こんな方に向けた記事です。
合唱において、上質な演奏をするにはきちんとポイントを押さえて練習することがとても大切です。
この記事では合唱曲『はじまり』の歌い方のコツについて、合唱歴10年以上・合唱指揮者歴5年以上の筆者が詳しく解説します。
この記事を読みながら練習に取り組めば、確実にワンランク上の演奏を目指すことができるはずです。
次の練習番号に沿って解説していきます。
- 【A】1小節~
- 【B】20小節~
- 【C】30小節~
- 【D】42小節~
- 【E】53小節~
- 【F】63小節~
- 【G】71小節~
- 【H】85小節~
- 【I】91小節~
- 【J】100小節~
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もくじ
合唱曲『はじまり』歌い方のコツ
早速解説していきます。
音取りに不安がある場合、まずはしっかりとパート練習を行いましょう。
こちらの記事(【5ステップ】質の高いパート練習の進め方|PL経験者のノウハウ公開)もご参照ください。
【A】アカペラ部分は十分な練習が必要
冒頭、【練習番号A】です。
『はじまり』はアカペラ(無伴奏)から曲が始まります。
歌い慣れていないことも人も多いと思うので、この部分を十分な練習が必要だと思います。
次のようなことに気をつけてみてください。
- 耳をしっかり使って響きを聴きながら歌う
- 同じ音の連続で音が下がらないように(特に男声)
- 自分たちで音楽を進める(ピアノが進めてくれないので)
ピッチが下がってしまうと9小節目でピアノが正しい音を鳴らしたとき、大きな違和感を生じてしまいます。
【B】6/8拍子に乗って言葉を伝えよう
20小節目~【B】です。
ここから快速な6/8拍子となります。
まずはこのテンポ感・リズムに乗り遅れないようにすることが大切です。
その上で歌詩を伝えるために言葉の頭の子音をはっきりと発音しましょう。
【強調したい子音】
- ”せなか”…s
- ”ちへい”…ch
- ”みつめ”…m
- ”くも”…k
- ”ほし”…h
この中では”ほし”のhが特に届きにくい子音となっています。
【C】音量でくっきりとしたコントラストをつけよう
30小節目~【C】です。
ここでは強弱の表現に注目してみましょう。
最初の4小節分はf(フォルテ/強く)。その後デクレッシェンドしてmp(メゾピアノ/少し弱く)になります。
f→mpというのはかなり大きな音量変化です。
この差をしっかり表現できるとコントラストの効いた印象的な演奏になります。
【D】ffの音量でしっかりと伸ばし切ろう
42小節目~【D】です。
長いクレッシェンドの後で特に盛り上がる部分です。
フレーズの終盤ではff(フォルティッシモ/とても強く)が登場し、ロングトーンに入ります。
ここでは音量をキープしてしっかり伸ばし切ることがポイントです。
息が続かない場合はカンニングブレス(ローテーションブレス)を使いましょう。
伸ばしている間、みんなが別々の場所で息継ぎをして入りなおすことで音が切れないようにする方法です。
【練習番号E】男声のハモりはバランスが大切
53小節目~【E】です。
最初の4小節は男声が主役です。
ここでは分かれたときの音量バランスが大切です。
具体的には次のように気をつけましょう。
- テノール…メロディーなのでしっかりと
- バス…ハモり。メロディーラインをかき消さないように
普段は1つのパートとして歌っているものが分かれるので、全体的にしっかり歌うことが必要です。
【F】”まるで”のズレをアピールしよう
63小節目~【F】です。
ここでの聞かせ所は”まるで”で女声がずれて歌う部分です。
ここがきれいに決まると畳みかけるようで非常にカッコ良いです。
アルトが埋もれて聞こえなくなってしまわないようにバランスを調整しましょう。
【G】豊かなハーモニーを聞かせよう
71小節目~【H】です。
ここからのフレーズではずっとタテがそろっており、3パートが同じリズムを歌っています。
部分的に男声が分かれていたりもしており、非常に和音が分厚いところ。豊かなハーモニーを聞かせたいところです。
こういった箇所ではピアノ伴奏をいったん外し、アカペラで練習するのがおすすめです。
これによってハーモニーをより意識して歌うことができるようになります。
ハーモニーの感覚をしっかりつかめたらピアノに入ってもらいます。
【H】ハッとさせる音量変化を作ろう
85小節目~【H】です。
最初に書かれている強弱記号はsub.mp(スビト・ピアノ/急にmpにする)です。
直前でfからクレッシェンドした所ですので、瞬間的に音量を切り替えることで聞いている人をグッと引き込むような効果が得られます。
【I】デクレッシェンドとrit.のバランスをしっかり練習しよう
91小節目~【I】です。
ここで2回目のffが登場します。
【D】との違いは伸ばしながらデクレッシェンドしていくことです。
これらのことを意識して歌いましょう。
- ピッチをキープ
- 響きを暗くしない
- 小さくしていく足並みをそろえる
rit.(リタルダンド/だんだん遅く)もありますので、ピアニストとよく合わせておく必要がある部分です。
【H】堂々としたハーモニーを決めよう
100小節目~【H】です。
最後の和音は曲を締めくくる重要な音です。
ffと書かれると大きく歌うことに気を取られ、お互いに聴き合うことをを忘れてしまいがちです。
そうならないようにしましょう。
和音の構成を確認しておきます。
【最後の和音(D-dur)の構成】
- ソプラノ「レ」…根音
- アルト↑「ラ」…第5音
- アルト↓「ファ♯」…第3音
- 男声↑「レ」…根音
- 男声↓「レ」…根音
「レ」を歌う人が多いですね。同じ音がぴったりとそろうようにするのが和音をきれいに決める第1歩です。
まとめ:歌い方を表す記号の意味をとらえよう
ポイントを振り返っておきます。
- 【A】アカペラ部分は十分な練習が必要
- 【B】6/8拍子に乗って言葉を伝えよう
- 【C】音量でくっきりとしたメリハリをつけよう
- 【D】ffの音量でしっかりと伸ばし切ろう
- 【E】男声のハモりはバランスが大切
- 【F】”まるで”のズレをアピールしよう
- 【G】豊かなハーモニーを聞かせよう
- 【H】ハッとさせる音量変化を作ろう
- 【I】デクレッシェンドとrit.のバランスを良く練習しよう
- 【H】堂々としたハーモニーを決めよう
『はじまり』では冒頭のアカペラ部分、そしてピアノが入ってからの強弱変化が特にポイントとなりそうです。
全体練習(アンサンブル)のポイントについてはこちらの記事(【ポイント6つ】全体練習(アンサンブル)をまとめる方法|合唱指揮者が解説)で解説していますので合わせてご覧ください。