こんな疑問に答えます。
練習の際に1番大切なのは「ここを良くしよう」という目的意識です。
これが無ければどんなに練習しても前に進みません。
そこでこの記事では、全体練習(アンサンブル)で気をつけるべきチェックポイントを詳しくまとめました。
これらのポイントを知っているのと知らないのでは、練習の効率や本番での仕上がりが段違いです。
ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
前提:各パートの音取り状況を確認
アンサンブルの初期段階では各パートの音取りがどれくらいできているかも確認しましょう。
ひとまず通して歌ってみて、きちんと歌えるか試してみるのも1つの方法です。
- ここは音が分からないな
- ここは釣らがちだな
- 入るタイミングが分からないな
こういったことが出てくると思います。
慣れていないと1回目のアンサンブルで完璧に歌いこなすことは難しいです。
パート練習⇔アンサンブルを何度も繰り返して歌えるようにしていきましょう。
全体練習をまとめる方法【ポイント6つ】
ここからはアンサンブルでチェックしておくべきポイントの解説に入ります。
ポイントは次の6つです。
- 歌い方(フレージング)
- 言葉・歌詩(歌詞)
- 掛け合い(ポリフォニー)
- ハーモニー
- 強弱
- テンポ変化
ポイント1.歌い方(フレージング)
1つ目のポイントは歌い方です。フレージングと呼んだりもします。
イメージがつかみやすいよう、具体例を挙げてみます。
フレーズ(メロディー)のまとまり
どこからどこまでを1つのまとまりとして歌うかを決め、練習しましょう。
「スラー」や「ブレス記号」が手掛かりにになります。
跳躍音程(飛ぶ音)
音が飛ぶ音を跳躍音程と言います。
跳躍のあるフレーズではピッチが不安定になったりバラついたりします。
「上がる/下がる先の音をイメージしてから歌うこと」がコツです。
レガート/マルカート
これらは歌う音のタッチを指示する言葉です。意味は次の通り。
- レガート…なめらかに
- マルカート…一つひとつの音をはっきり
歌の基本はレガートです。
なんだかメロディーラインがゴツゴツしていて荒っぽいなと感じるときはもっとレガートで歌うことを意識しましょう。
マルカートで歌うべき部分に関しては記号(marcato)がつけられることが多いです。
ポイント2.言葉・歌詩(歌詞)
歌詩がしっかり伝えられると音楽としての魅力がさらにアップします。
逆に歌詩が伝わらないと、聞いている人は「なんだか言ってることが分からなくてモヤモヤするな…」となってしまいます。
日本語の場合は次のことを練習しましょう。
- 母音(ぼいん)…a, i, u, e, o
- 子音(しいん)…k, s, t, n, h, m, y, r, w
- アクセント【やや難】
アクセントは言葉の抑揚のことです。
これに関しては難しいのでまずは母音・子音から意識しましょう。
ポイント3.掛け合い(ポリフォニー)
歌詩やメロディーを各パートがずれて歌うことを掛け合いと呼びます。
場面に変化をつけたり、複雑なサウンドを作ったりする大切な要素です。
- タイミング
- 音量バランス
- 言葉・歌詩
これらのことを意識しましょう。
掛け合いがうまくいって、立体的で複雑な音楽が作れます。
タイミング
掛け合いではずれて歌うので入るタイミングを見失いやすいです。
前のパートのメロディーを聴いてから入れるようにしておくのが重要です。
音量バランス
最初に入るパートの音量が大きすぎると、後から入るパートが聞こえにくくなってしまします。
- 最初のパートは小さめに入る
- 後から入るパートはやや主張する
このように工夫することでバランスを取ることができます。
言葉・歌詩
掛け合いの場面では言葉や歌詩を伝えることの重要性が高まります。
ずれて歌うため言葉が伝わりにくくなるからですね。
普段よりも子音をやや強調するのがコツとです。
ポイント4.ハーモニー
ハーモニーは合唱の大きな魅力のひとつです。
- 音高(ピッチ)をそろえる
- 音色(声の質)をそろえる
- 音量バランスを整える
これらがきれいにハモるために重要な要素となります。
自分が歌うことに一生懸命にならず、全体の響きに耳を澄ますことがコツです。
ポイント5.強弱変化
楽譜にはf(フォルテ/強く)やp(ピアノ/小さく)などいろいろな強弱記号が書かれていると思います。
これらの記号を音楽に生かせると、ドラマ性や説得力を高めることができます。
次のステップで練習を進めていきましょう。
- 意味を調べて共有する
- 足並みをそろえる
- 作曲者の意図を読み取る【やや難】
意味を調べて共有する
fやpだと意味は簡単ですが、ときにはpiu fやsub.pなどぱっと意味が分からない記号が出てきます。
「よく分からんけど、まあいっか」で済ませるのではなく、きちんと意味を調べましょう。
調べたらそれをメンバー全体で共有しておくのも大切です。
足並みをそろえる
fひとつ取ってみても、人によってどのくらいの大きさかなのかイメージがそれぞれ異なります。
イメージがばらついていると強弱表現の効果が半減してしまいます。
特に注意したいのがクレッシェンドやデクレッシェンドなど、強弱をだんだんと変えていく記号です。
- どこまで大きく/小さくするか
- どのぐらいのペースで大きく/小さくするか
といったことを決め、足並みがそろうように練習しましょう。
作曲者の意図を読み取る【やや難】
記号の意味を知っておくのは大切ですが、できることならばもう一歩、作曲者の意図まで踏み込めると良いでしょう。
言い換えると「なぜ作曲者はこの記号をつけたのか、どのように歌って欲しいのかを読み取る」ということです。
特に次のような記号の場合は何かしら特別な思いがあるはずです。
- ff、pp
- piu f、piu p
- meno f、meno p
- アクセント
- テヌート
ポイント6.テンポ変化
テンポ変化は本番前にしっかり確認しておきたいポイントです。
例としてはこのような記号があります。
- rit.(リタルダンド/だんだん遅く)
- accel.(アッチェレランド/だんだん速く)
- a tempo(ア・テンポ/元の速さで)
次のステップで練習を進めましょう。
- 指揮者…振り方とイメージを固める
- メンバー全体でテンポ感を共有する
- 伴奏者(ピアニスト)とも呼吸を合わせる
指揮者…振り方とイメージを固める
テンポ変化をまとめるには指揮者の役割が重要です。
指揮者の人はまず、どれくらいのテンポにしたいのか決めて自分の中で音楽のイメージを固めましょう。
音楽のイメージを持つことでそれが腕の動き(振り方)ににじみ出ます。
メンバー全体でテンポ感を共有する
指揮の動きだけで伝えきれない部分は言葉にして伝えましょう。
次のような指示出しになります。
- このテンポ感でいきます
- ここからテンポを変えます
- こんな感じで振ります
伴奏者(ピアニスト)とも呼吸を合わせる
ピアニストの存在も忘れてはいけません。
というより、ピアノパートはテンポ感を生み出す重要な役割を持っています。
しっかり打ち合わせておきましょう。
まとめ:目的意識を持って練習しよう
6つのポイントを振り返ります。
- 歌い方(フレージング)
- 言葉・歌詩(歌詞)
- 掛け合い(ポリフォニー)
- ハーモニー
- 強弱
- テンポ変化
練習する際には、「どの部分を良くしようとしているのか」を意識しましょう。
そうすれば曲が仕上がっていくのスピードが格段に上がるはずです。
全体練習(アンサンブル)だけでは改善しきれない場合、パートに持ち帰って徹底練習することも必要です。
こちらの記事(【5ステップ】質の高いパート練習の進め方|PL経験者のノウハウ公開)も合わせてご覧ください。
コンクールの攻略法について知りたい方はこちら記事(【まとめ】合唱コンクール完全攻略ロードマップ|3ステップで解説)をご覧ください。