こんな疑問に答えます。
音程というのは音と音との離れ具合のことです。
この記事では音程の数え方(○度)や、それが楽譜上ではどんな見た目になるのかについて解説します。
また音程の知識を身につけるメリットや、音取りや練習で活かせる練習方法も紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。
もくじ
音程とは?【音の離れ具合のこと】
音程の意味は次の通りです。
- 音程(おんてい)…音と音の離れ具合、へだたりのこと
「家から学校までこれくらいの距離」というのと同じように、「音がこれくらい離れている」と表すことができます。
音の離れ具合は「度」という言葉で数えます。
音楽の練習をしていると、「正しい音よりも低くなってるよ」という意味で「音程が悪いよ」と言われることがあると思います。
本来、音程というのは音の高さそのものではなく、音と音との離れ具合をのこと。なのでこれは間違った言い方です。
ただし実際のところ「音程が悪い=ピッチ(音の高さ)が悪い」という言い方が広く浸透しています。
伝わるのであれば良いと思いますが、
- ピッチ…音の高さそのもののこと
- 音程…音と音の離れ具合のこと
であることは心の片隅に置いておいておきましょう。
音程の度数(数え方)【よく出てくるもの一覧】
ここからは音程の数え方(度数)を解説します。
楽譜もあわせて紹介するので、どんなふうになるか見てみましょう。
1度の音程
五線譜上で同じ高さにある音どうしの音程は1度となります。
特に、全く同じ音のことを完全1度と呼びます。
どちらか一方に♯や♭がついていると同じ音ではなくなりますが、それも1度の仲間です。
そういったときは増や減という言葉で区別しますが、登場することは少ないです。
2度の音程
五線譜上で隣となる音は2度と言います。
半音と全音がありますが、どちらも2度の仲間です。
- 半音…短2度
- 全音…長2度
3度の音程
五線譜上で1つ飛ばしの関係(今なら「レ」を飛ばす)になるのが3度です。
- 間隔が狭い場合…短3度
- 間隔が広い場合…長3度
このように区別します。
【補足】和音の中の3度
3度の音程は和音の個性(明るい・暗い)の決め手になります。
2つの和音を聴いてみましょう。
違いは真ん中の音です。それぞれ根音(「ド」の音)から数えたときの音程が違います。
- 短3度の場合…暗い響き
- 長3度の場合…明るい響き
このようにガラリと印象が変わることが分かると思います。
4度の音程
楽譜上で2つ飛ばし(今の場合は「レ」「ミ」)の音程を4度と呼びます。
- 基本…完全4度
- 半音広い場合…増4度
このように、4度の場合は長・短ではなく完全・増という言葉で区別します。
5度の音程
楽譜上で3つ飛ばし(今の場合は「レ~ファ」)の音程を5度と呼びます。
- 半音狭い場合…減5度
- 基本…完全5度
- 半音広い場合…増5度
6度の音程
5度よりさらに離れた音程が6度です。
- 完全5度+半音…短6度
- 完全5度+全音…長6度
短6度と増5度は同じ音程となります。
7度の音程
6度よりさらに離れた音程が7度です。
完全5度を基準に数えると分かりやすいです。
- 完全5度+短3度…短7度
- 完全5度+長3度…長7度
8度の音程
いわゆる1オクターブの音程です。
全く同じ音のとき完全8度と呼びます。
2どのときと同じように、どちらか一方に♯や♭がついていると同じ音ではなくなりますが、それも8度の仲間です。
そういったときは増や減という言葉で区別しますが、登場することは少ないです。
音程をつかんでおくことのメリット
「音程のことを知るとどう役立つの?」という疑問を持つ方もいると思います。
音程の感覚をつかんでおくと次のようなメリットがあります。
- (初見で)メロディーが分かる
- (初見で)ハモリが分かる
メリット1. (初見で)メロディーが分かる
初めての曲を練習するとき、ピアノなどで弾いてメロディーを覚えると思います。
音程を楽譜から読み取ることができると、この段階でショートカットすることができます。
例えば「次のフレーズは6度の跳躍だな」ということが楽譜から分かり、その離れ具合が感覚としてつかめていると、楽器がなくても次の音をたどれますよね。
メリット2. (初見で)ハモリが分かる
楽譜を見たときに「どんなハーモニーになりそうか」ということが分からない人は多いです。
音程の感覚をつかんでいると「ここは長3度になっているから、こんな音になるはず」とイメージできるようになります。
これができるとアンサンブル(合わせの練習)のときに「今は楽譜通りのハーモニーになったな」「ここは間違っていたな」と分かるようになり、正しい音を素早く取れるようになります。
音程の感覚をつかむ練習法
「じゃあどうやったら音程の感覚がつかめるの?」という人に向けて、簡単な練習方法も紹介しておきたいと思います。
メロディーの練習
次のように歌ってみましょう。
ひとまず2度~5度までの練習を紹介します。
2度の練習
- 「ドーレードーレードー」(長2度)
- 「レーミーレーミーレー」(長2度)
- 「ミーファーミーファーミー」(短2度)
- …
3度の練習
- 「ドーレーミーレードーミードー」(長3度)
- 「レーミーファーミーレーファーレー」(短3度)
- 「ミーファーソーファーミーソーミー」(長3度)
- …
はじめの「ドレミ」で「ド」と「ミ」の感覚をつかむのがポイントです。
4度の練習
- ドーレーミーファーミーレードーファードー(完全4度)
- レーミーファーソーファーミーレーファーレー(完全4度)
- ミーファーソーラーソーファーミーラーミー(完全4度)
- ファーソーラーティーラーソーファーティーファー(増4度)
- …
はじめの「ドレミファ」で「ド」と「ファ」の感覚をつかむのがポイントです。
「ファ」→「ティ」が増4度、他は完全4度となります。
5度の練習
- ドーレーミーファーソーファーミーレードーソードー(完全5度)
- レーミーファーソーラーソーファーミーレーラーレー(完全5度)
- ミーファーソーラーティーラーソーファーミーティーミー(完全5度)
- …
かなり離れてきましたが「ド」→「ソ」の幅をしっかりつかみましょう。
続けていくと「ティ」→「ファ」という幅が出てきます。ここだけが減5度で他は完全5度となります。
ハモリの練習
先ほど紹介した音階の練習を2人でやることでハモリの練習ができます。
- Aさん:最初の音で伸ばす
- Bさん:音階を歌う
このように歌ってみましょう。
2度の練習
- Aさん:「ド」
- Bさん:「ドーレードーレードー」(長2度)
Bさんが「レ」で歌ったときに2度のハーモニーとなります。
「レーミーレーミーレー」「ミーファーミーファーミー」でも同じようにやってみましょう。
3度の練習
- Aさん:「ド」
- Bさん:「ドーレーミーレードー」(長3度)
Bさんが「ミ」まで来たときに3度のハーモニーとなります。
4度の練習
- Aさん:「ド」
- Bさん:「ドーレーミーファーミーレードー」(完全4度)
Bさんが「ファ」のときに4度のハーモニーとなります。
5度の練習
- Aさん:「ド」で伸ばす
- Bさん:「ドーレーミーファーソーファーミーレードー」
Bさんが「ソ」までくると完全5度のハーモニーとなります。
まとめ:音と音の幅をつかんでおくと合唱が上手くなる
音程について振り返っておきましょう。
- 音程(おんてい)…音と音の離れ具合、へだたりのこと
音程の感覚をつかんでおくと次のようなメリットがあります。
- (初見で)メロディーが分かる
- (初見で)ハモリが分かる
感覚をつかむ練習方法として非常に有力なのが移動ドです。
詳しくは【入門者向け】移動ド(階名)唱法とは|固定ド(音名)との違いも解説で解説しているのであわせてご覧ください。