こんな疑問に答えます。
結論としてはどちらでもOKです。
どちらにもそれぞれメリットと注意点がありますので、今回はそれについて解説したいと思います。
「これが正しい!」という訳でなく、自分に合ったやり方を選ぶのが大切です。
記事の後半では合唱指揮者歴5年の筆者が実際どうしているのかとその理由についても触れています。
もくじ
合唱指揮者が「歌う」メリットと注意点
まずは「歌う」場合について解説します。
メリット【表現の幅が広がる】
指揮をするときの表現手段としては腕の動き・体の状態・息づかい・顔の表情などが使えます。
指揮者自身が「歌う」ということも、その中の一つ。
「歌う」ことで指揮の表現の幅を広げられる可能性があります。
「腕や体だけでは伝えきれない!」という場合は必要になってくると思います。
注意点【あくまでも指揮が先、歌が後】
忘れてはいけないのが「指揮が先、歌が後」ということです。
これは言い換えると次のような流れになります。
- 指揮者が音楽を示す
- それに反応したプレイヤーが歌う
しかしながら、指揮者が「歌う」ときは「今流れている音楽に合わせて歌う」ということになってしまいがちです。
これは「歌が先、指揮が後」の状態です。逆になってしまっていますね。
「歌う」場合でも、指揮は音楽に合わせて腕を動かすことではないことを忘れないようにしましょう。
合唱指揮者が「歌わない」メリットと注意点
続いては「歌わない」場合です。
メリット【指揮の動きに集中できる】
指揮者が本番でやるべきことは想像以上に多いです。
- アインザッツを示す(フレーズの入り)
- 音のニュアンスや音量を示す
- ポリフォニーの振り分け、キュー出し
- テンポ変化の指示
- ピアノとのアンサンブル
- などなど…。
これらのことを「歌う」のと同時に行うのはなかなか大変です。
「歌う」ことで指揮の表現力をアップできると先ほど述べましたが、場合によっては腕の動きがおろそかになり、逆にニュアンスの乏しい棒になってしまう恐れがあります。
「歌わない」場合はそれがないので、腕の動き・体の動きに集中できるというわけです。
注意点【テクニックだけが独り歩きしないように】
「歌わない場合」のメリットは腕の動きに集中できることですが、指揮法のテクニックだけが独り歩きしないように注意しなければいけません。
- フォルテだから大きく振ろう
- スラーだから平均運動を使おう
- テンポが緩むから分割しよう
これらのことはバトンテクニック的には正しいのですが、楽譜の表面的な意味だけを追ってはいけません。
「(自分は)こんな音楽にしたい!」という心の動きが必ず伴うようにしましょう。
私自身は「歌わない」派。理由は両立できないから
冒頭でネタバレしましたが、私自身は「歌わない」派です。
やっぱり腕の動きと歌うことが両立できないからですね。
あとはポリフォニー、つまりメロディーが複数ある掛け合いの部分ではそもそも歌えなかったりもします。
(次の歌詩を示したりはたま~にします。)
体力がもたないかも…というのも理由です。
指揮者が歌えること自体は練習で役立つ
では指揮者は歌えなくてもよいか?というとそうでもありません。
指揮者が歌えることは練習のときに大いに役立つからです。
例えば「こんな感じで歌って!」ときにお手本を示せたりします。
言葉で「こんな感じ」と伝えるだけだと、人によって受け止め方が違ってくることがあります。
合唱はたくさんの人でするものなので、言葉を選んでも理解のばらつきがある程度起きてしまいます。
ですがそうなると、みんなが違った歌い方をしてしまうので合唱をまとめるのに時間が掛かってしまいます。
そこで歌って示せると、微妙なニュアンスの表現が欲しいときでも一発で伝えることができます。
まとめ:合唱指揮者は歌っても歌わなくてもOK。自分に合ったスタイルで振ろう
まとめです。
結論としては歌っても歌わなくてもOKです。
メリット・注意点を踏まえつつ、実際に練習したり本番を経験したりして自分のスタイルを確立していってください。
ただし「歌わない」場合でも次の音楽をしっかりとイメージしたブレスを取ることは欠かせません。
詳しくは【影響大】なぜ指揮者のブレスが重要なのか【源泉は音楽のイメージ】で書いています。
その他、指揮に関することは【まとめ】初心者のための指揮法完全ガイド|合唱指揮者が基礎から解説でまとめていますのでぜひあわせてご覧ください。