こんにちは!
今回は大岡信作詩・木下牧子作曲、混声合唱組曲《方舟》より『方舟』の紹介です。
曲調や難易度、曲の魅力・鑑賞のポイント、演奏・練習のポイントなどについて解説したいと思います!
この曲を知らなかった人、これから聴いてみたい人、これから歌ってみたい人のお役に立てば幸いです。
それではどうぞ!
もくじ
『方舟』ってどんな曲?
まずは『方舟』という曲について、「この曲知らない!」「初めて知った!」という人のために、作詩者・作曲者、難易度、曲調についてざっくりと紹介します。
作詩は大岡信、作曲は木下牧子
『方舟』は全4曲からなる混声合唱組曲《方舟》の4曲目、終曲です。
作詩は大岡信、作曲は木下牧子になります。
難易度は…中級~上級
『方舟』の難易度は、中級~上級程度です。
終曲ともあってボリューム感もありますし、豊かな声量が必要とされる上テクニカルなフレーズも多く、歌いこなすはなかなか至難です。
音そのものは意外とシンプルなようにも思うのですが…。
曲調は…音の奔流! 全編4分の5拍子拍子に貫かれた大胆な楽曲
『方舟』という曲は、まず全編に渡り4分の5拍子に貫かれているという部分が非常に大胆です。
書かれてから数十年経ちますが、今でもなかなか類を見ない作品だと思います。
非常に力強い音量で歌われ、さらにテンポの速さやピアノパートの音型と相まってまるで音の奔流のような曲です。
『方舟』の魅力について語る!
続いては『方舟』という曲を、「聴いたことある!」「これから聴く!」という人に向けて、曲の魅力や鑑賞のポイントについて語っていきたいと思います。
最初から大迫力! 高速の5拍子に乗り遅れるな!
曲の大きな特徴でもある4分の5拍子。
4拍子などと違い、不安定で急き立てるような間の短さがあります。
初めて聴いた時は「想像よりも一拍早くフレーズが始まる!」となんて感じました。
次から次へと本当に息つく間もなく音楽が展開していきます。
リズムを刻むピアノパートと散りばめられた言葉
中盤からはピアノの音型がリズムを細かく刻むように変化します。
合唱パートも変化。それまではタテが揃ったtutti的な部分が多かったのが、短いフレーズの掛け合い中心になっていきます。
まるで言葉が宇宙空間に散りばめられているような印象です。
激しさを増す言葉と音楽
”血の帯”、”憎悪”など歌詩の内容も激しさを増し、音楽的にもエスカレートしていきます。
男声・女声による掛け合いを中心として音楽が進む中で、要所でのtuttiが強烈なアクセントになっています。
ピアノパートの振り下ろすような音型にドキリとさせられますね。
語りかける部分からドラマチックな盛り上がり! コードにも注目
この曲で唯一穏やかな曲想の部分も聴きどころです。
初めはテンポを落としたpでゆっくりと語りかけるように。
ピアノパートの8分音符が期待感を高め、次第にaccel.とcresc.で大きく盛り上げていきます。
音量をfに戻してのロングトーンは短9度の入った軋むような和音(E-9)。
嘆きというか叫びというか、そんなサウンドです。
再現部ではさらにテンポを上げて! 怒涛の結末
再び冒頭のフレーズが再現されますが、テンポが4分音符=184から4分音符=200に上がっています。
ここで加速することで音楽にさらなる説得力を持たせているように思います。
終結部では迫り来るように何度も歌詩が繰り返され、暴力的な和音のロングトーンによって幕を閉じます。
怒涛のクライマックスです。
まとめ:『方舟』(大岡信/木下牧子)
それではまとめです!
混声合唱組曲《方舟》より『方舟』でした。
音の奔流・怒涛で聴く者を圧倒するような力強さが魅力。
全編5拍子という大胆さ・斬新さで未だに古さを全く感じさせない作品です。
組曲《方舟》は他の曲も解説しておりますので、是非お読みください。
今回はここまで。お読みいただきありがとうございました!