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《心の瞳》は、あたたかいメロディーと、深い愛情を感じさせる歌詞が魅力の合唱曲です。

この記事では、滝口亮介さんによる編曲版をもとに、練習・演奏のポイントを解説します。

日々の練習にお役立ていただければ幸いです。

《心の瞳》(作詞:荒木とよひさ/作曲:三木たかし/編曲:滝口亮介)をもとに執筆し、本文中で歌詞などを引用する場合には「””」で示しています。

《心の瞳》の練習番号

練習を始める前に、楽譜に小節数および練習番号(【A】【B】…)を書き込んでおきましょう。

小節数と練習番号をつけることで、練習の際にどこから始めるかをスムーズに伝えることができますし、それだけでなく、場面のつながりを整理することができるようにもなります。

今回は次のようにつけました。

練習番号
  • 【前奏】…1小節~
  • 【A】…7小節~ “こころのひとみで”
  • 【B】…15小節~ “ことばでいえない”
  • 【C】…27小節~ “たとえあしたが”
  • 【C’】…35小節~ “いつかわかさを”
  • 【D】…50小節~ “ルルル”
  • 【E】…62小節~ “こころのひとみで”

《心の瞳》練習・演奏のポイント

先ほどつけた練習番号に沿って解説していきます。

ぜひお手元の楽譜に書き込みながら読み進めてみてください。

【A】…7小節~ “こころのひとみで”

丁寧なユニゾンで

【A】の歌い出しから9小節にかけては、全員が同じ音を歌うユニゾンです。

ユニゾンでは他のパートにつられて音を間違えてしまうことはありませんが、油断は禁物。

全員が同じ音だからこそ、お互いの声をよく聴き合い、音を一つに統一していくことが必要です。

特に【A】は、やさしく語りかけるようなメロディーですから、丁寧に歌うことを心がけましょう。

メッセージを充実させて

9~10小節にかけてクレッシェンド(だんだん大きく)の記号があり、その先でmfとなります。

ここで”あいすること”という、ハッとさせるような重大な歌詞が歌われます。

非常にメッセージ性の強いフレーズですから、ただ単に大きく歌うというだけでなく言葉の意味をイメージしながら、内実の伴ったmfにしましょう。

また、”あいすること”から3パートに分かれ、ハモることも知っておきましょう。最初のメロディーのユニゾンとの対比となります。

フレーズの収め方に気をつけて

13小節アウフタクトからの”わかりかけてきた”のフレーズは、【A】を締めくくる大切なフレーズです。

ここでは再びユニゾンになっていることにまずは気をつけましょう。

その上で、デクレッシェンドも重要です。だんだん小さくしていくことで、【A】のフレーズをまとめます。

このとき注意したいのが、小さくしていくからと言って、支えの抜けた弱々しい響きにならないようにすること。

一番最後の”た”のロングトーンで十分な響きが残せるような歌い方を意識してみましょう。

【B】…15小節~ “ことばでいえない”

ハーモニーの広がりを感じて

【B】は【A】と似た部分が多いですが、21~22小節の盛り上がりは大きく異なります。

これまで最大の音量がmfだったのに対し、22小節ではfへ。

しっかりと歌うことは大切ですが、ここではあまり熱くなりすぎず、あくまで丁寧に歌うことを心がけましょう。なぜなら、本当のクライマックス・山場はまだまだ後に出てくるからです。

ここではfの瞬間に音が分かれ、ハーモニーが一気に広がることを感じてみましょう。

アルトの歌うソ♮の音が和音のポイントです。正確に歌えるようにしておきましょう。

テヌートに気持ちを乗せて

25小節の”あえる”にはテヌートがつけられています。

テヌートは「音の長さを十分に保って」という意味ですが、実際に演奏する際には、「音符に重みを加えて」あるいは「言葉に気持ちを乗せて」などと読み替えると分かりやすいです。

“わかりあえる”という素敵なメッセージを心に思い描き、テヌートの付けられた音を豊かに、少したっぷりと歌ってみましょう。

印象的なフレーズになると思います。

【C】…27小節~ “たとえあしたが”

フォルテの豊かさを保って

【C】からはサビのフレーズとなります。

豊かなfをキープして歌いましょう。

このとき、音量が大きいからと言って乱暴にならず、レガート(滑らかに)を意識し続けることが大切です。

ハモリとユニゾンの切り替えを意識して

【C】のフレーズでもユニゾン・ハモリが順番に切り替わっていきます。

例えば、”たと”まではユニゾン、”えあしたが”はハモりです。また、”それは”はユニゾン、”いきてきた”はハモりのようになっています。

ユニゾン・ハモりの切り替わるところを把握しておくと、他のパートと同じ音になるべきなのか、そうでないのかを意識しやすくなり、音取りもスピードアップします。

アルトのラインを聴いてみよう

【C】で特徴的なのはアルトのラインです。

“たとえあしたが すこしずつ”では、ミ→ミ♯→ファ♯→ソ♮と半音ずつ上昇していくことが分かります。

この半音進行が、和音の色合いを変えながら少しずつ盛り上げていく役割を担っています。

ソプラノ、男声の人は自分のパートの音だけでなく、このアルトのラインにも注意を向けてみてください。

【C’】…35小節~ “いつかわかさを”

デクレッシェンドは遠くへ

42小節のデクレッシェンドは、単に小さくしていくというより、遠くへ遠くへと遠ざかっていくような距離感のイメージを持つことで、美しい余韻を表現できるように思います。

ポイントは、デクレッシェンドが出てきたからと言って、すぐに小さくしすぎないことです。

ロングトーンの前半ではある程度音量をキープし、後半では次第にピアノパートの響きに溶け込ませていくようなイメージを持つとうまくいきます。

転調に向けてのクレッシェンド

49小節のコーダでは、これは【D】の転調およびfに向かってクレッシェンドしていきます。

伸ばしながら大きくしていきますが、力押しにせず、響きが広がっていくようなイメージを持つほうが全体の曲調にふさわしいと思います。

また、ハーモニーの美しさもキープできるよう、耳も十分に使いながら歌いましょう。

【D】…50小節~ “ルルル”

色合いの変化を感じて

【D】からは転調します。これまでのイ長調から半音上がって変ロ長調になっています。

♯系の調から♭系の調になるので、ただ単に音が上がるというだけでなく、色合いの変化も感じられると良いと思います。

個人的には、これまでの温かみに加えて、爽やかで、のびのびとした広がりが出てくるように思えます。

ピアノパートとのアンサンブル

“ルルル”のフレーズでは、ピアノパートとのアンサンブルも意識しましょう。

50小節では、ピアノパートの右手も”ルルル”と同じメロディーを弾いています。つまり、ピアノとのユニゾンです。

51小節では、合唱がロングトーンしている間、ピアノパートが16分音符の細かなパッセージを弾いています。この間はピアノパートが主役と言っても良いでしょう。

52~53小節も同様です。

強弱表現のアピールポイント

53小節のmpは強弱表現でのアピールポイントになりそうです。

これまでfで歌ってきたところから、デクレッシェンドを挟んで急激にmpとなります。

ぐっと小さく歌うことで、逆説的に”あいすること”というメッセージが印象的に響きます。

情熱的な表現を

54小節からはpoco a poco cresc.(ポーコ・ア・ポーコ・クレッシェンド/少しずつクレッシェンド)が書かれています。

松葉の記号(<)のクレッシェンドと比べて、字で書かれた場合のクレッシェンド(cresc.)は、音量だけでなく、内面的な熱さを伴うことが多いです。

この場面でも、音量の増加に比例して、気持ちを高めていって欲しいと思います。

58小節の”あい”で頂点。ここがクライマックスです。

“すべて”、や”あゆみ”などのテヌートは前に触れたように、言葉に重みを乗せて歌いましょう。

【E】…62小節~ “こころのひとみで”

余韻を感じて、より丁寧に

【E】は曲全体を締めくくるエンディングの場面です。

Meno mosso(メノ・モッソ/前より遅く)的にに少しテンポを落とします。

強弱については直前のmpを引き継ぐことで良さそうですが、音量だけでなくニュアンスも意識しましょう。より気持ちを込めて、より優しく、柔らかく歌うと雰囲気が出ます。

また、64小節のrit.をうまく使って、ラストシーンの余韻を表現してみてください。

まとめ

《心の瞳》は、やさしく語りかけるようなユニゾンから、あたたかく広がるハーモニー、そしてサビでの豊かな盛り上がりまで、微妙な表情の変化が美しい作品です。

練習では、ユニゾンの精度、ハーモニーの響き、テヌートに込める言葉の重み、転調による色合いの変化などを丁寧に確認していきましょう。

特に、”あいすること”や”わかりあえる”といった大切な言葉を、ただ大きく歌うのではなく、気持ちのこもった響きで届けることが大切です。

本記事が、皆さまの練習や演奏づくりの参考になれば幸いです。

何か分からない点などありましたら、お問い合わせからご連絡ください。

この度はリクエストありがとうございました。