山崎朋子

合唱曲『変わらないもの』練習・演奏のポイント|優しく曲を締めくくろう

『変わらないもの』解説

この記事では合唱曲『変わらないもの』の練習のコツ・演奏のポイントを詳しくまとめています。

卒業式などにもぴったりの曲です。指導する際の参考にしていただければと思います。

ぜひ最後までご覧ください。

『変わらないもの』の練習番号

練習を始める前に次のように練習番号をつけておきましょう。

  • 【A】6小節~ “あなたがいて”
  • 【B】14小節~ “とおく”
  • 【C】24小節~ “きみとであった”
  • 【D】37小節~ “これからもずっと”

練習番号はどこから練習を始めるかを伝えるために役立つだけでなく、曲全体の構成を理解する助けとなります。

『変わらないもの』練習・演奏のポイント

『変わらないもの』解説

ここからは先ほどつけた練習番号に沿って解説していきます。

【A】8分音符を丁寧に歌おう

【A】はユニゾン、つまりソプラノ・アルト・男声が全員同じ音でメロディーを歌います。

しっとりと落ち着いた、語りかけるような場面です。

このフレーズを歌う際に気をつけたいのが、言葉のはじめとなる8分音符です。

[注意したい8分音符の例]

  • なたがいて”
  • たしがいて”
  • りかえれば”

下線部はそれぞれの言葉の1文字目となっています。この文字をしっかり伝えることができると、歌詞全体を聞き取ってもらいやすくなります。

それぞれ少し低い音となっているので、少し歌いづらいかもしれませんが、だからといって力んだりしてしまうと、音がバラけてかえって伝わりづらくなってしまいます。

低くても丁寧に、を意識して歌いましょう。

【B】クレッシェンドを活かそう

【B】の場面で忘れてはいけないのが18小節に書かれているcresc.(クレッシェンド/だんだん大きく)です。

じわじわと盛り上げていくことで、“こころのなかに”の力強いフレーズ(ここで更にクレッシェンドが書かれています)、さらに続く【C】のサビ的な場面につなぐような役割があります。

このクレッシェンドは点線で21小節まで繋がっているため、かなり長い期間に渡っています。

こういった場合、記号が書かれている場所で一気に大きくしてしまうと、後半で息切れしてしまうことが多いです。

最初は小さめに歌い、後半まで余力を取っておくことが長いクレッシェンドでのコツです。

【C】充実した響きを作ろう

【C】からはサビ的な場面。盛り上げて充実した響きを作りたいですね。

そのためのポイントは次の2点です。

  1. fでしっかり大きく
  2. ハーモニーを豊かに

1. fでしっかり大きく

【C】の音量はf(フォルテ/強く)です。

【B】の場面のクレッシェンドを活かして、しっかりと歌いましょう。

2. ハーモニーを豊かに

もう一つのポイントはハーモニー。

【A】ではユニゾン、【B】では2声でしたが、【C】ではソプラノ・アルト・男声の3声がそれぞれ別の音を歌っています。

【B】は3パートでハモっているように見える部分でも、実はソプラノ・男声が同じ音を歌っていることが多いため、実質2声のハーモニーが主体です。

そのため、和音の響きが非常に豊かな場面となっているのですね。

ハモるときのコツは、「自分の音をしっかり取ること」「自分以外の声もよく聴きながら歌うこと」を両立することです。

慣れないうちはつられてしまったり大変ですが、練習を積み重ねることでできてくるはずです。

【D】優しく曲を締めくくろう

【D】はコーダで曲全体を締めくくる場面です。

記号の確認をしておきましょう。

まずmeno mossoは「これまでより遅く」の意味で、これまでよりテンポをゆっくりにする指示です。

そして、”ずっと“で伸ばすところにはデクレッシェンド。「だんだん小さく」の意味です。

優しい雰囲気で曲を追われるように、イメージを持ってこれらの記号を表現してみてください。

ポイントの振り返り

  • 【A】8分音符を丁寧に歌おう
  • 【B】クレッシェンドを活かそう
  • 【C】充実した響きを作ろう
  • 【D】優しく曲を締めくくろう

「もっと詳しく解説してほしい!」という場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡いたください。補足・追記いたします。