fの読み方は「フォルテ」、意味は「強く」です。

楽典の本などではここまでで終わってしまうことが多いですが、この記事では、

  • 歌う時に気をつけること
  • 他の記号との違い
  • 指揮の振り方

といった点まで深堀りしていきます。

音楽表現を深めるためにきっと役立つはずですので、ぜひご覧ください。

あらためて、fの読み方と意味

あらためて、読み方と意味を確認しておきましょう。

  • 読み方…フォルテ
  • 意味…強く

fは演奏する際の音量を表す強弱記号の一つ。これが出てきたときは、強く、あるいは大きな音で演奏します。

他の強弱記号との大小関係は「p < mp < mf < f < ff」となります。

fで歌うときのコツ・注意

fが出てきたときの歌い方のコツや注意点について触れておきたいと思います。

しっかり大きく歌う

fの意味は、「強く」ですから、当たり前のようですが、まずはしっかりと歌いましょう。

fが登場するのは曲の中でも盛り上がる場面・フレーズであることが多いと思います。

でも丁寧に

一方で、大きな声を出そうとするあまり雑な歌い方にならないよう、丁寧さをキープすることが大切です。

特に、以下のようなことに気をつけましょう。

  • 良い発声を保つ
  • 周りの声を聴いてよく合わせる
  • 乱暴で騒々しい感じにならない

fで歌う際にも、合唱の基本を忘れないことが大切です。

どんなfなのかを想像して

fで歌うことに慣れてきたら、さらに踏み込んで「どんなfで歌いたいか」ということを考えてみましょう。

例えば、

  • アクセントを伴った硬いアタック感のあるf
  • たっぷりとした息で、レガートで歌うf
  • 怒ったような迫力のあるf
  • 言葉(歌詩)に力強さと説得力を伴ったf

など、一口にfと言っても色々な可能性があります。

ぜひ楽譜を深く読み込んで、想像力を巡らせてみてください。

また、そのfの曲全体の中での位置づけ、つまりそのfがどんな場面で出てくるものなのかという点も重要です。

fが書いてあるところは、曲中のクライマックスになることが多いです。ですから、その前の場面で、そこへ向かって「持っていく」という意識が必要なことが多いです。

また、fが終わった後は静かな場面になることが多いでしょうから、そこをどのように歌うのかも合わせて考えたいポイントです。

関連する記号の整理

fと似た記号、関連する記号を紹介・整理しておきましょう。

mf

mf(メゾフォルテ)の意味は「少し強く」で、fよりも小さく、mpよりも大きな音量を表します。

f系の記号に属しますから、基本的には積極的な表現がふさわしいことが多いです。

ff(fff・ffff)

ff(フォルティッシモ)の意味は「とても強く」で、fよりもさらに大きな音量を表す記号です。

さらに記号を重ねた、fff(フォルティッシッシモ/フォルテ・フォルティッシモ)や、ffff(フォルティッシモ・フォルティッシモ)のような記号もあります。

当然、重ねた分だけ大きな音量を表します。

ffまでならそれなりの頻度で登場しますが、ffffはよほどのことがなければ出てきません。(が、限りなく少ないというほどもなく、時々目にします。)

piu・meno

これらはfの記号と合わせて登場する記号です。

それぞれ、

  • piu f(ピウ・フォルテ)…fより強く
  • meno f(メノ・フォルテ)…fより弱く

という意味になります。

大小関係では、一般に「mf < meno f < f < piu f < ff」のようになります。

一見して、このような記号を使う必要があるのだろうか、と思われるかもしれません。しかし逆に言えば、わざわざ使ってまで伝えたい作曲者の意図が楽譜には込めれているのです。

どんな意図があるかは、曲や場面によって異なりますから、都度楽譜を読み込んで、想像力を働かせて何かしらの結論を見出していくことになります。これが楽譜の「解釈」です。

「解釈」するというステップは音楽を作っていく上でとても大事なステップです。書いてあるからその通りに演奏する、というのではなく、「この記号を使うことで、作曲家はどのような音楽を表現したかったのだろう」ということにまで思いを巡らせてみてください。

poco

poco(ポーコ)は「少し」ですから、poco fと書かれていたら「少し控えめのフォルテ」という意味になります。

mfmenofと似ていますね。実際のところ、演奏する際の音量は近いものになると思います。

ですが、重要なのは先ほど述べたように楽譜・記号の「解釈」です。「fよりは控えめに」と書いた理由、あるいは「mfとは書かなかった理由」を考えてみることが大切です。

指揮の振り方

楽譜にfの記号が出てきたときにはどのような指揮の動きをすればよいでしょうか。

大きく次の2通りの方法があります。

  1. 図形の大小
  2. 腕の緊張感

実際には、これらを含めた様々な要素がプレイヤーに影響を与えますが、ここではシンプルに紹介したいと思います。

1. 図形の大小

まず一つ、基本的なfの表現方法として「図形を大きく振る」という方法が考えられます。

腕を振り上げる高さや、横幅を大きく取ることで、大きな音量を指揮する動きになります。

フレーズに入る前の予備運動で、大きくブレスを取ることを忘れないようにしましょう。

2. 腕の緊張感

2つ目はは、「腕の緊張感」、つまり「力の入れ具合」を利用する方法です。

力の入った腕をプレーヤーにアピールすることで、大きな音量を引き出します。音量だけでなく、激しいクレッシェンドやアクセント的なニュアンスを付帯させることもしやすいです。

指揮をする際には、先ほど紹介したようなテクニックを踏まえた上で、「どんなfで歌ってほしいか」というイメージをしっかり持つことが重要です。

例えば、「アクセントを伴った硬いアタック感のあるf」であれば、腕にはやや力を入れ、鋭く叩くような動きが適しているかもしれません。

「たっぷりとした息で、レガートで歌うf」の場合、腕はある程度脱力させ、大きく滑らかな平均運動~しゃくい的な図形を用いると表現しやすいと思います。

「怒り」のような感情を伴う場合は、腕だけでなく、全身・表情を用いることが必要になるでしょう。

このように、その時の音の出のイメージを明確に持つことが大事です。それが予備運動・ブレス・腕や体の状態に反映されると、表現力ある指揮になると思います。

【具体例】実際の曲に出てくるfと解釈

実際の曲ではどのように使われているかの具体例を見てみましょう。

次第に盛り上がるパターン

『旅立ちの日に』

まずは卒業式などでよく歌われる『旅立ちの日に』(作曲:坂本浩美)を見てみましょう。

この曲ではまず歌い出し”しろいひかりのなかに”はmp、次に出てくるメロディー”かぎりなくあおい”はmf、さらに次のメロディー”ゆうきをつばさにこめて”はfの記号がつけられています。

つまりこの曲は、静かに始まり、次第に盛り上がっていくという音楽の流れとなっていることが分かります。Aメロ、Bメロ、サビの構成になっていると捉えても良いでしょう。もちろんfはサビで登場します。

このようなパターンは中学生向けのレパートリーでは非常によく見られます。

『あなたへ―旅立ちに寄せるメッセージ』

もう一曲、『あなたへ―旅立ちに寄せるメッセージ』(作曲:筒井雅子)を見てみましょう。中学生・高校生に非常に人気のあるレパートリーです。

Aメロにあたる”はくもくれんににた”はmp、Bメロにあたる”たびだってゆくのですね”はmfとなっています。

そして”あいとなみだ”から始まるサビのフレーズはやはりfとなっています。『旅立ちの日に』と同じく、だんだんと盛り上げていくパターンの構成となっていることが分かります。

加えて、ここでは”(力強く)”という日本語の指示も書かれており、「どんなfで歌うか?」ということへのヒントにもなりそうです。

『あなたへ―旅立ちに寄せるメッセージ』では、サビのフレーズが何度も何度も繰り返されながら盛り上がっていく構成になっています。

それが表れているのが61小節のアウフタクトに書かれたpiu fの指示です。それだけでなく”(かがやいて)”という日本語の指示もあり、「ここからもう一段ギアを上げて!」という作曲者の強い意図が読み取れます。

いきなりfで始まるパターン

先ほどの例では、どちらかといえば曲の後半にfが出てくるパターンでした。

今度は逆に、いきなりfで始まる曲を見てみましょう。

『時の旅人』

『時の旅人』(作曲:橋本祥路)では、前奏のピアノパートでいきなりffが登場します。音にも厚みがあり、雄大な雰囲気を感じさせます。

その後、デクレッシェンドして音量を小さくしていくことで合唱の歌いだしが導かれます。小さくなるとはいっても、依然としてfであり、非常に堂々とした歌い出しとなります。

その次のフレーズではmfとなります。強弱のコントラストをしっかりつけたいところですが、あくまでmfなので積極性を失わないほうが良いでしょう。

『はじめに……』

2000年のNコン高校の部課題曲の『はじめに……』(作曲:松下耕)も、冒頭のfが効果的に使われている曲です。

力強い音量と、輝くような和声がfで奏でられた後、”ほしがあった”…とpで歌われますが、この対比が非常に印象的です。

ラストにfが来るパターン

曲の終わりにff系の記号)が出てくるパターンの曲を紹介したいと思います。

『大地讃頌』

『大地讃頌』ではクライマックスの”ははなるだいちを ああ”のフレーズが非常に有名ですが、ここはfffで歌われています。カンタータ《土の歌》の全七楽章の最後の場面にふさわしい音量記号と言えるでしょう。

このように、クライマックスシーンで使われる場合、fffffなど、より豊かな音量が要求されることが多いです。

ちなみに、前半を締めくくるフレーズである”その立つつちにかんしゃせよ”ではmf、男声がmaestosoで歌う”われらひとの子の”はff、そのカウンターラインである女声の”恩寵のゆたかな”はfというように、f系の記号が使い分けられている点にも注目したいポイントです。

『地球へのピクニック』

同様の例として、『地球へのピクニック』(作曲:三善晃)を挙げてみたいと思います。

この曲のラストのフレーズ、”(ここへかえってこよう) ここへ”ではffffの記号が使われています。聴いたことのない方は、ぜひこの圧倒的な盛り上がり、高揚感を体験してみてほしいと思います。

ffff自体はそう簡単に使われる記号ではないのですが、『地球へのピクニック』のポピュラーさゆえ、見かける頻度は意外と少なくないように感じます。

なお、このクライマックスへと繋がる助走は100小節の”ここで あついおちゃをのもう”のfから始まっている訳ですが、続く”いっしょにすわって”ではpiu f、”すずしい”ではff、113小節の”ここで”ではfffと、段階的に大きな記号が使われています。

終わりに

ご覧いただきありがとうございました。

fとそれに関連する記号を実践例にも触れつつ、私なりに深堀りしてみました。

その他の記号についての記事も順次作成していきたいと思いますので、お楽しみに。