意味を分かりやすく解説もあわせてご覧ください。
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長調・短調の違い【長調は明るい、短調は暗い】

最初にも書いたとおり、長調・短調の違いは次のようになります。

  • 長調…明るい調、「ド」が中心
  • 短調…暗い調、「ラ」が中心

実際に曲を聴いてみて、「明るい感じか暗い感じか」が分かればで判断できるということですね。

ただ「ド」「ラ」が中心というところはピンとこない人も多いと思います。

これを理解するためには階名の考え方を知っておく必要があります。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
階名について後ほどあらためて触れたいと思います。

【前提と注意点】長調・短調を見分けるときに知っておくべきこと

さっそく長調・短調の見分け方を解説していきたいのですが、その前に知っておいて欲しいことがあります。

それが次の2点です。

  • 1つの調号で表される調は2つある
  • ♯→長調、♭→短調ではない

【前提】1つの調号で表される調は2つある

1つの調号で表される調は2つあります。

言い換えると、調号だけではどちらの調になるかは分からないということになります。

例を挙げて説明します。

ト音記号やヘ音記号の右側についている♯・♭を調号と呼びます。

例1. ♭が1つの調 → ヘ長調 or ニ短調

フラット1

フラットが1つついた場合は次の2つの調の可能性があります。

  • ヘ長調
  • ニ短調

例2. ♯♭なし → ハ長調 or イ短調

調号なし

調号なしの場合も2種類の調が表せます。

  • ハ長調
  • イ短調

【要注意】♯→長調、♭→短調ではない

先ほどの例から、

  • ♯→長調
  • ♭→短調

とは必ずしもならないことが分かります。

言い換えると♯で短調のときもあるし、♭で長調のときがあるということです。

実際の曲では、「調号+聴いたときの印象・音の使い方」で長調・短調のどちらになるかを判断します。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
調号だけでは調は決まらないことを知っておきましょう。

また例を挙げてみます。聴いてみると分かりやすいです。

音が出ます。音量注意です。

♯でも短調の例:ホ短調

ホ短調の音階


調号は♯1つですが、聴いてみると暗い感じがしますよね。これは短調です。

♭でも長調の例:変ホ長調

変ホ長調の音階

♭がたくさんつくと暗い調のように思えますが、聴いてみると明るい感じを受けると思います。

これは長調ですね。

【3つの方法】長調・短調の見分け方

ここから長調・短調を見分ける方法を紹介します。

次の3つです。

  1. 聴いた印象で見分ける
  2. メロディーの終わりの階名で見分ける
  3. 導音で見分ける

見分け方1. 聴いた印象で見分ける

長調・短調の一番の違いは聴いたときの印象です。

最初に説明した通り次のようになります。

  • 長調…明るい
  • 短調…暗い
えすた@指揮者
えすた@指揮者
パッと分かりやすい方法です。

例題

長調・短調見分け方の例題

聴いてみましょう。

今回は暗い感じですので短調ということが分かります。

♭が4つつく場合は、

  • 変イ長調
  • ヘ短調

の2種類が考えられます。

なのでこの場合はヘ短調になります。

見分け方2. メロディーの終わりの階名で見分ける

音源を聴かずに楽譜だけで判断できる方法です。

メロディーの最後の音に注目してみましょう。

  • 階名の「ド」→長調
  • 階名の「ラ」→短調

ここでの「ド」「ラ」は音名でなく階名であることに注意が必要です。

階名は調の中の音の役割と思ってもらうとOKです。

これだけだと難しいと思うので、手順を詳しく解説します。

手順1. 右端の調号(♯・♭)に注目する

長調・短調見分け方の例題

まずは右端の調号に注目します。

今は♭が上から2番目の線の上についていますね。

手順2. ♯→階名の「シ」、♭→階名の「ファ」

先ほど注目した場所の階名は次のようになります。

  • 右端の♯→階名の「シ」
  • 右端の♭→階名の「ファ」
えすた@指揮者
えすた@指揮者
シャープの「シ」、フラットの「ファ」と覚えましょう。

手順3. 最後の音の階名を調べる

一番最後の2分音符の階名を調べます。

先ほど上から2本目の線が「ファ」であることが分かりました。

ここからたどっていきます。

音名ファラ♭シ♭レ♭
階名シ(ティ)ファ

この表を右から左へたどっていきます。

そうすると2分音符でちょうど階名が「ラ」になっていることが分かります。

よってこの曲は短調ということが分かります。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
ヘ短調なのでヘ音が階名の「ラ」になります。ヘ音とは音名で「ファ」のことです。

見分け方3. 導音で見分ける

長調・短調見分け方の例題

導音(どうおん)というのは難しい言葉ですが、簡単に言うと最後の音に解決する直前の音です。

今回の場合だと最後から2番目の4分音符ですね。

  • 長調…導音に臨時記号なし
  • 短調…導音に臨時記号あり

このように判断することができます。

メロディーだけでなく、内声(アルトやテノール)にあることもありますので注意深く探しましょう。

短調の導音を探す手順

次のステップで探せます。

  1. 曲やフレーズの最後の部分に注目する
  2. 最後の音の少し手前に臨時記号がないかを探す
  3. 臨時記号がついていれば短調

今回は「ミ♮」が導音。臨時記号がついているので短調となります。

まとめ:長調・短調を見分けるには総合的な判断が必要

まとめです。

長調・短調の見分け方として次の3つの方法を紹介しました。

  1. 聴いた印象で見分ける
  2. メロディーの終わりの音で見分ける
  3. 導音で見分ける

加えて、前提・注意点として次のこともあわせて知っておくと良いと思います。

  • 1つの調号で2つの調が表せる
  • ♯→長調、♭→短調ではない

調の見分け方は実は結構難しく、聴いたときの感覚や楽譜の情報から総合して判断しないといけません。

その他の記事は【まとめ】音楽の調・調性を詳しく解説|基礎~応用まで分かる記事からどうぞ。

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