このな疑問に答えます。
合唱には歌詩があります。大きな魅力のひとつですよね。
この記事では次のことを解説しています。
- 歌詩・言葉を伝えるために気をつけること
- どんな練習すればよいのか
演奏を聞いていて「何を歌っているのかよく分からないな」ということは多いです。
そんな演奏になってしまわないよう、この記事の内容をぜひ取り入れていただければと思います。
もくじ
前提:言葉を伝えることが大切な理由
まずは前提として、合唱においてなぜ言葉を伝えることが大切なのかについて触れておきます。
理由1.詩も合唱音楽の魅力の一部
1つ目の理由は、詩も合唱音楽の魅力の一部だからです。
合唱に触れていない人にとって、詩人の書いた詩に触れるという機会はどれくらいあるでしょうか?
詩というのは、きっと多くの人にとって中学・高校の授業で習ったけどそれきり、ということが多い思います。
一方で合唱に触れる人は、例えば5曲歌えば5つの詩に触れることになります。
こうして身近なものとして文学に触れる。素晴らしい経験であり、この点が合唱音楽の魅力の一つです。
合唱を聴く人にとっても、詩を味わう経験をしてもらえるよう、言葉をしっかり伝えられるようにできるとよいですよね。
理由2.歌詩によって聴く人の気持ちに訴えられるから
2つ目の理由は歌詩によって聴く人の気持ちに訴えられるからです。
音楽を聴いて「感動した!」という経験をされたことがある人は少なくないと思います。
やっぱり音楽には力があるというか、人の心を動かしてしまうものですよね。
合唱においては音そのものだけでなく、詩の力も借りて聴く人の気持ちに訴えかけることができます。
人の心に感動を与えるって素晴らしい活動です。でも並大抵のことではありません。
歌詩を伝えることができれば、その大変さを歴史に残る詩人が助けてくれるのです。心強いではないでしょうか。
理由3.言葉が音楽的な効果を担っているから
3つめはややテクニカルな理由。言葉が音楽的な効果を担っているからです。
合唱音楽においては、メロディーやハーモニーだけでなく言葉の音声(響き)そのものが音楽的な要素として用いられることがあります。
簡単な例で言うと、「lu lu lu」、「lan lan lan」というように歌詩でリズムを作り出すなど。
「そんなの歌詩っていうの?」と思われるかもしれませんが、もっと具体的な日本語がリズム的な要素を生み出すような例もあるんですよ。
しかし、普通に歌っていると言葉はなかなか伝わらない
ここまで言葉を伝える大切さを3つの理由とともにお話してきました。
しかし、ここで問題が。
それは普通に歌うだけでは歌詩や言葉は聴き手に伝わらないということなのです。
普段の会話で自分の話した言葉が相手に伝わらない、ということはあまりないかと思います。
しかし合唱においてはそうではありません。
仮に全員が同じ歌詩を歌っていたとしても、人数が増えた分、言葉の響きの輪郭がぼやけ、非常に聞き取りにくくなっています。
「何を歌っているのか分からなくてなんだかモヤモヤするな~」
というような演奏を聴かれたことも、もしかしたらあるかもしれません。
そうならないために、次の項目からは「歌詩を伝えるにはどう歌えば良いか?」ということについて考えていきましょう。
「言葉を聞こえさせるためにやるべきこと」を何段階かのステップに分けて解説していきたいと思います。
ステップ1.大切な文字をチェックする
言葉を伝えるためにやるべきこと、最初のステップは大切な文字をチェックすることです。
大切な文字、それは言葉の頭(語頭)の文字です。
これだけでもずいぶん言葉のクリアさが違ってきます。
語頭が分かれば歌詩はだいたい伝わる
語頭が大切な理由は、最初の文字が伝わればだいたい何を言っているのか分かるからです。
「最初の文字だけで良いの?」と思われるかもしれませんが、次のメモ欄をご覧ください。
実際に次のように話してみてください。(小さい文字はモヤモヤっと曖昧に話す。)
ごとうがたいせつなりゆうは、
さいしょのもじがつたわれば
だいたいなにをいっているのか
わかるからです。
伝わりましたか?
文章では分かりにくいかと思いますが、話してみると実感できるのではないでしょうか。
「言葉全部が伝わるようにするのはダメなの?」
と疑問もあるかと思います。
特に日本語の場合は全部の文字をハッキリと発音しすぎると逆に言葉が不自然に聞こえたり、メロディーのレガートな表情が失われてしまうことになってしまいます。
語頭のチェック方法…〇をつける
さて、チェックするとは何をすればよいでしょうか?
簡単です。楽譜を見て言葉の頭に〇をつけるのです。
これだけで言葉への意識がずいぶん変わります。
できればパート練習やアンサンブルを始める前に行っておきたいですね。
次のステップにも繋がります。
余裕があれば自分以外のパートもチェックしておくことをおすすめします。
これにより、自分とタテ(タイミング)が揃って歌うのか、ずれて歌うのかが分かるからです。
ポリフォニー(メロディーの掛け合いからなる音楽)の部分では特に効果を発揮します。
ステップ2.子音を立てる/リズム読み
ステップ2は子音(しいん)を立てることです。
子音を立てるとは?
子音というのは、例えば、
- 「かきくけこ」(ka ki ku ke ko)の「k」
- 「さしすせそ」(sa si su se so)の「s」
- 「はひふへほ」(ha hi fu he ho)の「h」「f」
などですね。
この子音をはっきりと発音すること、これを「子音を立てる」と言いますが、歌詩を伝える上では非常に重要です。
ステップ1でチェックした大切な言葉の子音をしっかりと立てて歌いましょう。
子音を立てるのが大切とは言っても、闇雲に強く出せばよいわけではありません。
特に「き」「し」「ち」などは子音がきつくなりすぎる傾向にあります。
ただ大半の子音は聴く側からすると分かりにくいことが多いです。
思い切って発音してみましょう。案外それでちょうど良かったりします。
子音は音符より先に出すのが重要!
子音を立てる上で大切なのは、そのタイミングです。
書かれている音符の前で子音を発音します。
音符が書かれている場所で子音を言うのでは遅いのです。
子音は「リズム読み」で練習
いきなりメロディーを歌いながら子音を立てるのが難しい場合はリズム読みをやってみましょう。
ピッチ(音の高さ)は無しで、リズムに乗せて歌詩だけを読む方法です。
この練習で、リズムと子音を立てるべきタイミングを掴みましょう。
リズム読みは、リズムが細かくて掴めない場合の練習としても効果を発揮します。
ステップ3.母音を響かせレガートに歌う/母音唱
ステップ3は母音を響かせレガートに歌うこと。
言葉を伝えつつきれいにメロディーやハーモニーを作るためには不可欠な項目です。
母音に気をつける理由
子音だけでは音高が無いのでメロディーになりません。母音の響きが必要になります。
ですが子音を立てることに気を取られると、今度は母音が響かなくなってくる恐れがあります。
また、子音を立てた言葉に変にアクセントが付いてしまい、レガート(なめらかな)表情を損ねてしまう恐れも出てきます。
子音を立てつつも、母音を良く響かせレガートに歌うことがポイントとなります。
レガートに歌うために「母音唱」
そうは言っても難しい場合には母音唱をするのが有効です。
ステップ2のリズム読みとは逆に、すべてを母音で歌う方法です。
例えば
- 「あけましておめでとうございます」
ならば、
- 「あえあいえおええおうおあいあう」
と歌います。
このように練習することで、子音に邪魔されることなく母音の響きとレガートに集中することができます。
リズム読みと母音唱を繰り返して、子音を立てて、かつレガートな歌を目指しましょう。
言葉を伝えるための練習として、子音と母音に分け、それぞれを練習してから元通りの歌詩に戻して歌ってみましょう、というお話でした。
しかしこの方法にも弱点はあります。
子音を立てること・母音を響かせることに気を取られるあまり、言葉の自然な抑揚を失ってしまうことです。
このあたりの処理をどう解決するかについては少し難しくなるのでまた別に書きたいと思います。
まとめ:歌詩(歌詞)・言葉をはっきり伝えるためのコツと練習法
それではまとめです。
歌詩・言葉を伝えるためのステップは、
- 大切な文字をチェックする
- 子音を立てる
- 母音を響かせレガートに歌う
でした。
子音を立てつつも母音の響きとレガートさを保つことがポイントであり、習熟すべきポイントです。
歌い方全般のコツをはこちらの記事(【合唱初心者必見】歌い方・発声のコツを総まとめ【上達スピード向上】)でまとめてますので合わせてご利用ください。