こんな悩みに答えます。
「音程が悪い」「声のピッチが低い」などの指摘を受けると結構ショックですよね。分かります。(どうしても必要ですが…)
音程・ピッチを改善するには結構地道な訓練が必要です。
ですが改善スピードを上げることもできます。その秘訣は「ピッチが下がりやすいパターンを知っておくこと」です。
理由は以下。
- すぐに原因が分かり、スムーズに改善できるから
- 先読みし、指摘される前に意識できるから
この記事ではよくあるパターン9つとその原因・対策を解説しました。
ピッチが悪いと合唱の魅力である美しいハーモニーが生まれません。
「これはできそうだな」「これは知らなかったな」というものはぜひ取り入れてみてください。
音程・ピッチが悪くなりがちな9パターンと対策
ピッチが悪くなりがちなパターンを知っておくと対策がとりやすくなり練習もスムーズです。
次の9パターンです。
- 体・声が起きていないとき
- 音を取ったばかりのとき
- 次の音がイメージできていないとき
- 音を伸ばすとき(ロングトーン)
- 音が飛ぶフレーズのとき(跳躍音型)
- 音が降りるフレーズのとき(下降音型)
- 音量が小さいとき(弱声部分)
- 音色が暗いとき
- 自信が無さそうな指揮をしているとき
1.体・声が起きていないとき【ウォームアップをしっかりと】
朝イチや午前中に練習するとき、練習の序盤では体や声が起きていません。
まだまだ調子が上がってきていないので、ピッチが悪くなりやすいです。
まずはしっかりとウォーミングアップを行いましょう。
2.音を取ったばかりのとき【少しずつ体を慣らそう】
音を取ったばかりのときは要注意です。
新しいフレーズに慣れていないので、知らずしらずのうちにノドに負担を掛けてしまうことが多いからです。
そうするとピッチは下がってきます。
新しい曲を練習するときはこのことに留意して、少しずつ体を慣らしていくことが必要です。
音取りを早くするコツをつかめば負担を減らすことができます。
3.次の音がイメージできていないとき【入りの音は特に集中しよう】
歌い出しの音(アインザッツ)ではピッチが低くなったり、ばらついたりすることが多いです。
初歩的ですが、次の音をしっかりイメージし、体の準備するのが肝心です。
歌い出しの音というのは聞いている人の印象を大きく左右します。
本番だけでなく練習のときから集中して臨みたいポイントです。
4.音を伸ばすとき(ロングトーン)【音が高くなっていくイメージで】
ロングトーンでは、気づかないうちに音が下がってしまっている場合が多いです。
同じ音を出しているつもりでも、自然と低くなっていってしまうんですね(重力がはたらいていると言ったりします)。
初心者のうちは「音がだんだん高くなっていく」「音が遠くに飛んでいくイメージ」といったイメージを持つと上手くいきやすいです。
何かしらの工夫と意識が無いとピッチをキープできないということは知っておきましょう。
5.音が飛ぶフレーズのとき(跳躍音程)【歌い切れるブレス・体が必要】
大きく音が上がる(跳躍する)フレーズも注意が必要です。
上がった後の音が高いと正しい音まで届かないことがあります。(音が「ぶら下がる」と言うことがあります。)
跳躍音程を上手く歌うポイントは次の通り。
- 上がった先の音をしっかりイメージする
- フレーズを歌い出す前に体の準備をする
- 難しいフレーズを歌い切れるだけのブレスを取る
次の音楽のイメージとそれに対する体・ブレスの準備が必要です。
6.音が降りるフレーズのとき(下降音型)【最初の1~2音目は特に注意】
音が降りるフレーズのことを下降音型と呼びます。
このような場合、正しい音よりも下がり過ぎてしまうことが良くあります。
ポイントとなるのは最初の1~2つめの音と言われています。
ここを慎重に降りるとフレーズ全体が上手く歌えます。
7.音量が小さいとき(弱声部分)【全身で支えをキープ】
音量が小さい場面では、体の使い方をさぼってしまうことが良くあります。
そうなるとピッチが落っこちます。
弱声部分ではむしろ体全身を使ってピッチをキープするよう意識する必要があります。
8.音色が暗いとき
正しい音を歌っているのに音色(声の質)のが原因で低めに聞こえてしまうことがあります。
音色が暗いとピッチは低く聞こえがちです。
もちろん目指す音楽によって適切な音色も変わってくるのですが、基本的には明るい音色で歌うことを意識すると良いと思います。
意識しやすいコツとしては、顔の表情を明るくすること。自然な範囲で口角を上げて歌ってみましょう。
9.自信が無さそうな指揮をしているとき
最後に指揮者の角度から。
「指揮とピッチなんて関係あるの?」と思われるかもしれませんが、実は大アリ。指揮者の技量でピッチは変わります。
代表的な例として、自信が無さそうな指揮を見るとプレイヤーのピッチは悪くなりがちです。
指揮者の自信の無さはプレイヤーに思った以上に伝わります。
そうするとプレイヤーは思い切ったブレス・発声ができなくなり、ピッチが下がるというメカニズムだと考えています。
たとえ指揮初心者であっても自信だけは持って振りましょう。
ピッチが悪くなるパターンとして、他には次のような場合が考えられます。(少し専門的な用語あり。)
- 手首がくねくねしている
- ブレス・予備運動が不適切
- 点が分かりにくい
- 加減速が不安定
総じて、プレイヤーに不安を抱かせ、気持ちよく歌ってもらえない場合にはピッチが悪くなってしまう指揮になります。
「低い」と言いすぎない【パートリーダー/指揮者向け】
私の場合、練習の際には「低い」という言い方での指摘はなるべくしないようにしています。
理由は「ピッチ悪いよ!」って言われると歌う側は結構ショックだからです。
きつい指摘をしすぎると歌っている方は委縮してしまいます。
委縮するとブレスが浅くなり、体も使えなくなり、結果としてピッチはさらに悪くなる…という悪循環に陥ります。
そこでネガティブな表現をなるべく避け、代わりに具体的にどう歌えば良いかを伝えるようにしています。
例を挙げます。
- 「ここは音程不安定になりがちだから気をつけて」
- 「ここはしっかり支えて」
- 「ここはこういうイメージだと取りやすいです」
もし「音程悪いよ、ピッチ低いよ」と言わざるを得ないときでも口調にはかなり気を使います。朗らかに言われるのと辛らつに言われるのでは印象が全然違いますからね。
指揮者のやるべきことはダメ出しではなく「音を引き出すこと」と思うのでこんなアプローチをしています。
雰囲気が良く楽しい練習にすることにも繋がるのでおすすめです。
指摘して改善したら「良くなったよ!」と伝えることもお忘れなく。
まとめ:指摘だけではなく原因究明と処方箋が大切
ピッチが悪くなりがちなパターンを9つ紹介しました。
- 体・声が起きていないとき
- 音を取ったばかりのとき
- 次の音がイメージできていないとき
- 音を伸ばすとき(ロングトーン)
- 音が飛ぶフレーズのとき(跳躍音型)
- 音が降りるフレーズのとき(下降音型)
- 音量が小さいとき(弱声部分)
- 音色が暗いとき
- 自信が無さそうな指揮をしているとき
これらのパターンを知っておけば、実際の練習でもすぐに気づいて対策することができるはず。
慣れてくれば「ここはピッチに注意だな」と先回りして気をつけることもできるようになります。
指導する側からすると「ピッチ低いよ!」という指摘はついつい多くなってしまいます。
ハーモニーなどを作っていく上で非常に重要な要素だからですね。
ですが、指摘するだけでは不十分化と思います。
- 原因を突き止めること
- どんな練習をすれば改善できるか考えること
- 良くなったかどうか判断すること
ここまで踏み込むと練習のクオリティ(効率・楽しさ・充実度)が格段にアップします。
その他練習法に関することはこちら(【絶対に上手くなる】合唱の練習方法まとめ|流れ・目的・内容を解説)でまとめています。あわせてご覧ください。