山崎朋子

合唱曲『あさがお』練習と演奏のポイント解説|場面ごとのメリハリをつけよう

『あさがお』練習・演奏のポイント
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山崎朋子さん作曲の『あさがお』の歌い方・練習のポイントをまとめた解説記事です。

やさしく語るところと、力強く盛り上げるところの対比がドラマを作る上でのポイントになりそうです。

kokomu提供の『あさがお』(山崎朋子 作曲)を参考に、本文中で歌詩などを引用する場合には「””」で示しています。

合唱曲『あさがお』練習と演奏のポイント

『あさがお』解説

【A】9小節~

1. ユニゾンをそろえよう

【A】の場面はユニゾン、つまり全員が同じ音を歌うフレーズとなっています。

つられないので簡単、と思うかもしれませんが、音がばらついていると、目立ってしまう部分でもあります。

全員の音や声の質がぴったりそろうよう、聞き合って丁寧に歌いましょう。

ここで音がよくそろっていると、【B】や【C】での掛け合いやハモリが出てきた時の印象を高めることができると思います。

2. mpはやさしく

音量記号はmp(メゾピアノ/少し弱く)です。

やさしく、語りかけるように歌いましょう。

最初の場面では小さめに歌うことで、やはり【B】【C】での音量変化をより強く印象付けることができます。

3. 言葉を大切に

小さく歌うときだからこそ、言葉を大切に、しっかりと届ける意識が大切です。

合唱で言葉を伝えようとする時にポイントとなるのが、単語の1文字目です。

以下に例を挙げてみます。

  • けないって
  • よいころで
  • ちあがってすんで

下線部分がポイントとなる文字です。

少し強調して歌うことで、言葉の伝わりやすさが段違いに変わります。

※やりすぎて不自然にならないように注意してください。

【B】25小節~

1. フレーズの掛け合いを意識して

【A】はユニゾンでした。【B】では掛け合いが登場することが大きな変化点となります。

つまり、女声と男声とでメロディーをずれて歌うようになるのですね。

女声が先行しますが、男声はこれをよく聞いて、入るタイミングを取りましょう。

後から追いかけるパートの方が聞こえづらいことが多いので、存在感を少しだけアピールするようにすると良いでしょう。

2. 音量がワンランクアップ

【B】の音量はmf(メゾフォルテ/少し強く)です。

これは【A】と比べるとワンランクアップとなります。

力強さを増すようなイメージで歌いましょう。

3. サビに向かってクレッシェンド

29小節にはcresc.が書かれています。

意味はクレッシェンドで「だんだん大きく」ですが、文字で書かれたクレッシェンドの場合は、内面的な(=気持ち的な)熱さが伴うことが多いです。じわじわと期待感が高まっていくイメージでしょうか。

そして31小節の記号のクレッシェンド(<)では気持ちを表出させて、【C】のサビに向かって、音量的に盛り上げていきましょう。

【C】33小節~

1. しっかり盛り上げて

【C】は盛り上がるサビ的な場面になります。

f(フォルテ/強く)の豊かな音量で歌いましょう。

2. ハーモニーを意識して

【A】のユニゾン、【B】の掛け合いに対し、【C】はハーモニーの豊かさが特徴です。

アカペラで、ゆっくりとしたテンポでハモリを確認しながら歌うと良い練習になると思います。

特に伸ばす音はハーモニーが分かりやすいので、40小節などだけを集中して練習するのもよいと思います。

3. 高い音、低い音に注意

【C】は盛り上がりますが、その分高い音が出てきます。

例えば35小節のソプラノや、38小節の男声などです。

無理に出そうとして力んでしまうと良い発声に習いので、あくまで丁寧に歌うことを心がけてください。

一方で、40小節のアルトなどは低い音を歌います。

ハーモニー的にはとても大切なのですが、声が出にくかったり、響きにくい人も多いと思います。

ですが、これもやはり力んでしまうと音を外しやすくなり、結果として大切なハーモニーを損なってしまう恐れがあります。

パート内で声がそろうと確実に存在感が出てきますから、力むよりも正確さ重視で歌いましょう。

【D】46小節~

1. 一番のクライマックス

【D】はコーダで、サビの繰り返しの場面になります。

同じフレーズが繰り返されるときには、後の場面をより強調して表現したいところです。そうすることで音楽がよりドラマチックになるのですね。

ここが一曲を通して一番のクライマックスだと思って歌いましょう。

2. パートの役割を意識して

50小節のアルトと男声は”Uh”で歌います。

これはソプラノのメロディーの背景の役割となります。

そのため、音量がfだからといって、そのまま強く主張してしまうと、メロディーの邪魔をして損なってしまいます。

少し抑え気味に歌うと、主役と脇役のメリハリがついて、音楽に立体感が生まれます。

【C】でも同様に注意しましょう。

3. 場面の変化を演出

53小節にはrit.(リタルダンド/だんだん遅く)とデクレッシェンド(>)の記号があります。

これら2つによって、大きく盛り上がる場面から静かで落ち着いた場面に音楽が移り変わっていきます。

音量だけでなく、気持ち的な変化も感じてみてください。

【E】54小節~

1. テンポ変化に注意

【D】の終わりで少し触れましたが、ここからは静かで落ちいた雰囲気の場面になります。

meno mosso(メノ・モッソ/前よりも遅く)があり、テンポもゆっくりになります。

前の音楽を引きずってしまうと、つい前のめりに突っ込んでしまいますので、「ここからテンポが変わるんだ」ということをしっかり覚えておきましょう。

2. 優しいユニゾンで

【E】の大部分はユニゾンになります。

【A】のときよりも、よりいっそう優しい雰囲気で歌いましょう。

3. 曲の最後を締めくくろう

58~59小節は曲全体を締めくくる重要なフレーズです。

女声と男声でハモりますので、お互いの声をしっかり聞き合いながら、美しくハモることを意識しましょう。

そしてrit.を上手く利用して、終わりの雰囲気を作り出せると良いと思います。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございました。

『あさがお』はシンプルな曲ですが、場面ごとでどのような変化があるのかを整理して、それらをしっかりと表現することで、ドラマを作ることができそうですね。

なにか質問がありましたら、お問い合わせからお気軽にご連絡いただければと思います。