合唱曲紹介・解説

合唱曲『正解』(RADWIMPS)練習・演奏と指揮のポイント解説

『正解』練習・演奏・指揮のポイント_サムネイル
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この記事ではRADWIMPSの『正解』の練習・演奏のポイントをまとめています。

指揮の仕方についても簡単に触れていますので、ご利用ください。

参考になれば幸いです。

公式サイト(https://radwimps.jp/music/10613/)からダウンロードできる楽譜に基づいて解説し、歌詩などを楽譜から引用する際には””で示しています。

【Intro.】ハモリはゆっくりと、アカペラで練習しよう

『正解』練習・演奏・指揮のポイント

練習・演奏のポイント

曲が始まって最初の4小節、”Uh”の部分はずっとハモっています。

このような箇所ではアカペラ、つまりピアノ伴奏を抜いて練習してみましょう。

そうすることで、ハーモニーの響きをよりいっそう感じながら歌えます。

また、テンポをゆっくりで練習するのも非常に有効です。

1つ1つの和音を決めていくことを意識しましょう。

指揮のコツ

この曲では、ピアノパートだけの前奏がなく、いきなり合唱が始まることになります。

ピアノと合唱、両者のテンポ感をしっかりと統一できるよう、「どれくらいのテンポで曲をスタートさせるのか?」ということをしっかりと頭に思い描いてから振り始めるのが大切です。

【A】ユニゾンを語りかけるように

練習・演奏のポイント

【A】の場面では、しっかり言葉を喋って、語りかけるように歌いましょう。

音量はmpです。

指揮のコツ

指揮者も歌詩をしっかり意識することが大切です。

「この言葉はこの言葉に掛かる」というように言葉同士の繋がりを思いながら振ると、フレ―ジングが上手くいきやすいです。

【B】”Uh”の歌い方に変化をつけて

練習・演奏のポイント

アルトと男声が歌う”Uh”では、アーディキレーション(歌い方)を示す記号に注意しましょう。

横棒のような記号のテヌートは、「音の長さを十分に保って」というような意味ですが、それに加え、少しだけリズムを目立たせるように歌い、存在感を持たせましょう。

ただし、アクセントではないので、あまりきついタッチにならないよう気をつけてください。

テヌートがない2分音符はスラーを書き込んでおいてもよいと思います。2つの音を滑らかに繋げて歌ってください。

指揮のコツ

【B】の入りはソプラノがメロディーですので、そちらに対してキュー出し(=入るタイミングを示すこと)を行いましょう。

“Uh”の方を意識しすぎるとメロディーが歌いにくくなるかもしれません。なので基本的にはメロディーを歌うソプラノに対して振りましょう。

【C】メロディーは臨時記号に注意

練習・演奏のポイント

ここでは男声(テノール)が1パートでメロディーを担わなければなりませんので、堂々としっかり目に歌いましょう。

臨時記号(♭)が出てきていますのでピッチに注意が必要です。ピアノパートが弾く和音の変化をよく聞くとヒントになります。

25小節の”やれるかが”の♮は難しいのでよく確認しておきましょう。

指揮のコツ

男声がメロディーになるので、まずはそれに対してキュー出しを。

26~27小節の女声の入りに対して、目線を送るようにするとさらに良いでしょう。

【D】tuttiでパワーアップ

練習・演奏のポイント

ここでは3パートがそろってメロディーを歌います。

音量的にもmp(少し弱く)→mf(少し強く)へワンランクアップしていますので、しっかり歌いましょう。

これまでは「語りかけるように」歌ってきましたが、ここからは「歌い上げる」系の雰囲気に変えていきましょう。

指揮のコツ

指揮でも音量の変化を表現したいところです。

mpの場面と比べて、mfは少し腕の動かし方を大きく、また力強く振りましょう。

【E】メロディーの受け渡しと役割の変化

練習・演奏のポイント

この場面ではメロディーを歌うパートが、ソプラノ → 男声(テナー) → アルト → 男声(テナー)→tutti(全員)と受け継がれていくことが特徴です。

まずはこの流れを把握しておくことが大切です。

その上で、メロディーを歌うときは主役としての意識し、それ以外のパート(”Uh”や”Ah”)ではバックコーラスとして控えめに歌うことを意識すると、音楽に立体感が出てきます

また、48小節の”ようなどはない”では、3パートが合流しますので、ここは一体感を意識して。

指揮のコツ

上記の通り、ここではメロディーの受け渡しが鍵となります。

そのため、次にメロディーを担当するパートに対してアイコンタクトやキュー出しをできるとよいでしょう。

【F】間奏

指揮のコツ

これまでと同様、場面の切り替わりでピアニストに対するキュー出しを行いましょう。

それ以降はあまりうるさく振りすぎるとピアニストの邪魔になりやすいので、それほど一生懸命に表現する必要はありません。

【G】mpに戻そう

練習・演奏のポイント

【G】に入ったら音量をいったんmpに戻すのが重要です。

こうすることで、この後【I】のサビまで行ったときの盛り上がりとの対比でメリハリをつけることができます。

大きくする方は意識できても、小さくする方は忘れがちなので注意。

ただし、小さくてもメロディーは主役意識は持って。

指揮のコツ

mpに戻すことを合唱メンバーが忘れないよう、教えてあげるつもりで振りましょう。

【F】の後、体と腕の状態をリラックスさせるようにすると、次は盛り上がるところではないよという意図が伝わります。

【H】♭系のハモリに注意

練習・演奏のポイント

男声は【C】と同様、♭や♮の音に注意してください。

それに加え、女声のハモリが【C】との違いです。

♭が出てくるハーモニーはよく確認しておきましょう。

指揮のコツ

男声がメインのメロディーになりますので、自信を持って入れるよう、キュー出しをしましょう。

【I】充実したハーモニーで

練習・演奏のポイント

ここからサビに入りますが、ハモっていることが【D】との大きな違いです。

ここは音取りがけっこう大変だと思うので、重点的に練習しておきたところです。

パート練習も必要に応じて取り入れてください。

指揮のコツ

ここからmfのサビになりますので、大きく振って盛り上げて歌わせるようにしましょう。

【J】しっかりしゃべる

練習・演奏のポイント

ここは16分音符の連打が印象的なフレーズです。

リズムと言葉を際立たせるようにすると印象深くなります。

また、83小節のヴォカリーズはffとなっています。極端な表現にする必要はありませんが、しっかり準備して入るのが大切です。

指揮のコツ

16分音符の細かい動きになりますが、焦らずにテンポをキープして振りましょう。

4拍子で振ることになりますが、1拍の中に16分音符のビート感(タカタカ)を感じながら。

83小節のffに対しては大きなブレス(振り出す前に息を吸う)を取ってください。

【K】pの表現を大切に

練習・演奏のポイント

曲中唯一、p(小さく)で歌う場面です。

“あなた”、”きみ”といった言葉の情景を想像して、大切に歌いたいフレーズです。

指揮のコツ

pなので図形(腕の振り方)は小さめに。

ただし、拍が曖昧にならないよう注意しましょう。

全身に力が入っていると、”あなた”、”きみ”といった言葉の優しいニュアンスが出にくくなります。

体・腕をリラックスさせると、柔らかいpが表現できると思います。

同時に、アイコンタクトや表情も大切です。

【L】クライマックスシーン

練習・演奏のポイント

【J】で少し出てきたffを除けば、fが出てくるのはここだけ。

ここからが一番盛り上がるシーンになるよう、曲全体を通して計算して歌い進めることが必要です。

101小節は3拍子になっています。リズムやタイミングに注意しながら、”まで”のアクセントを印象的に歌いましょう。

指揮のコツ

  • 100小節…4拍子(イチ・ニー・サン・シ)
  • 101小節…3拍子(イチ・ニー・サン)
  • 102小節…4拍子(イチ・ニー・サン・シ)

となっているので、図形の切り替えをしっかり練習しておきましょう。

【M】fの勢いを失わないように

練習・演奏のポイント

ここからも引き続きfの音楽になります。

fがずっと続いていると、だんだんと息切れして勢いを失ってしまいやすいです。

フレーズが始まるたび、新しい気持ちで盛り上がりを作り直しましょう。

また、108~111小節ではパートがズレて入ります。

入り方が曖昧にならないよう、繰り返し練習してタイミングを掴みましょう。

指揮のコツ

引き続き、fの音楽をキープできるよう、図形を大きめに振りましょう。

また、フレーズの始まりでキュー出しとともにブレスを取ることも大切です。

108~111小節はパートの掛け合いを意識して、次に歌い出すパートに対してキュー出しを行いましょう。

【N】メロディーラインを力強く聞かせて

練習・演奏のポイント

【N】の前半は3パートによるユニゾンです。

全員が同じ音を歌うことで力強くメッセージを伝えましょう。

116小節からはアルトが単独でメロディーを歌います。

パート数が減ってしまうのですが、メロディーとしての存在感を失わないようにしましょう。

指揮のコツ

まずはアルトにしっかりと歌わせること。

余裕があれば、ソプラノ、テナー(男声)の”Ah”に対しても振ってよいでしょう。

【O】しっとりと締めくくって

練習・演奏のポイント

“はじめ”は✕印の音符になっています。

これはこの近辺のピッチで、という意味。言い換えれば、少し音を外して、ということでもあります。

Youtubeなどで聞ける音源は、割と正確な音(「レファファ」)で歌っているようことが多いです。

それでも良いですし、もう少し音を外して、話すように歌うも良いように思います。

半分くらいの人が「レファファ」で、もう半分くらいの人が外して歌うというのも良いでしょう。

よーい はじめ”という号令にカジュアルな表情が出ると良いと思います。

直前のデクレッシェンドを上手く利用すると、しっとりとした雰囲気で曲を締めくくることができると思います。

指揮のコツ

曲の終わりに向かってデクレッシェンドしていきますので、その雰囲気が出るように。

終わりに向かって柔らかいタッチで振るようにしていく良いと思います。

終わりに

最後までご覧いただきありがとうございました。

メロディーをユニゾンで歌うのか、ハモって歌うのかを意識すると、メリハリがつき、メッセージも伝わりやすくなると思います。

なにか質問がありましたら、お問い合わせからお気軽にご連絡いただければと思います。