こんな方に向けた記事です。
合唱において、上質な演奏をするにはきちんとポイントを押さえて練習することがとても大切です。
この記事では合唱曲『信じる』の歌い方のコツについて、合唱歴10年以上・合唱指揮者歴5年以上の筆者が詳しく解説します。
この記事を読みながら練習に取り組めば、確実にワンランク上の演奏を目指すことができるはずです。
次の練習番号に沿って解説していきます。
- 【冒頭】1小節~
- 【A】11小節~
- 【B】27小節~
- 【C】37小節~
- 【D】45小節~
- 【E】52小節~
- 【F】58小節~
- 【G】66小節~
- 【H】86小節~
- 【I】93小節~
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もくじ
合唱曲『信じる』歌い方のコツ
練習番号に沿って解説していきます。
音取りに不安がある場合、まずはしっかりとパート練習を行いましょう。
こちらの記事(【5ステップ】質の高いパート練習の進め方|PL経験者のノウハウ公開)もご参照ください。
【練習番号A】ユニゾン・ハモりを区別しよう
11小節目~【A】としました。ここから合唱が歌い出します。
ポイントはユニゾンとハモる部分を区別して意識することです。
- ユニゾン(”わらうときには”など)…みんなで同じ1つの音を歌う
- ハモり(”おおぐちあけて”など)…ハーモニーが広がるイメージを持つ
また”じぶんにうそが”からはソプラノとアルト・男声の掛け合いとなっています。
こういった箇所では子音を上手く使うことでメロディーの絡み合いをアピールすることができます。
【練習番号B】molto legatoの表現を工夫しよう
27小節~【B】としました。
ここではmolto legato(モルト・レガート/よりいっそうなめらかに)と言う指示が書かれています。
実はここまでのフレーズ(【練習番号A】)でもすでにlegatoの指示が書かれていました。
そのためmolto legatoを表現するには、差をつけるための工夫が必要になってきます。
具体的にはdolce(ドルチェ/甘く、柔らかく)的な表情があると良いのではないかと思います。
【練習番号C】テンポに乗り遅れないように
37小節目~【C】です。
次の記号に注意です。
- Piu mosso(ピウ・モッソ/前より速く)
- stringendo(ストリンジェンド/だんだん急き立てて)
- poco a poco cresc.(ポーコ・ア・ポーコ・クレッシェンド/少しずつ強く)
これらの指示から分かるのは、単に速くしたり大きくしたりするだけでなく緊張感や切迫感と言った内面的な変化も求められているということです。
【練習番号D】legatoとmarcatoの変化をつけよう
45小節目~【D】です。
【C】の激しい音楽とは一転、Liricamente(リリカメンテ/叙情的に)の場面です。
ここでは歌い方と気持ちに変化をつけることがポイントです。
- legato(レガート/なめらかに)…ウルっと来るような切なさ
- marcato(マルカート/音を一つひとつはっきりと)…意志の強さ
【練習番号E】メロディーの受け渡しに気をつけよう
52小節目~【E】です。Parlando(パルランド/語るように)の場面となっています。
ここでは次のようにメロディーを受け私ながら音楽が進みます。
- ”しんじることで”…ソプラノ・男声
- ”しんじることで”…アルト
- ”いのち”…ソプラノ
- ”いのち”…アルト
- ”いのち”…男声
後に続くパートは前のパートの音を聴き、それをヒントに自分の音をイメージしましょう。
【練習番号G】mf, fでもあくまでなめらかに歌おう
61小節目~【F】です。Con moto(コン・モート/動きを持って)で、テンポがやや前向きになる場面です。
mf, f系の指示ですが、ここもなるべくレガートに歌った方がこの場面の美しさを引き出すことができると思います。
82~85小節目は【H】へ続くブリッジ的な部分で、聞かせ所となっています。
stringendo(だんだん急き立てて)にも注意しましょう。
【練習番号H】印象的な和音を決めよう
86小節目~【H】です。
前奏のメロディーを”lalala”で歌う非常に感動的な場面です。
特に印象深いのは91~92小節目の和音ですね。
ハーモニーをしっかり決めた上で、美しくデクレッシェンドしましょう。
- ピッチをキープすること
- 響きを音さないこと
- 小さくしていく足並みをそろえること
これらのことがポイントとなります。
【練習番号I】ユニゾンで静かに曲を締めくくろう
93小節目~【I】です。Tranquillo(トランキーロ/静かに)の場面となっています。
ここのユニゾンはこれ以上なく大切に歌いましょう。
感覚を研ぎ澄ませて音をそろえるイメージを持ってみてください。
最後のロングトーンはデクレッシェンドではないことに注意です。
pの音量をキープし、十分に余韻を残しましょう。
まとめ:歌い方を表す記号の意味をとらえよう
ポイントを振り返っておきます。
- 【練習番号A】ユニゾン・ハモりを区別しよう
- 【練習番号B】molto legatoの表現を工夫しよう
- 【練習番号C】テンポに乗り遅れないように
- 【練習番号D】legatoとmarcatoの変化をつけよう
- 【練習番号E】メロディーの受け渡しに気をつけよう
- 【練習番号G】mf, fでもあくまでなめらかに歌おう
- 【練習番号H】印象的な和音を決めよう
- 【練習番号I】ユニゾンで静かに曲を締めくくろう
『信じる』では場面ごとに細かく歌い方・表情に関する指示が書かれています。
まずはしっかりと意味を押さえ、「どうやって歌えばよいか」「どのような音楽をつくりたいか」まで意識して練習できるとても良い演奏になると思います。
全体練習(アンサンブル)のポイントについてはこちらの記事(【ポイント6つ】全体練習(アンサンブル)をまとめる方法|合唱指揮者が解説)で解説していますので合わせてご覧ください。