こんな疑問に答えます。
テンポを表す記号は演奏に大きく関わります。
テンポを表す記号は次の2つに分けて考えると覚えやすいです。
- 一定したテンポを指定する記号
- テンポを変化させる記号
「この記号はこうやって演奏する!」とすぐに分かると練習などもスムーズに進めることができます。
さらに「書いてない・分からない」ときの解決策も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
テンポとあわせてリズム・拍子についても知っておくと理解が深まります。こちらもご覧ください。
もくじ
一定したテンポを指定する記号の読み方
「この場面はこれくらいの速さで演奏して欲しい」というときに使う記号です。
曲の始めや、場面の転換が起こったときに使われることが多い書き方です。
- メトロノームによる書き方
- 単語による書き方
これらの2種類がありますので、順番に解説します。
メトロノームによる書き方
このような書き方を見たことがあると思ます。
これは「1分間に4分音符が60回鳴らされるスピードで」というテンポの表し方です。
次の記号があわせて使われることもあります。
- M.M.…メトロノーム
- ca.…チルカ/およそ
単語による書き方
メトロノームの数字で表す他に、イタリア語の形容詞で表されることも多いです。
例を挙げると以下の通り。下に行くにつれて遅くなります。
- Presto(プレスト/急速に)
- Vivace(ヴィヴァーチェ/快活に)
- Allegro(アレグロ/快速に)
- Moderato(モデラート/中くらいの速さで)
- Andante(アンダンテ/歩くように)
- Adajio(アダージョ/緩やかに)
- Lento(レント/遅く)
- Largo(ラルゴ/幅広くゆっくりと)
これらの記号が使われる場合、先程のメトロノームによる表記があわせて使われることもあります。
演奏する際には、もともとの言葉の持つイメージも捉えられると、良い演奏になります。
テンポを変化させる記号
ここからは曲の途中でテンポを変化させる記号について解説します。
次の2種類に分けて考えると分かりやすいです。
- すぐにテンポを変化させる記号
- だんだんテンポを変化させる記号
すぐにテンポを変える記号
記号が出てきたときすぐにテンポを変化させる記号になります。
次のようなものがあります。
- Meno mosso(メノ・モッソ/前より遅く)
- Piu mosso(ピウ・モッソ/前より速く)
- riten.(リテヌート/すぐに遅く)
- Tempo Ⅰ(テンポ・プリモ/元の速さで)
- Tempo Ⅱ(テンポ・セコンダ/2番目に指定された速さで)
補足1. Meno mossoとriten. の違い
どちらも前のテンポと比べて遅くする記号ですが、次のような違いがあります。
Meno mosso | 1つの場面まるごとなど、長い範囲を変化させるときに使う。 元の速さに戻すときは(多くの場合)Tempo Ⅰを使う。 |
---|---|
riten. | フレーズの一部分など、短い範囲を変化させるときに使う。 元の速さに戻すときはa tempoを使う。 |
このため、riten. に関してはrit.などの「だんだんテンポを変化させる記号」の仲間と考えたほうが理解しやすいかもしれません。
補足2. Tempo ⅠとTempo Ⅱ
Tempo ⅠはTempo primoとも書き、曲の途中でテンポの変化があったときに最初のテンポに戻す記号です。
Tempo ⅡはTempo secondaとも書きます。
テンポの変化が多い曲で、ある場面の速さに戻したいときに使われます。
例えば次の場合を考えてみましょう。
- 【A】…Andante
- 【B】…Piu mosso
- 【C】…Allegro
- 【D】…Tempo Ⅰ(=Andante)
- 【D】…Tempo Ⅱ(=Piu mosso)
このような場合、【D】のTempo Ⅱは【B】のPiu mossoのテンポが正解です。
だんだんテンポを変えていく記号
次第にテンポを変えていく記号です。
フレーズの一部分に対して使われることが多いです。
代表的なものは以下のとおりです。
- rit.(リタルダンド/だんだん遅く)
- rall.(ラレンタンド/だんだん緩やかに)
- accel.(アッチェレランド/だんだん速く)
- string.(ストリンジェンド/だんだん急き立てて)
これらの記号で変化したテンポを元に戻すときにはa tempo(ア・テンポ/元の速さで)が使われます。
【解決策3つ】楽譜にテンポが書いていない・分からないとき
楽譜にテンポが書いていないおらず困ることがあると思います。
そんなときは次の3つのアプローチを取ることができます。
- 記号を参考にする
- 他の演奏を参考にする
- 実際に練習して試してみる
解決策1.記号を参考にする
メトロノームの表記がなくても、AndanteやAllegroといった言葉でテンポが表されているときは、それを参考にしましょう。
もともとの単語の意味から、「こんなイメージかな」というのを膨らませてテンポを決めると良いかもしれません。
解決策2.実際の演奏例を参考にする
テンポをどうして良いかわからないときは実際の演奏例を聴いてみることも参考になると思います。
解決策3.実際に練習して試してみる
練習してみて、しっくりくる速さを探してみるということも有効です。
- 音符が細かいので速くしすぎると歌いこなせない
- ゆっくりにしすぎると音楽が流れない
こういったこともわかると思いますので、実際に音を出してみるのは重要です。
まとめ:テンポは曲の雰囲気を決める重要な要素
まとめです。
テンポは曲の雰囲気を決める重要な要素。しっかりと考えて決めましょう。
メトロノームがある場合でも、実際の演奏を聴いてみるなどしてイメージを膨らませて見てください。
その他にも、楽譜の読み方で大切なことはたくさんあります。こちら【詳説】楽譜の読み方完全ガイド【初心者~上級者まで必見】もぜひご覧ください。