こんな疑問に答えます。
結論から言うとパートのバランスはだいたい均等にするのが基本的な考え方だと思います。
混声四部合唱のSATBなら1:1:1:1の比率ですね。
この記事では次のトピックに関しても解説します。
- 人数バランスより音量バランスが大切
- 音量バランスが悪いときの対処法
- 人数バランスが悪い時の対処法(主に混声3部合唱)
パート分けや練習方法のヒントにもなると思います。ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
合唱パートの比率【基本は均等でOK】
合唱パートの人数バランスですが、基本は均等に近く振り分けるのがよいと思います。
ただし均等と言ってもぴったり等分しなくても大丈夫です。ある程度でOK。
その理由を詳しく解説していきます。大事なポイントは次の3つです。
- 各パートの重要度は同じ
- 人数バランスより音量バランスが大切
- 適切な音量バランスは曲やフレーズによって変わる
各パートの重要度は同じ
合唱においてはどのパートも等しく重要です。
- このパートは重要度が高い
- あのパートの重要度は低い
このようなことは無いということですね。
混声4部合唱のSATBであれば、ソプラノもアルトもテノールもバスも同じくらいの大切さ。
なのでどこかのパートをあえて増やしたり、減らしたりすることは基本的に必要ありません。
人数バランスより音量バランスが大切
こんなこともあると思いますが、多少の人数の偏りなら問題ありません。
ここで覚えておいて欲しいのが、人数のバランスよりも「実際に音を鳴らしてみたときの音量バランス」が大切であるということです。
- 人数バランス…各パートの人数
- 音量バランス…各パートの音量【重要!】
音量バランスを整えることで音楽に立体感を与えたり、ハーモニーをより美しくすることができます。
音量バランスは練習しながら調整していくことができますので、多少なら人数が偏っていても気にしなくてよい、ということです。
ただし極端に人数が偏っている場合、練習では調節しきれないということもありますので、ある程度は均等にパートを振り分けるようにしましょう。
適切な音量バランスは曲やフレーズによって変わる
良い音楽を作るには音量バランスが大切と説明してきましたが、適切な音量バランスというのは曲やフレーズによっても変わります。
言い換えれば、どんなときでも各パートが同じ音量になっていればよいということではないということです。
例を挙げてみます。
- ここはアルトがメロディーだから大きめに
- ここはテノールが和音の第3音だから小さめに
- ここは掛け合いだから後から入るパートを大きめに
練習の際にはこのようなことを考えて音量バランスを整えていくことになります。
つまり、各パートの人数が均等であってもそうでなくても、結局は調整が必要になるということです。
音量バランスが悪いときの対処法【3つ】
こんなときの対処法を3つ紹介したいと思います。
- 大きすぎるパートは小さく、小さすぎるパートは大きく
- 人数が少ないパートの声を意識的に聴くようにする
- 曲や場面によってパート間で移動する(応援にいく)
1.大きすぎるパートは小さく、小さすぎるパートは大きく
1つ目の方法は大きすぎるパートは小さく、小さすぎるパートは大きく歌うことです。
主に指揮者が聴いて判断し、各パートに指示を出します。
例えばテノールの音量が大きすぎる、という場合には次のようになります。
- テノールが小さく歌う
- テノール以外のパートが大きく歌う
ちなみにこのような場合、私ならどちらかといえば後者の指示(テノール以外が大きく歌う)だけを出すことが多いです。
小さく抑えてもらうよりは、しっかり歌ってもらった方が積極的な音楽になると考えているからです。(もちろん場合にもよります。)
2.音量が小さいパートの声を意識的に聴くようにする
合唱ではお互いの声を聴き合うことはとても重要です。それはバランスを取ることに関しても同じです。
特に、音量が1番小さくなっているパートの声を意識的に聴くことは非常に有効で、こうすると自然にバランスが整ってきます。
また「このパートはこんな音を歌っていたんだ!」という発見もできるのでおすすめの方法です。
3.曲や場面によってパートを移動する(応援にいく)
あるパートの音量が不足してるとき、別のパートの人にその部分だけ歌ってもらう(応援してもらう)方法です。
1~2の方法だけではバランスが整わないときに使うと良いでしょう。
例えばアルトにだけdiv.(ディヴィジ/分かれて歌う)があったとします。
そうするとパートの人数が半分になってしまうため、存在感不足になってしまうことが起こり得ますよね。
こんなとき、div.のある部分だけソプラノに手伝ってもらうとバランスが取れて豊かな響きが作れます。
他には次のようなパターンも考えられます。
- テノールの音域が低くて出にくい→バスが応援
- バスの音域が高すぎて出にくい→テノールが応援
このようにdiv.が多いときや音域的に難しい場面で使うと良いと思います。
混声3部合唱の場合の対策法【4つ】
中学校で良く歌われる混声3部合唱は「ソプラノ・アルト・男声」というパート編成になっています。
たいていのクラスで男女比は同じくらいだと思うので、必然的に男声が多くなりますよね。
この場合どうすればバランスが取りやすいか考えてみます。次の4つを解説します。
- 声量より質を高める
- パート分けを工夫する
- 選曲を工夫する
- 並び方を工夫する
1.声量より質を高める
男声が一生懸命歌ってくれると非常に頼もしいのですが、人数も多いし元気もよいしでバランスを取るのが大変です。
この一生懸命さを声量よりも質に振り向けることが音量バランスの解決策の1つです。
質を高めることで雑然とした響きが減り、同時に耳も使えるようになるので女声の声が引き立ってきます。
質を高めるということについて具体例を挙げてみます。
- ピッチ(音程)をより正確に歌う
- 音色(声の質)をより丁寧にそろえる
- 歌い方をよりレガートに(滑らかに)歌う
「合唱=とにかく頑張って大きな声で歌う」というイメージがあるかもしれませんが、耳を使ってピッチや音色を磨くことも同じかそれ以上に大切です。
2.パート分けを工夫する
中学生の場合、男子のメンバーの中には声変わりがまだという方もいるかもしれません。
もし無理なく歌えるようであれば、アルト(あるいはソプラノ)を歌ってもらっても良いでしょう。
ただし、ちょっと恥ずかしいかもしれないので本人の意思次第だと思います。
3.選曲を工夫する
もしやる気とチャレンジ精神があるなら、思い切って混声4部合唱に挑戦してみても良いかもしれません。
パートがSATB(ソプラノ・アルト・テノール・バス)となるので男声が多すぎる問題を解消することができます。
「混声4部合唱は難しすぎる…」という場合には、女声のユニゾンが多い曲を選ぶとというと思います。
4.並び方を工夫する
オーソドックスなオーダー(ソプラノ・アルト・男声)で並んでしまうと、ぱっと見の半分が男声なので、パートバランスの悪さが目立ってしまいます。
混声3部合唱では男声が全員1つのパートだからですね。
そこで男声は列の後ろに並んでもらい、前列にソプラノ・アルトと並んでもらいます。
こうすると見た目のアンバランスも解消できますし、女声が前に出てくるので音量バランスの改善効果も望めます。
まとめ:基本は均等に。練習方法や選曲、並び方も工夫しよう
合唱の人数比率はだいたい均等にしておくのがよいと思います。
多少の偏りは練習しながら調整していけばOKです。
実際に鳴っている音のバランスが何より重要です。
中学生の混声3部合唱の場合や、団の特性によっては選曲や並び方(オーダー)を工夫してみましょう!
その他、合唱パート全般に関してはこちらの記事(【まとめ】合唱パートに関する基礎知識・ノウハウ【初心者・PL向け】)にてまとめていますのであわせてご覧ください。