こんな疑問に答えます。
結論から言うと、手の形は「指先までまっすぐ伸ばし、手のひらは上向き」というのが基本になります。
この記事ではそうする理由と手の形の悪い例、他の手の形のパターンをいくつか紹介したいと思います。
指揮において手の形と言うのは重要です。これによって音の出(で)がかなり変わるからです。
レベルの高い指揮者は手の形にまで神経を使い、意図的に振り分けています。
この記事を読めばそのヒントが得られるはずです。
2年以上指揮法を勉強し、5年以上合唱指揮をしてきた筆者自身の経験をもとに書きました。参考になれば幸いです。
ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
指揮をするときの手の形:指先まで真っ直ぐに、手のひらは上向き
冒頭で述べたように、指揮をするときの手の形は「指先までまっすぐ伸ばし、手のひらは上向きにする」のが基本だと考えましょう。
全力で力を入れてピーンと固くする、というところまではやらなくてもOKです。
肘は軽く曲げ、指先まで自然に伸ばすというイメージを持つと上手く構えられます。
このようにする理由は4つあります。
- カッコよく振れる
- 点(打点)が明確になる
- 腕全体が使える(エリアが広くなる)
- 積極的な音楽が引き出せる
1,2,3が「指先まで真っすぐ伸ばす理由」、4が「手のひらを上向きにする理由」です。
順に詳しく解説します。
理由1.カッコよく振れる
指先までしっかり伸びていると、単純に振っている姿がカッコよいです。
逆に、手首がクネクネしていたり、指がウネウネしていると見た目が美しくない指揮になってしまいます。
初心者の方にとって、難しいテクニックは分からないにしろ、せめて見た目はそれらしくしたいですよね。
そのために簡単にできることの一つが、「指先までまっすぐ伸ばすこと」です。
理由2.点(打点)が明確になる
指揮の中でもとりわけ重要な役割が拍を示すことです。
指揮の用語では「点」や「打点」という言葉が使われます。「拍」と同じような意味と思ってもらえばOKです。
指揮の動きを見たとき、4拍子の図形を振っていたならば4分音符4つ分のリズムが感じられると思います。
これが「点」が見えるということです。
指先までしっかり伸びていると、この「点」が明確になり、拍が見えやすくなります。
逆に手首や指先が伸びていないと「点」が見えにくくなります。
理由3.腕全体が使える(エリアが広くなる)
こちらの記事(【初心者向け】すぐにできる合唱指揮のコツ5選!【専門知識は不要】)でも書きましたが、指揮を上手に振るコツの一つが「腕全体を広く使う」ことです。
指先まできれいに伸ばそうとすると、肩~上腕~肘~前腕~手首~指先まで全体に意識が行き渡ります。
結果として腕全体を使えるようになります。
初心者の方でやってしまいがちなのが、手首のスナップだけで「点(拍)」を示そうとすることです。
このような指揮は「小手先感」が出てしまいあまりカッコ良くない上、色々な弊害もあります。
【手首だけで振る弊害】
- すべての音がスタッカート気味に見える
- 裏拍が感じられない
- ダイナミクスの表現がしづらい
誤解がないように補足しておきます。
「まっすぐ伸ばす」のはあくまで手の形に関してです。
肩~上腕~肘~前腕は自然体で、柔軟に動かせるようにしておきましょう。
特に「しゃくい」運動では
- 肘の回転
- 裏拍での脱力
がポイントになります。
理由4.積極的な音楽が引き出せる
4つ目の理由は「積極的な音楽が引き出せる」ということです。
手のひらの向きは、プレイヤーに次のような印象を与えます。
- 手のひら上向き…「歌って!」
- 手のひらを下向き…「歌わないで、抑えて」
実感できるところがあるのではないでしょうか。
音楽は積極的に表現される方が良いものができる、というのが私の考えです。
なので私が指揮するときには、基本的に「手のひらは上向き」です。
「手のひらを下向き」で振るときには何かしらの意図を持って行います。
手の形の悪い例:無意味にクネクネさせる
逆にやってはいけないのが「手首を無意味にクネクネさせる」ことです。
手首から先がクネクネしていると色々悪いことがあります
理由を挙げてみます。
- 音の出が揃わない(点が分からない)
- あまりカッコ良くない
- ちゃらけた音になる
1と2に関してはここまでに説明してきた通りです。
3に関してですが、指揮の動きというのは良いことだけでなく悪いこともプレイヤーに伝わってしまいます。
手首がクネクネしていると音楽自体もそんな感じになってしまうわけですね。
そういう意味では、ちゃらちゃらした感じの音とか、エロチックな音が欲しいという意図があるときには敢えて使うのもありです。
ふざけているのではなく、本気で言っています。
【発展】手の形は音の出にダイレクトに影響する
ここまでの話でお分かりかと思いますが、指揮者の手の形は音の出にダイレクトに影響します。
このことは重要なのでぜひ覚えておきましょう。
発展として、どのような手の形で振るとどんな音になるのか、いくつか例を挙げてみたいと思います。
- グーを強く握る→硬い音、重い音、大きい音
- 手を伏せる→小さい音、抑制された音、緊張感のある音
- 指先までやや脱力させる→柔らかい音
手の形は「指揮者としてプレイヤーにどんな音の出を要求するか」によって選択することになります。
これができるようになればかなりの指揮上級者です。
初心者の方は難しければ、基本に忠実に「指先までまっすぐ伸ばす」でOKです。
このポイントをしっかり押さえるだけでも、きれいでカッコ良い棒が振れるようになるはずです。
まとめ:指揮をするとき手の形
今回は指揮をするときの手の形はどうするか、ということを解説しました。
「指先まで自然にまっすぐ伸ばし、手のひらを上に向ける」のが基本となります。
これを押さえた上で、次のような手の形のバリエーションを効果的に使い分けてください。
- グーを強く握る→硬い音、重い音、大きい音
- 手を伏せる→小さい音、抑制された音、緊張感のある音
- 指先までやや脱力させる→柔らかい音
こちらの記事(【まとめ】初心者のための指揮法完全ガイド|合唱指揮者が基礎から解説)では指揮法を学ぶ上で知っておきたい知識をまとめています。あわせてご覧ください。