木下牧子

合唱曲『春に』歌い方のコツを指揮者が解説【瑞々しさを表現しよう】

『春に』
男の子
男の子
合唱コンクールで『春に』を歌います。コツやポイントを教えてください。

こんな方に向けた記事です。

合唱において、上質な演奏をするにはきちんとポイントを押さえて練習することがとても大切です。

この記事では合唱曲『春に』の歌い方のコツについて、合唱歴10年以上・合唱指揮者歴5年以上の筆者が詳しく解説します。

この記事を読みながら練習に取り組めば、確実にワンランク上の演奏を目指すことができるはずです。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
「間違いない」ポイントをまとめました。

次の練習番号に沿って解説していきます。

『春に』の練習番号
  • 【冒頭】1小節~
  • 【A】6小節~
  • 【B】15小節~
  • 【C】26小節~
  • 【D】38小節~
  • 【E】47小節~
  • 【F】61小節~
事前に練習番号を書き込んでおくのは重要で、曲の構成を把握することに繋がります。こちらの記事(【入門】合唱曲のアナリーゼ(楽曲分析)|やり方・ポイント【書き方の具体例あり】)も合わせてご覧ください。
教育芸術社「混声合唱曲集クラス用 キミウタ」に収録されている楽譜を参考にし、本文中で歌詩などを引用する場合には「””」で示しています。

https://esutawachorus.com/chorus-contest-song/

合唱曲『春に』歌い方のコツ

合唱曲『春に』歌い方のコツ

早速解説していきます。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
楽譜に書き込みながら読み進めると効率的です。

音取りに不安がある場合、まずはしっかりとパート練習を行いましょう。

こちらの記事(【5ステップ】質の高いパート練習の進め方|PL経験者のノウハウ公開)もご参照ください。

パート練習の進め方
【5ステップ】質の高いパート練習の進め方とコツ|経験者のノウハウ公開この記事では、パート練習をどのように進めたらよいか分からないという方に向けて、5つのステップ解説しています。パート練習でのチェックするべき項目や、パートリーダーとしての心がけに関してもまとめていますので、中級者以上の方にとっても有益だと思います。質の高いパート練習を行いたい方はご覧ください。...

【練習番号A】16分音符のタテを合わせよう

6小節目~【A】としました。

『春に』の全体的な特徴として、16分音符がフレーズの歌い出しとなっていることが多いウです。

こういった細かい音符はタテ(タイミング)がそろいにくいので注意が必要です。

  • 子音を早めに発音すること
  • 母音をしっかり鳴らすこと

この2点を意識して歌いましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
リズムをしっかり合わせましょう。

【練習番号B】fに向かって1つ目の山を作ろう

15小節目~【B】です。この曲で最初のf(フォルテ/強く)が登場します。

”さけびとなって”でクレッシェンド・デクレッシェンドがあり、そこが頂点となっています。

ここを見据えてメンバー全体で音楽の山を作りましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
「どこが頂点か?」をみんなで共有するのも大切です。
強弱記号に関してはこちらの記事(【まとめ】音楽の強弱記号を解説|クレッシェンド/piu・menoなど網羅)も参考にしてください。

【練習番号C】転調の繊細な色合いを表現しよう

26小節目~【C】です。♭がたくさんついて転調しています。

ここでのポイントは転調の繊細な色合いを表現することです。

和音・調の変化を感じつつ、安定したピッチ(音高)で歌えるようにしましょう。

また、音量にも注目です。pp(ピアニッシモ/とても弱く)となっていますね。

柔らかいタッチで歌えると良いと思います。

”よろこびだ~”からは【C】後半のフレーズです。

  • 掛け合い(タイミング・歌詩)
  • 【D】のfに繋がる大きなクレッシェンド
  • accel.(アッチェレランド/だんだん速く)

これらの要素を重点的に練習しましょう。

えすた@指揮者
えすた@指揮者
変化の激しい聞かせ所です。

【練習番号D】中盤の大きな山を歌い切ろう

38小節目~【D】です。

fで滔々(とうとう)と歌い上げる中盤の大きな山となっています。

豊かな音量をキープして歌い切りましょう。

また、アウフタクト(【D】手前の歌い出し)のテヌートがついた音符は一つひとつ溜めて、しっかり鳴らしましょう。

【練習番号E】細かい歌詩を自然に歌えるようにしよう

47小節目~【E】です。冒頭の場面の再現部となっています。

この部分の特徴は日本語の抑揚に沿って細かい音符が使われていることです。

16分音符や3連符が多くなっていますよね。

したがってなるべく言葉を「話すように(parlando的に)」歌うのがポイントとなります。

リズム読みと言って、音をつけずにリズムと言葉だけを練習する方法がとても有効です。

【練習番号F】充実したユニゾンにしよう

61小節目~【F】です。

ここでffが登場し、最後の大きな山を迎えます。

ポイントは次の2点です。

  • ”なって”のテヌート
  • ”こみあげる”のユニゾン

それぞれ歌い方の工夫が必要です。

ユニゾンはソプラノ・アルト・男声が同じ音を歌いますので、お互いに良く聴き合ってしっかり声を合わせましょう。

まとめ:曲を大きくとらえて音楽的な山場を意識しよう

ポイントを振り返っておきます。

『春に』歌い方のコツ
  • 【A】16分音符のタテを合わせよう
  • 【B】fに向かって1つ目の山を作ろう
  • 【C】転調の繊細な色合いを表現しよう
  • 【D】中盤の大きな山を歌い切ろう
  • 【E】細かい歌詩を自然に歌えるようにしよう
  • 【F】充実したユニゾンにしよう

特に大切なのは、序盤・中盤・終盤で出てくるfです。

これらの音楽的な山場を意識し、そこに向かって盛り上げられるように練習してみてください。

全体練習(アンサンブル)のポイントについてはこちらの記事(【ポイント6つ】全体練習(アンサンブル)をまとめる方法|合唱指揮者が解説)で解説していますので合わせてご覧ください。

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