この記事では、合唱曲『マイバラード』の歌い方のコツや、練習で押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。

『マイバラード』では、「サビの二拍三連をしっかり決める」、「ラストのユニゾンで思いを込めて丁寧に歌う」といったことがポイントとして挙げられます。

もちろん、それ以外にも上達のためのポイントはたくさんあります。本記事では、合唱歴20年以上・指揮者歴10年以上の経験をもとに、実践でそのまま使える形にまとめました。

練習に取り入れて、ワンランク上の演奏を目指しましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
レベルアップ間違いなし!
教育芸術社「混声合唱曲集クラス用 キミウタ」に収録されている楽譜を参考にし、本文中で歌詩などを引用する場合には「””」で示しています。

『マイバラード』の練習番号

ポイント解説に移る前に、まずは楽譜に練習番号(【A】【B】…)をつけておきましょう。

『マイバラード』の練習番号
  • 【冒頭】1小節~ (前奏)
  • 【A】7小節~ ”みんなで”
  • 【B】15小節~ ”みんなで”
  • 【C】23小節~ ”こころもえる”
  • 【D】27小節~ ”(きらめ)け”
  • 【E】37小節~ ”(とど)け”

練習番号を書き込んでおくと、曲の構成を理解しやすくなり、合唱全体のまとまりにもつながります。

この後の解説も、練習番号に沿って行います。

『マイバラード』練習のポイント

ここからは練習番号に沿って、ポイントを解説していきたいと思います。

闇雲に繰り返すのではなく、ポイントを押さえて練習することで、効率よく完成度を高めることができますよ。

それでは、【A】から見ていきましょう。

【A】7小節~ ”みんなで”

ユニゾンをしっかりそろえよう

7小節目から【A】としました。ここから合唱の歌い出しです。

【A】のフレーズはすべてユニゾンとなっていることが大きな特徴です。

ユニゾン…全員が同じ音を歌うこと

ユニゾンで大切なのは音をしっかりと揃えることです。

  • ピッチ(音の高さ)
  • 音色(声の質)
  • リズム
  • 発語(言葉の伝え方)

これらの要素に気をつけながら、ソプラノの端から男声の端まで、全員で1つの音を作る意識を持ちましょう。

上手な合唱ではまずユニゾンが美しいものです。ここで聴いている人の心をぐっと掴みましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
お互いの声を聴き合うのは合唱の基本です。

音の跳躍に気をつけよう

跳躍というのは、ある音から少し離れた音へ飛ぶようなフレーズのことです。

具体例としては、9小節の”ここを”が該当します。”ろ”で音が少し高い音(ド♯)へ跳躍しています。

このようなフレーズでは、これから歌う音をイメージして、しっかりと上がり切る意識を持つことが大切です。跳躍するフレーズをなんとなく歌ってしまうと、実は正しい音に届いていない、ということが起こりがちです。

もう一つ、跳躍先の音だけが飛び出してしまわないことも意識してほしいと思います。

跳躍音程で音が高くなると、そこだけ自然と声が大きくなりがちです。ですが”こころを”という言葉で、”ろ”だけ飛び出すのは言葉として不自然であることが分かると思います。

そうならないよう、音量のムラを抑え、レガート(なめらかに)歌うことを意識しましょう。

伸ばした後の切り口を揃えよう

【A】のフレーズは、例えば”みんなで”と歌った後に8分休符、”ひとつにして”と歌った後に4分休符があるなど、伸ばした後に休符があることが多いです。

休符は当然休みですから、ここでは合唱の音がしてはいけませんし、逆に伸ばす音が短すぎてもいけません。楽譜通り正確に歌うことが大切です。

伸ばした後は切るまでの長さ、切り口をピッタリと揃えることが大切です。切り口が揃うと統一感・メリハリのある音楽になります。

切り口はピアノパートを目安にすると合わせやすいと思います。

どこで切ればよいか分かりにくいときは、音楽の先生に確認すると良いでしょう。

【B】15小節~ ”みんなで”

ユニゾンとハモりを意識しよう

15小節目から【B】としました。

【B】は【A】と似ているようですが、以下のように異なる点もあります。

  • 【A】…ユニゾン
  • 【B】…ハモりとユニゾンの両方がある

つまり、『マイバラード』ではじめてハモる部分が出てくるということです。

どこがユニゾンで、どこでハモるのかを知っておくことはとても重要です。

そうすることでユニゾンでは全員が一つの音にまとまる意識、ハモるところでは釣られずにハーモニーを感じる意識を持つことができるからです。

楽譜に沿って詳しく見ていきましょう。まずは【B】前半のフレーズです。

”みんなでうたおう”

  • 女声(ソプラノ+アルト)…メロディー
  • 男声…ハモり

”おおきな こえ”

  • 全パートメロディー=ユニゾン

”を だして”

  • 女声…メロディー
  • 男声…ハモり

【B】後半のフレーズは次のようになっています。

”はずかしからず”

  • 女声…メロディー
  • 男声…ハモり

”うたおうよ”

  • ソプラノ…メロディー
  • アルト…ハモり
  • 男声…ハモり

最後は女声も分かれますので、合計3パート(3声)のハモりとなっています。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
「ユニゾン」「ハモり」など書き込んでおくのも良いと思います。

サビに向けてクレッシェンドしよう

22小節にある松葉の記号、クレッシェンドに注目しましょう。意味は「だんだん大きく」です。

ここまで【A】【B】の音量はmf(メゾフォルテ/少し強く)でした。それに対し、【C】ではf(フォルテ/強く)となり、サビを歌います。

ここでのクレッシェンドは、【B】から【C】へ盛り上げ、サビへと向かうための繋ぎのクレッシェンドなのですね。

クレッシェンドが登場したときは、ただなんとなく大きくするのではなく、その先にある音楽を見据えて歌うことが大切です。

【C】27小節~ ”こころもえる”

一体感のある二拍三連を決めよう

23小節目から【C】としました。fの記号があり、盛り上がるサビ的な場面となっています。

ポイントは二拍三連(見た目が4分音符の3連符)です。『マイバラード』の中でも特に印象的でカッコ良いフレーズとなっています。

23小節の上に”(リズムにのって)”と書かれていますから、リズムが際立つよう、音を一つ一つしっかりと鳴らすイメージで歌いましょう。

二拍三連は「走る」と言って、急いでしまいやすいリズムですが、それを防止する効果も期待できます。

また、このフレーズは、ソプラノ・アルト・男声だけでなく、ピアノパートも同じリズムとなっています。

テンポ感・タイミングをメンバー同士でしっかり共有して、一体感のある音楽をつくることを意識してほしいと思います。

【D】27小節~ ”(きらめ)け”

歌い方の対比をつけよう

27小節目から【D】としました。

音量はfのままですが、【C】の熱さ・リズム感とはうってかわって伸びやかなメロディーになります。”(広がりを持って)”とも書かれていますね。

なのでここでは歌い方をガラリと変えてみるとメリハリが効いた印象的な音楽となります。

  • 【C】…リズムを目立たせる
  • 【D】…レガート(なめらかに)歌い上げる

と、変化させると聞いている人に対しても良いアピールとなるはずです。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
fの音量をキープしつつ、歌い方に変化をつけましょう!

オクターブ跳躍に注意

”きらめけ”のソプラノは先ほども触れたように、非常に伸びやかで魅力的なメロディーとなっています。

しかしながら、”き”から”ら”へは非常に幅の広い音程となっています。低い「ミ」から高い「ミ」へ移る、オクターブ音程の跳躍です。

こういったところではまず、上がった先の高い「ミ」の音をしっかりと頭の中にイメージして、歌う準備をしておくことが大切。

一方、低い方の「ミ」の音は”きらめけ”という言葉を伝えるうえで大切になるので、”き(ki)”のk子音およびi母音を丁寧に響かせることがポイントになると思います。

とても難しく、大変なフレーズではあるのですが、このオクターブがメロディーの魅力の秘訣でもあるので、練習しがいのあるところです。

ハーモニーを意識しよう

今度は伸ばす音のハーモニーを意識してみましょう。例えば”きらめ”の”け”などが該当します。

それぞれのパートがどんな音を歌っているのかを調べると、次のようになります。

  • ソプラノ…「ド♯」
  • アルト…「ラ」
  • 男声…「ラ」

まずアルトと男声は同じ音ですから、ピッタリとそろうように意識する必要があります。

それに対しソプラノはハモります。「ド♯」と「ラ」は長3度という関係で、明るく美しい響きです。

【D】はfのため、大きな声を出すことに気を取られがちですが、同時にハーモニーの美しい場面でもあります。

お互いの声をしっかりと聴き合いながら歌うことを忘れないようにしましょう。

【E】37小節~ ”(とど)け”

37小節目のLento(レント/遅く)から【E】としました。曲を締めくくる大事な場面となっています。

臨時記号の色の変化を感じて

最後のフレーズ、”とけ あいのメッセージ”では、臨時記号の♯がついた””の音に注意が必要です。

そのため、これまで歌ってきた”とどけ”とは、似ているけど少し違うフレーズとなっています。混同してしまわないよう、よく意識して練習しましょう。

このような音使いになっている理由は、ピアノパートを見ると分かりやすいです。

36小節目を見てみると、3拍目でピアノが鳴らす2分音符に、合唱パートと同じく臨時記号がついた「ラ♯」の音が含まれていることが分かります。

もともと『マイバラード』の調であるイ長調に含まれている音は「ラ♮」ですが、この和音の「ラ♯」を「ラ♮」に変えると、短調の暗い響きになります。

逆に言うと、「ラ♯」のおかげで、ピアノパートが鳴らす和音が長調となり、温かな色彩を与えられている、ということになります。和音だけでなくこの「ラ♯」の音自体、温かみが感じられる音です。

合唱のメロディーもこれに応じるような形で、「ラ♯」となっているのです。

最初は音が違うことに気をつけるのに気を取られてしまうかもしれませんが、このような音の色彩変化も感じながら、歌えるようになるととても良いと思います。

作曲家の意図を汲み取ろう

”とどけあいのメッセージ”のフレーズでは、先ほど触れたことに加えて次の2点を押さえましょう。

  1. 音量はmf(メゾフォルテ/少し強く)
  2. ユニゾンであること

これらのことから、「サビのように大きく盛り上がるわけでは無いけれど、メロディーや歌詩に全員が一体となった力強さが欲しい」という作曲家の意図を読み取ることができます。

ユニゾンに関しては、この記事の前半で説明したことと同じになりますが、全員がお互いの音を良く聴き合って、音を研ぎ澄ませるようにそろえていくことが大切です。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
「この部分は特に大事!」というときにはユニゾンが使われることが多いです。気持ちを乗せて歌いましょう。

”Hum.”のハーモニーはよく聴き合って

”Hum.”はハミングなので口を閉じて発音します。

あたたかなハーモニーをイメージして歌いましょう。

より良くハモるために、ここでは次の3点を意識してみてください。

  1. パート内で音を揃える
  2. お互いの声を良く聴き合う
  3. ピアノパートの音と溶け合わせる

実はピアノパートもソプラノ・アルト・男声と同じ音を鳴らしています。それを手掛かりにして音を出すことでうまくハモれるようになると思います。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
「自分のパート」「自分以外のパート」「ピアノパート」へ意識を広げていきましょう。

まとめ:『マイバラード』歌い方のコツ【気持ちを込めて歌おう】

最後までご覧いただきありがとうございました。

すぐにすべてを完璧にするのは難しいかもしれませんが、今回紹介したポイントを意識するだけで、演奏は確実に良くなっていくはずです。

ぜひ日々の練習の中で試してみてください。きっと『マイバラード』が、より豊かに、より楽しく感じられるようになると思います。