『今、咲き誇る花たちよ』はコブクロによる楽曲。
NHK「ソチオリンピック」、「パラリンピック」のテーマソングとしても有名です。
この記事では西條太貴による合唱アレンジバージョンについて、練習・演奏のポイントを詳しく解説しました。
ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
合唱曲『今、咲き誇る花たちよ』練習・演奏のポイント
楽譜に記載されている練習番号(【A】【B】…)に沿って解説していきます。
【A】ユニゾン・ハモリのフレーズを知っておこう
【A】はAメロの場面です。
最初の4小節、10~13小節まではソプラノ、アルトともにメロディーで、全く同じ音を歌うユニゾンとなっています。
それに対し、14~15小節はアルトがハモる音を歌うようになります。
このように、「どこがユニゾンで、どこがハモリなのか」を分かっていると、素早く音取りができますし、釣られることも防げます。
ユニゾンの箇所は音がピッタリとひとつになるように。。
ハモリのところは、アルトの人はソプラノに釣られないように気をつけながら、きれいなハーモニーになるように歌いましょう。
【B】パートの役割を意識して
【B】はAメロの繰り返しです。
18~21小節までは男声がメロディーとなります。「自分たちが主役」という意識を持って積極的に歌いましょう。
その間、女声は”lu”の歌詩で、男声のメロディーを装飾して引き立てるような役割になります。
一生懸命歌いすぎると、主役の男声をかき消してしまう恐れがあるので、少し控えめに歌ってみましょう。
22~25小節では、主役がソプラノに戻ります。
男声は”はてなきだいちに”まではソプラノと同じ音でメロディーを歌い、”あいがめぶくように”ではハモることを知っておきましょう。
アルトは”だいちに”の歌詩でずれて歌います。
このときソプラノは音を伸ばしているので、アルトが少し目立っても良いところです。
【C】フレーズの変化を感じて
【C】からBメロに入ります。
最初の主役はメロディーを歌うアルトです。
音に注目すると、ダブルフラットがついています。これによって和音が変化し、暗い響きになっています。少し切ない響きになっていることを感じてみましょう。
30小節からは今度は男声がメロディーです。
そして32小節からアルト、そしてソプラノと合流していき、さらにクレッシェンド(だんだん強く)で盛り上げていきます。
こうして【D】のサビの場面に繋げましょう。
最初は切なく、だんだん盛り上げて、という雰囲気の変化を感じて歌ってみてください。
【D】ブレスとフレーズ感が大切
【D】からはサビとなります。
音量はf(フォルテ/強く)ですから、しっかり歌って盛り上げましょう。
大きく歌うために大切なのはブレス(息継ぎ)です。
【D】に入る直前(”ねをはれ”の後)、の8分休符でタイミングを合わせて深く息を吸いましょう。
この8分休符はサビのためのブレスであると同時に、ブレイク(音のない瞬間)でもあります。
楽譜を見ると、合唱パートだけでなく、ピアノパートの休符となっていることが分かると思います。
ここでブレイクがあるために、【D】に入ってからのfが際立つという訳です。
【D】に入ってからは休符が無いので、どこでブレスを取ったら良いか難しいと思います。
そこで、2小節単位でフレーズ区切ってみましょう。
- “いまさきほこるはなたちよ”
- “てんたかくはばたけ”
- “あいすべきこのせかいを”
- “いろどうように”
このようになります。
これらのフレーズのまとまりの中では息継ぎを避け、フレーズとフレーズの間でするようにしてください。
こうすることでメロディーや歌詩が細切れになることなく歌えます。
ただし、フレーズの間が大きく空きすぎるのも変なので、ブレスは出来るだけ短く、瞬間的に取れるようにすると良いでしょう。
※もし可能なら、4小節単位のまとまりで捉えると、より歌詩の繋がりを意識できるでしょう。これはプレイヤー全員で統一されていればどちらでも構いません。
【E】ピアノが主役!
【E】はピアノによる間奏です。
sempre f(センプレ フォルテ)というのは、「ずっと強く」の意味になります。
まさしく、「ここはピアノが主役だよ!」と楽譜が言ってくれているようですね。
メロディーは【D】のサビと同じですので、それと同様のフレーズ感(2小節単位または4小節単位)を意識してみてください。
【F】ハーモニーをよく感じて
【F】は再び間奏となりますが、【E】とは雰囲気が異なることが分かると思います。
ここは一時的にですが、変ヘ長調へと転調が起こっているのです。
ダイナミックにコードが展開していく聞かせどころなのですが、その反面、音も難しくなっているので気をつけましょう。
ソプラノ・アルトの入りは、その直前のピアノの動きを良く聴き、そこから自分の歌うべき音がイメージできるように練習しましょう。
男声も同様に、直前のピアノや、ソプラノ・アルトを聴いて入れるようにしてください。ソプラノの「ㇱ♭」を聴くと入りやすいと思います。
【G】静かな雰囲気を作ろう
【G】は再びBメロです。
音量に注目するとmpとなっています。
「少し弱く」の意味で、『今、咲き誇る花たちよ』の中では小さい方の音量です。
ピアノパートはpで、しかも動きが少なくなっているため、【G】はこれまでと比べると、かなり静かな場面となっています。
“ちるひもかれるひも”という歌詩に合わせて静かな雰囲気が作れるように、イメージして歌ってみてください。
その後のクレッシェンドが大切なのは【C】と同様です。
【H】リズムのズレをアピールしよう
再びサビの場面となります。
これまでと大きく違うのは93~94小節の”たぐりよせかけぬけたみちを”のフレーズです。
これまでは3パートで歌詩を歌うタイミング(=タテ)が揃っていたのに対し、ここでは入るタイミングがそれぞれずれています。
まずは、自分のパートで遅れずに入れるように、しっかりタイミングをつかみましょう。
その上で、ずれて入ったことが聞いている人にクリアに伝わるよう、アクセントの付いている音をはっきり目に、目立たせて歌いましょう。
“たぐりよせ”のt、”かけぬけた”のk、”みちを”のmなど、言葉の1文字目の子音を強調すると、歌詩の掛け合いをアピールできます。
【I】メロディーの受け渡しを意識しよう
【I】はサビの繰り返しになります。
95~96小節はこれまで通りソプラノがメロディーです。
ですが、97~98小節ではアルトがメロディーとなり、ソプラノはその上でハモる役割となります。
つまり、ここでメロディー担当のパートが切り替わるのですね。
続く99~100小節は引き続きアルト、101小節からは再びソプラノがメロディーになります。
パートが変わってもメロディーはひとつながりになるように、受け渡しを意識しながら歌ってみてください。
【J】強弱のメリハリを意識して
【J】が合唱パートの最後の場面です。
強弱は【I】から継続してpiu fです。piuは記号の強調するため、piu fは「fよりもっと強く」という意味になります。
よりパワーアップしたfと捉えると良いと思います。
曲の前半では、サビには普通のfが使われて来ましたが、曲のラストはよりいっそう盛り上げて欲しいということで、piuが使われているのです。
111小節まできたらmfになります。
ここでいったん音量を抑えることで、その後に続くクレッシェンドでダイナミクスレンジ(音量の幅)がしっかり取れるようになります。
そのためこのmfは、これまでより弱くしようと思うのではなく、これからのために力を溜める、というイメージで捉えると良いと思います。
【K】最後の場面の雰囲気づくり
【J】を歌いきった後、短いデクレッシェンドが書かれています。
実はこれがとても重要です。
ここでしっかりフレーズの熱量を収めることで、ピアノの後奏に流れを引き継ぎ、終わりの雰囲気に繋げられるのです。
ピアノは合唱から流れを引き継いだら、最後に再びクレッシェンドして、アクセントで締めましょう。
ラストは少しだけrit.があっても良いように思います。
まとめ
ポイントをまとめておきます。
- 【A】ユニゾン・ハモリのフレーズを知っておこう
- 【B】パートの役割を意識して
- 【C】フレーズの変化を感じて
- 【D】ブレスとフレーズ感が大切
- 【E】ピアノが主役!
- 【F】ハーモニーをよく感じて
- 【G】静かな雰囲気を作ろう
- 【H】リズムのズレをアピールしよう
- 【I】メロディーの受け渡しを意識しよう
- 【J】強弱のメリハリを意識して
- 【K】最後の場面の雰囲気づくり
全体的には、場面ごとの雰囲気やフレーズの変化をよく感じ取って歌うことがポイントになると思います。
さらに詳しく知りたいことがあれば、お問い合わせなどからお気軽にご連絡ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。