練習・演奏のポイント

『IN TERRA PAX(地に平和を)』の練習・演奏のポイント

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組曲『IN TERRA PAX』より『IN TERRA PAX(地に平和を)』(混声三部版)の練習・演奏のポイントをまとめました。

現在、簡易バージョンにて公開しています。(2025/06/01)
『IN TERRA PAX』(作詩:鶴見正夫/作曲:荻久保和明/音楽之友社)を参考にし、本文中で歌詩などを引用する場合には「””」で示しています。

『IN TERRA PAX』の練習・演奏のポイント

【A】

豊かに華々しく歌う場面です。
練習のポイントとなるのはやはりハーモニーではないかと思います。
アカペラ(ピアノ伴奏なし)で、またテンポを落として一つ一つの和音を感じながら、確認しながら練習しましょう。

言葉の面で気をつけたいのは”あい”です。音符が短いので響きが乗らず、潰れた母音になりやすいです。丁寧に歌うことを心がけましょう。
“In terra pax”はラテン語ですね。”terra”が「地」、”pax”が「平和」です。
日本語では特に語頭の子音が大切ですが、外国語ではそれと並んで語尾の子音も大切になります。
この場合だと”pax”の”x”がそうです。しっかり入れたい音になりますが、次の”ちきゅう”が遅れないように拍内で処理することが必要です。

【B】

【A】がタテ(各パートの歌うタイミング)がそろったホモフォニーの音楽だとすれば、【B】の場面は3パートがそれぞれずれてメロディーを歌うポリフォニーの音楽です。
ポリフォニーではいくつかポイントがありますが、ずれるメロディーの入りをクリアに歌うことがそのうちの一つです。

ここでは”さあ”のsの子音をうまく使いましょう。
また、”deciso”(意志的に)と書かれています。これに関しても、sの子音を始め、”さあ”の歌い方に込めたいところです。

26小節~は”brillante”(ブリランテ/輝かしく)のアルトが主役です。音量差もはっきりと書かれていますが、単純に大きい小さいだけでなく、アルトが主役で、ソプラノ・男声は背景というような、音楽の全体像をイメージすると良いと思います。

【C】

ここもパートがそれぞれ掛け合うポリフォニー的な音楽ですが、【B】よりもさらに深い色合いで、少しミステリアスな雰囲気も感じられます。
mpで始まり、クレッシェンドしてf、そして【D】へと繋がっていきますので、そのような流れも頭に入れておきましょう。
46小節~はリズムの対比、51小節などは強弱とテンポの変化(poco riten.)を効果的に。

【D】

基本的に【A】と同様ですが、56小節~からはどのパートがメロディーを歌っているかを意識しておくと良いでしょう。強弱記号で示されています。

【E】【F】

【B】【C】と同様に、ポリフォニーの歌い方と情景のイメージが大切です。
また、歌詞が異なるのでその点はしっかり伝えたいところ。ただし、母音のレガートな流れを妨げることがないように注意が必要です。

【G】

【A】【D】と同様ですが、ffとなっているので、より響きの豊かさが求められます。
ここで一層盛り上げられるよう音楽全体の構成や体力配分を考えておきましょう。
109小節からは”ラララ”によるポリフォニーになります。16分音符の音の粒がクリアに出るよう、母音は明るく。

ラストの”In terra pax”は特に重点的にハーモニーを確認しておきましょう。盛り上げることとと母音の輝き、ハーモニーの美しさをそれぞれ両立する必要があります。
このあたりもアカペラで確認したい部分です。

また、最初に書いた通り”pax”のxが大事なので、最後でしっかりそろえられるよう、指揮も含めて練習しておきましょう。