【混声四部合唱】《青い鳥 -Movie Edit Version-》練習・演奏のポイント

《青い鳥》は、ゴスペラーズの楽曲を横山潤子さんが合唱編曲した作品です。
映画『うた魂♪』の主題歌としても知られており、洒脱なコードと巧みな合唱アレンジが魅力です。
この記事では、《青い鳥》を練習・演奏する際のポイントを、実践的な視点からまとめました。
日々の練習にお役立ていただければ幸いです。
もくじ
《青い鳥》練習・演奏のポイント
『クラス合唱用 MY SONG(7訂版)』に収録されている《青い鳥 -Movie Edit Version-》には、練習番号(【A】【B】…)があらかじめ付されています。
この記事では、この練習番号に沿って解説していきます。
【イントロ】1小節~
最初の音をよく狙って
イントロの合唱の入りは手がかりが少なく、外してしまいやすい音になっています。ピアノの響きから、合唱の入りのラの音をしっかりイメージできるようにしておきましょう。
曲の第一声、つまり「お客さんが最初に聴く合唱の声」になるため、ここでの声が演奏全体の印象を大きく左右します。
また、テンポ感をピアノパートと共有することも大切です。音楽の流れをしっかり感じながら、ピアノパートが入るタイミングとよく合わせることを意識しましょう。具体的には、2~5小節の1拍目や、6小節の3拍目などが挙げられます。
休符を大事に
合唱が休符となる瞬間は、ピアノパートに大きな動きがないため、和音の響きは残るものの、ほとんど無音に近い時間が生まれます。
ポップスでは、このようなブレイクが命。
ブレイクをただの「音がない時間」と考えるのではなく、むしろここを「聴かせる」イメージで、緊張感のある時間として感じてみましょう。
また、直前の音の切り方がばらつくと休符の効果が弱くなってしまいます。音の切り口・タイミングをしっかりそろえることを意識しましょう。
リズムと歌い方に注意
6小節・7小節で出てくる付点8分音符はばらつきやすいリズムとなっています。
そこで少しリズムを立たせて歌うと、そろえやすくなりますし、シンコペーションのニュアンスを活かすことにも繋がります。
ただし、ここにはdolce(甘く、柔らかく)の指示もあることには忘れずに。リズムを明確にしようとするあまり、音が固くなったり荒っぽくなったりしないように注意しましょう。
母音の響きを明るく、やわらかく保ちながら、リズムの輪郭を自然に出せるとよいでしょう。
【A】10小節~ ”目と目が合うと”
フレーズ終わりに余韻を残して
【A】では、”じょうずに”や”言えない”など、フレーズの最後の音符にスラーが書かれています。
ここでは、最後の音をぶつ切りにせず、余韻を残すように収めることが大切です。
休符のところで音をズバッと切ってしまうのではなく、デクレッシェンドしながら休符に少しかかるように歌うと、余韻を残せます。
【イントロ】では休符をしっかり作ることが大切でしたが、【A】ではそれとは少し違い、言葉の余韻を残すような休符の扱いが求められます。
歌い方とピッチを両立して
【A】には、”しっとりと”という指示も書かれています。
サビのように大きく歌い上げるのではなく、独り言のように、ぽつりぽつりとつぶやくようなイメージでしょうか。
難しいのは、そのような歌い方をすると、ピッチが不安定になりやすいことです。
雰囲気を大切にしながらも、音程が下がってしまわないように、体をしっかり使って声を支えましょう。
特に語尾やフレーズの終わりでは、音量を落としても響きまで落ちてしまわないように注意したいところです。
【B】18小節~ ”いちびょうごとに”
女声・男声の合流に注意
18~22小節では、男声が主旋律を担当します。
ここでの注意点は、【A】で書いたことと同様です。しっとりとした雰囲気を大切にしながら、ピッチが下がらないように気をつけましょう。
23小節では女声が合流しますが、ここで音がばらけないように、女声と男声がお互いの音をよく聴き合い、互いに寄り添うように歌いましょう。
ここにはクレッシェンドがあるので、それまでのしっとりとした雰囲気から少し変え、自然に盛り上げるようなイメージで。
また、23小節の”名まえを”はユニゾン、24小節の”呼んでる”はハモる、という違いも意識しておきましょう。
【C】26小節~ ”(とおりすぎ)るきせつの”
高音のメロディーが苦しくならないように
【C】に入ってしばらくは男声が主役。音量の記号は特にありませんが、直前の流れを引き継ぎ、mfくらいのイメージで、主役意識を持って積極的に歌うとよいでしょう。
”きせつの”あたりは、比較的高い音域になります。
高音が苦しそうにならないように、力で押し上げるのではなく、息の流れに乗せて自然に響かせる意識を持ちましょう。
必要に応じて、少しファルセットを混ぜるようにすると、やわらかくきれいに響きやすくなります。
また、ここではピアノパートのビート感にも変化があります。leggieroは「軽く、軽快に」の意味です。
伴奏のリズムの変化を感じながら、少しずつ前向きになっていくような、表情の変化を感じておくとよいでしょう。
28小節から入る女声は、男声のメロディーを引き立てる役割です。
男声の主旋律をよく聴きながら、少し抑えめにするとバランスを取りやすいです。
歌い方に変化をつけて
31小節のアルト、ソプラノにつけられているcantandoは「歌うように」という意味の指示です。
これまでのしっとりと語るような歌い方とは対照的に、ここからはより旋律的になっていきます。付点のリズムを少し際立たせてもよいと思います。
cresc.とあわせて、サビに向かってしっかり歌い上げていくような表情へ切り替えていきましょう。
【D】34小節~ ”それはあおいとり”
しっかり盛り上げて
【D】はいよいよサビの場面です。
fの指示がありますので、ここはしっかりと盛り上げて歌いましょう。
ただし、強く歌おうとして声が固くなったり、押しつけるような響きになったりしないように注意が必要です。
明るく広がりのあるfを目指しましょう。
ハーモニーを充実させて
【D】では、パートに分かれて厚みのあるハーモニーを作ります。それぞれの音をしっかり聴き合いながら、充実した響きを作りましょう。
ソプラノ上声とアルトはオクターブユニゾンになっています。
同じ旋律をオクターブで重ねることで、メロディーの線がより太く描かれます。
頼りなくならないように
36小節のソプラノのメロディーは、ソプラノだけが担当する場面になります。
34~35小節と比べると声部(=パートの数)が減ってしまうため、頼りなく聴こえがちです。
そうならないよう、意識的にしっかり目に歌うことが大切です。
役割を意識して
37小節では、アルトと男声がメロディーと掛け合うように入ってきます。
クレッシェンドしていくことで、ソプラノからアルト・男声へと主役が移り変わっていきます。
このように、「ここでの主役はどのパートか」ということを意識すると、音楽に立体感が出てきます。
音のぶつかりに注意
38~39小節は34~35小節と似ていますが、アルトの音が異なります。
そのため、”いつかせかいじゅうの”で伸ばすところのコードがB♭add9(シ♭・レ・ファ・ド)になります。
アルトが第9音(=ド)を担当するることで、単純な長三和音にはない、複雑でおしゃれな響きが生まれます。
ただし、ドの音はソプラノのレ、男声のシ♭とぶつかるため、ピッチをキープするのが難しい音でもあります。
最初はアルト以外のパートでB♭の響きを確認しておき、そのあとでアルトを加えると、アルトの正確なピッチを確認しやすいと思います。
言葉のニュアンス
40小節には”言葉のニュアンスを生かして”とあります。
特に”おとな”という言葉は、大人っぽい歌いまわしを意識してみるとよいでしょう。
”おとなになる”はユニゾンになりますから、サビの盛り上がりから少し気持ちを落ち着かせて、音を一つにまとめることを意識して歌うと良いと思います。
【E】46小節~ ”ひとはもとめ”
静かな場面をしっかりつくる
【E】の音量はmpです。
この曲の中では、小さめの音量で歌う場面はそれほど多くありませんから、p系の静かな聴かせどころとして捉え、しっかり作り込んでおきたいたい場面です。
音量を抑えるだけでなく、言葉のニュアンスも大切にしながら歌いましょう。
不協和音と解決
50~51小節の女声の動きに注目してみましょう。
51小節3拍目ではソプラノのミとアルトのレがぶつかっています。同様に51小節の3拍目ではソプラノのファとアルトのミがぶつかってます。
いずれも、4拍目になるとアルトの音が下がって解決(=ぶつかる音からハモる音に移り変わること)します。
こういった響きの変化も感じながら歌ってみましょう。
他とは異なる動きをアピール
52小節のアルトの動きは、他のパートと異なるのでしっかりアピールしたいフレーズです。
cresc.も書かれていますので、”かさねあい”、”ゆるしあい”と歌うたびに、緊張感を増し、前へ迫ってくるようなイメージを持つとよいでしょう。
熱く、でも冷静に
52~53小節にかけては臨時記号が登場しており、半音的な動きが多くなっています。
そのため、正確に歌えるよう各パートの音程をよく確認しておきましょう。
音楽としては熱くなってよい場面ですが、ピッチが悪いとその「熱」が十分伝わらなくなってしまいます。
気持ちは高めつつも、冷静に耳をしっかり使うという意識は残しておくことが大切です。
練習では、いったんピアノパートを外して、合唱だけでゆっくり歌ってみると、和音の進み方やピッチを確認しやすくなります。
ブレイクが命!
53小節は5/4拍子になっており、5拍目に休符があります。
この付け足された1拍の休符が、とても重要です。
ここでしっかりブレイク(=無音の時間)をつくることで、聴いている人を一気に引きつけることができます。
ポップスでは、このようなブレイクが命!
直前で十分にクレッシェンドしておくと、音が切れた瞬間とのギャップが大きくなり、より効果的です。また、休符に入る直前の音の切り方をしっかり揃えることも練習しておきましょう。
【F】54小節~ ”きっとあおいとり”
強弱記号の違いに注意
【F】ではffの指示があります。しっかりと音楽を盛り上げ、サビのエネルギーを前面に出して歌いましょう。
また57小節はmeno fになっています。meno fは「fより少し抑えて」という意味です。
57小節のフレーズは、少し小さいところから入ってクレッシェンドしていく構造になっていますが、全体がより盛り上がる場面になっていることから、このような書き方になっっています。
【D】と比較すると分かりやすいと思います。
- 【D】”それはあおいとり” f → mf
- 【F】”きっとあおいとり” ff → meno f
【F】ではffからfにワンランクアップしている分、mfだったところもmeno fになっているということです。
ただ大きな音量を続けるのではなく、強弱の変化をはっきり見せることで、音楽の盛り上がりがより効果的に伝わります。
ハモりの違い
【F】では、これまでハーモニーになっていた部分がユニゾンになっています。
同じ音を全員で歌うことで、メロディー・言葉がより強く表現されます。
また、ピアノパートの動きもこれまでとは異なり、非常に格好良いフレーズになっているので、それも感じてみましょう。
歌い方のニュアンスを引き継いで
62小節の男声には”(echo)”と書かれています。
これは、直前のアルトの”こころに”に対するエコーのように、という意味になります。
そのため、アルトの歌い方をよく聴いて、ニュアンスを引き継いで歌うことが必要です。
【G】64小節~ ”それはあおいとり”
声部の違いを活かす
【G】では、テノールが2つに分かれています。
テノールの↑パートはメロディーを担当します。アルトも同じ音ですが、男声の声をさらに重ねることで、旋律により強い芯と広がりが生まれます。
テノールの↓パートはバスト同じ音で、ハーモニーを作っています。
遠くへ広がって
78小節のロングトーンは、曲の終盤にふさわしい大切なフレーズです。
フェルマータの間に、響きを溶け合わせるようにしていくと、余韻のある美しい表現になります。
”やわらかく響きをひろげて”とも書かれていますから、そのイメージを持つことも大切です。
ただし、楽譜上の指示として、「小さくしていくように」とは書かれていないので、音が消えてしまわないように気をつけましょう。
ピュアな響きで
79~80小節はピアノパートがなく、合唱のユニゾンだけで歌う場面です。ピアノに支えられない分、音程や音色をよくそろえることが大切です。ピュアでイノセントな響きを目指しましょう。
N.C.は「コードなし」、つまり伴奏の和音がつかないことを表しています。
また、colla voceは「声に合わせて」という意味。ピアノパートはしばらくお休みですが、81小節から入る際、合唱のメロディーのテンポ感を引き継ぐことが大切です。
より柔らかく
最後のB.O.は、書かれているとおり”口を開けたハミング”です。口の形は「O」の母音にすることが多いと思います。
ピアノパートともハモるようなイメージで、柔らかい響き(=dolce)で歌いましょう。
まとめ
《青い鳥》は、ポップスらしいリズム感と、おしゃれなコード進行、そして合唱ならではの厚みのあるハーモニーが魅力の作品です。
練習では、休符やブレイクの間合い、シンコペーションのリズム、フレーズ終わりの余韻、サビでのハーモニーの充実感などを中心に確認していきましょう。
また、この曲では「しっとりと語る場面」と「サビで大きく広がる場面」の対比も大切です。音量を大きくするだけでなく、言葉のニュアンスや響きの色を変えながら、曲全体のドラマを作っていきたいところです。
本記事が、皆さまの練習や演奏づくりの参考になれば幸いです。
何か分からない点などありましたら、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
この度はリクエストいただき、ありがとうございました。



