こんな疑問に答えます。
この記事では合唱のパート分けをするときの3つのポイントを解説します。
先に結論を書いてしまうと、1番大切なのは「そのパートの音域が楽に歌えるかどうか」です。
パート分けはとても大切です。
- その人が気持ちよく合唱に参加できるかどうか
- 合唱団としてよい演奏ができるかどうか
これらのことに大きく関わるからです。
もくじ
【3つのポイント】合唱のパート分け方法
パート分けをするときのポイントは次の3つです。
- そのパートの音域が楽に歌えるかどうか
- 話し声の高さ(あくまで目安)
- パートの人数バランス
最初に書きましたが、この中で一番大切なのは「そのパートの音域が楽に歌えるかどうか」です。
他の2つはあくまで補助的な基準と考えてもらってよいと思います。
ポイント1.そのパートの音域が楽に歌えるかどうか
ポイントの1つ目は「そのパートの音域が楽に歌えるかどうか」です。
合唱指揮者である清水敬一さん監修、『必ず役立つ合唱の本』から引用します。
ファ・ファ♯・ソの音が楽に歌える場合、女性ではソプラノ、男性ならばテノールがよいでしょう。
ミまでは出るがファが歌いにくい場合、女性ではメゾソプラノ、男性ならバリトン。さらにミ♭が歌いにくい場合、女性ではアルト、男性ではバス、とパート分けします。引用:清水敬一『必ず役立つ合唱の本』(2013年)
つまり、高い「ミ♭~ソ」の歌いやすさでパート分けをすればよいということです。
初心者方の場合、おすすめは「ド~レ」で分けること
ただ、前述の方法にはちょっと難しいところもあるかなと思います。
初心者の方をはじめ、日常的に歌っていない人にとって「ミ♭~ソ」はかなり高い音域になるんですね。
例えばソプラノやテノールのパートになるべき人であっても、「ソ」の音は結構苦しいと思います。(合唱経験があってもスムーズに歌うのに苦労する人は多いはずです。)
同様に、「ミ♭」くらいの音でも、声の低い人だと「全く出ない…」という人もいます。(こちらもかなり多いと思います。)
以上の理由から、個人的には「ド~レ」くらいをパート分けの基準にするとよいのではないかと思います。
このあたりなら無理なく歌える人も多いからです。
逆にこの音域が歌いにくい人はアルトやバスに入ってもらうと良いでしょう。
高音はトレーニングで伸ばしやすい
こんな風に思われるかもしれません。ですがおそらく大丈夫です。
高音域は練習を重ねるとだんだん楽に出せるようになってくることが多いからです。
ですので、ひとまず「ド~レ」くらいの音域が歌えれば、ソプラノ・テノールとしてやっていけるかと思います。
これより高い音「ソ~ラ」はトレーニングを積めば出せるようになっていくと思います。
ポイント2.話し声の高さ(あくまで目安)
話し声の高さ(聞いたときの印象)も1つの判断基準となります。
ただしあくまで目安にしましょう。
明るい声だからソプラノ、暗い声だからアルトという決め方ではなく、歌いやすい音域でパートを決めましょう。
引用:清水敬一『必ず役立つ合唱の本』(2013年)
実際のところ、話し声を聞いていると「この人の声は何となくソプラノっぽいな」「アルトっぽいな」と思うことはあります。
この予想はだいたい当たるのですが、歌ってみてもらうと話し声が低いわりにはすごく高い声が歌える人もいますし、その逆の人もいます。
このように話し声の印象と歌声とが結構違うこともよくありますので、結局は歌ってもらって音域を確かめるのが大切かと思います。
ポイント3.パートの人数バランス
パートごとの人数バランスも考える必要があります。
いくつかのパートがバランスよく歌ってこその合唱だからです。
「パート分けをしたらほとんど全員ソプラノになってしまった!」となると困りますよね。
その人の声の適性に合ったパートを担当してもらうというのがベスト、というのは繰り返している通り。
ですがメンバーのバランスも考えないと、そもそもパートがそろわない、ということになってしまいます。
パート分け当時はソプラノが少なかったのでソプラノに入ってもらったけど、後々バランスが改善されたのでアルトに変更、というようなこともあると思います。
(補足)低めの音が出る人材は貴重
パート分けをしていると、中には「高い音も低い音も歌えるな」という人も出てきます。
そんなときはひとまずアルトやバスといった低声に入ってもらう、という考え方はあると思います。
低音は音楽を支える機能があるため、アルトやバスには声の存在感が必要です。
ですが、低音がバリバリ歌える人というのは少ないんですね。
そのため、少しでも低音が歌える人は貴重な人材となります。
その他の理由として、高音はトレーニングで出るようになりやすいものの、低い方はなかなか伸ばしていくことが難しいということが挙げられます。
パート分けが重要な理由【合唱人生を左右するかも】
その人の本来持っている声とパートの音域が乖離してる(合っていない)と、次のような悪い影響が起きます。
- 声が出にくい
- 喉を傷める(無理に歌ってしまうから)
- 上達しにくい(声が出にくいから)
- 楽しくない
このようにパート分けに失敗するとに本人にとっても合唱団にとってもマイナスが大きいです。
なのでパート分けは慎重に行いましょう。パート分け後に「ちょっと違うかも?」となった場合には柔軟に変更することも必要かもしれません。
パートの決め方に性格は関係ある?
というような疑問もあると思います。
私自身は本質的にはあまり関係ないと思っています。分けるときにはそれほど意識していないです。
ですが実際、「このパートはこんなキャラの人が多いな」と感じることはあります。
これは性格でパートを決めているというより、パートで練習しているうちにそれっぽいキャラに染まっていく、というということがあるのかもしれません。
そういう意味では例えば大学で初めて合唱をするという人に対しては、ちょっと配慮してもよいのかもしれません。
入るパートの雰囲気になじめるかは大事だからです。逆にあまりにパートのキャラに馴染めないとちょっと辛いですね。
(経験談)本来はテノールだけどバスになった話
私自身は本来テノールだと思いますが、高校の合唱部ではバスでした。
低い音が歌える人があまりにおらず、私はちょっとなら出たため配属されたのだと思っています。(全体の人数も少なかったし。男の新入部員は3人。)
でも正直言って結構しんどかったですね。低い「ファ」とかほぼ出なかったです。
大学で合唱するときは絶対テノールが良かったので、パート分けのときもそんな雰囲気をウワーッと出してました。
それが伝わったのが無事テノールへ。楽しかったです。
まとめ:【3つのポイント】合唱のパート分け方法
パート分けでの3つのポイントを振り返っておきます。
- パートの音域が楽に歌えるかどうか
- 話し声の高さ
- パートの人数バランス
繰り返しになりますがこのなかで一番大切なのは「パートの音域が楽に出せるかどうか」です。
ただし、パートの人数バランスが極端に偏ってしまうと練習が大変になります。
合唱パート全般の知識に関してはこちらの記事(【まとめ】合唱パートに関する基礎知識・ノウハウ【初心者・PL向け】)にてまとめています。あわせてご覧ください。
「合唱コンクールに向けて練習している!」という方はこちら(【まとめ】合唱コンクール完全攻略ロードマップ|3ステップで解説)を読むと役立つと思います。