この記事では合唱曲『変わらないもの』の練習のコツ・演奏のポイントを詳しくまとめています。

卒業式などにもぴったりの曲です。指導する際の参考にしていただければと思います。

ぜひ最後までご覧ください。

『変わらないもの』の練習番号

練習を始める前に次のように練習番号をつけておきましょう。

  • 【A】6小節~ “あなたがいて”
  • 【B】14小節~ “とおく”
  • 【C】24小節~ “きみとであった”
  • 【D】37小節~ “これからもずっと”

練習番号はどこから練習を始めるかを伝えるために役立つだけでなく、曲全体の構成を理解する助けとなります。

『変わらないもの』練習・演奏のポイント

ここからは先ほどつけた練習番号に沿って解説していきます。

【A】6小節~ “あなたがいて”

ユニゾンをよくそろえて

【A】はユニゾン、つまりソプラノ・アルト・男声が全員同じ音を歌います。

他のパートにつられてしまう心配がないので簡単なようですが、逆に言えば、音がばらついてしまうと目立ちやすいということでもあります。

全員の歌う音がしっかりそろうように、お互いの声をよく聴き合って歌いましょう。

高めの音に注意

12小節の”それでもそこに”のフレーズでは、高めの音(高いレ)が出てきます。

ここで注意したいこととして、2つ挙げておきたいと思います。

1つ目は、正しい音にしっかりと上がり切ること。「跳躍」と言って高めの音へと跳ぶときは、本来歌うべき音まで上がりきれず、低めに歌ってしまうことが起こりやすいです。

そうならないためには、事前に「次は高い音が来るぞ」という意識と準備をしておくことが大切です。

2つ目は、音が上がったときに急に音量が大きくならないようにすることです。【A】の音量はmp(メゾピアノ/少し小さく)となっていますから、それほど大きく盛り上がる場面ではありません。

音が高くなったときには自然と音量が大きくなってしまうものなので、無理矢理に抑制して全く音量の変化をなくすことまでは必要ありませんが、あくまで比較的静かな雰囲気の中で歌うことを心がけると良いでしょう。

8分音符を丁寧に歌おう

【A】はしっとりと落ち着いた場面で、語りかけるような雰囲気になっています。

このフレーズを歌う際に気をつけたいのが、アウフタクトといって、フレーズの始めの8分音符です。

例を以下に示します。

[注意したい8分音符の例]

  • なたがいて”
  • たしがいて”
  • りかえれば”

下線部で示したアウフタクトの音符は、それぞれの言葉の1文字目となっています。

歌詞を伝える上では、この文字を丁寧に発音することが大切です。なぜなら、最初の文字を聴き取ってもらえると、歌詞全体も一気に伝わりやすくなるからです。

それぞれ少し低い音となっているので、少し歌いづらいかもしれませんが、少し意識するだけでずいぶん変わると思いますので、チャレンジしてみてください。

【B】 14小節~ “とおく”

「掛け合い」のフレーズ

【A】ではユニゾンで全員が同じメロディーを歌いました。

それに対し、【B】ではまず男声がメロディーを歌い、遅れて女声が入るというフレーズになっています。「掛け合い」と呼ぶことが多いです。

このように、【A】と【B】では音楽の構造が明確に変わっていることをまずは知っておきましょう。

掛け合いのフレーズでは、ずれて歌われるメロディーがうまく絡み合って進んでいくことが重要です。

男声の”とおく”はメロディーですから、主役意識を持って積極的に歌ってほしいと思います。

女声は、男声のメロディーをよく聴いて自分たちが入るタイミングをはかることが大切です。

クレッシェンドを活かそう

【B】の場面で忘れてはいけないのが18小節に書かれているcresc.(クレッシェンド/だんだん大きく)です。

じわじわと盛り上げていくことで、”こころのなかに”の力強いフレーズ(ここで更にクレッシェンドが書かれています)、さらに続く【C】のサビ的な場面につなぐような役割があります。

このクレッシェンドは点線で21小節まで繋がっているため、かなり長い期間にわたっています。

こういった場合、記号が書かれている場所で一気に大きくしてしまうと、後半で息切れしてしまうことが多いです。

最初は小さめに歌い、後半まで余力を取っておくことが長いクレッシェンドでのコツです。

アクセントを力強く

21~24小節の”こころのなかに”のフレーズには、アクセント(>の記号)テヌート(ーの記号)がつけられていることに注目しましょう。

  • アクセント…目立たせて
  • テヌート…長さを十分に保って

合唱では基本的に、レガートといって滑らかに歌うのが基本です。

ですがアクセントがついてる場合は、一つ一つの音のつぶをはっきりと、固いタッチで歌います。アクセントでは音の長さがやや短くなったり、はずむように演奏されることもあります。

ですが、ここではテヌートもあわせて書かれていますので、目立たせながらも音の長さが短くならないように、軽い感じにならように歌うのが良いと思います。

また、アクセントを表現しようとするあまり雑にならないようにして、歌詞のメッセージを丁寧にかつ力強く表現できると良いと思います。

【C】24小節~ “きみとであった”

豊かな響きで

【C】からはサビ的な場面となります。

音量はf(フォルテ/強く)です。【B】の場面のクレッシェンドを引き継いで、豊かな音量で歌いましょう。

ただし、大きな声で歌おうとするあまり、雑になってしまわないよう、良い発声を保つことをあわせて意識しましょう。

ハーモニーを充実させて

【C】ではハーモニーもポイントです。

【A】ではユニゾン、【B】では掛け合いと2声でのハーモニーが主体でしたが、【C】ではソプラノ・アルト・男声の3声がそれぞれ別の音を歌っています。

そのため、和音の響きが非常に豊かな場面となっています。

【B】は3パートでハモっているように見える部分でも、実はソプラノ・男声が同じ音を歌っていることが多いため、実質2声でのハーモニーが主体となります。

ハモるときのコツは、まずは自分の音をしっかり取ること。そしてその上で、自分以外の声もよく聴きながら歌うことです。

慣れないうちはつられてしまうこともあると思いますが、練習を積み重ねることでできてくるはずです。

また、この3パートの中ではアルトの音量が小さくなりがちですので、できる範囲で大きめに歌うと響きが豊かになります。もちろん全体の音を聴きながら音量バランスを取るのが大切です。

レガートに歌おう

【B】の最後のフレーズ”こころのなかに”ではアクセントを表現するようにお伝えしました。

一方で【C】に入ってからは、通常の通りレガート(滑らか)な歌い方に戻すようにしましょう。

そうすることで歌詞の内容に歌い方がリンクしますし、ハーモニーの豊かさもアップします。

【D】37小節~ “これからもずっと”

テンポの変化に注意

meno mosso(メノ・モッソ)は「これまでより遅く」の意味。

そのため、これまでと同じように歌うと先に進みすぎてしまうので意識しておきましょう。

ピアノパートの8分音符を聴くとテンポ感を共有しやすいと思います。

優しいユニゾンで

”これからもずっと”は曲を締めくくる最後のフレーズとなります。

ユニゾンの音をよくそろえて、優しい雰囲気mpで歌いましょう。

イメージを持ったデクレッシェンドで

“ずっと“で伸ばすところにはデクレッシェンドがありますので、伸ばしながらだんだん小さくしていきましょう。

消えていくと言うよりは、音がだんだん遠くへ去っていくようなイメージを持つと素敵なラストシーンになりそうです。

まとめ

『変わらないもの』は、やさしく語りかけるような雰囲気と、サビで広がるハーモニーが魅力的な合唱曲です。

本記事が、皆さまの練習や演奏づくりのヒントになれば幸いです。

「もっと詳しく解説してほしい!」という場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。補足・追記いたします。