信長貴富

《ポール・エリュアールの三つの詩》(詩:P.エリュアール/曲:信長貴富)を解説!

「信長貴富さんの《ポール・エリュアールの三つの詩》ってどんな曲集?」

そんな疑問にお答えします!

《ポール・エリュアールの三つの詩》の概要

正式タイトルは無伴奏混声合唱のための《ポール・エリュアールの三つの詩》です。

ポール・エリュアールはフランスの詩人。

エリュアールと言えば「Liberte(自由)」という詩が有名で、プーランクが曲をつけています。(《Figure humaine(人間の顔)》より。ダブルコーラスの大曲・名曲です。大変難しい。)

この曲で使われている「自由」はまた別の詩ですが、フランスを代表する詩人の作品を用いるというのは、信長さん自身にとっても結構チャレンジだったのではないかなと想像しています。

エリュアールの作品から、自由・平和・愛をテーマにテキストを選ばれたそうです。

巻頭言(楽譜の前書き)を読み比べると、近い時期に作曲された《等圧線》、《イーハトーボ農学校の春》よりもだいぶん厳しい文体です。先ほど述べた詩人・詩への挑戦、そして時代・社会への厳しい視線を感じます。
《ポール・エリュアールの三つの詩》の概要
  • 作詩者:P.エリュアール
  • 初演:岩手県立一ノ関第一高等学校・附属中学校音楽部(2015年7月)
  • 全曲の演奏時間:約10分
  • 編成:無伴奏
  • 言語:日本語
  • 難易度:上級
  • レパートリー:演奏会、コンクールなどに

《ポール・エリュアールの三つの詩》の収録曲

全3曲。divisiが多く、かなり難易度の高い作品となっています。

《ポール・エリュアールの三つの詩》の収録曲
  1. 『自由』(訳:安東次男)
  2. 『わたしは孤独ではない』(訳:木島始)
  3. 『メッセージ』(訳:安東次男)
詩はすべてエリュアールによるものですが、曲によって訳詩者が異なります。

《ポール・エリュアールの三つの詩》の特徴

多声部を用いた重厚な和声、およびパーツ化されたフレーズによって音像を描き出す手法は、《ガルシア・ロルカ詩集》に近い音楽語法と言えるのではないかなと思っています。

(《ガルシア・ロルカ詩集》はパナソニック合唱団のキャパシティが想定されているため、よりボリューミーな印象はありますが。)

合唱団からするとかなりフィジカルやスタミナ面で大変そうですが、それだけ演奏効果は高い作品となっています。