こんにちは!
今回は【必要?】体操の目的とは?|合唱と筋トレを真面目に考えるということで、合唱における筋トレや体操、ウォームアップと言われるような練習の必要性について考えてみたいと思います。
- 「合唱と言えば腹筋のイメージ」
- 「筋トレって必要なの?」
- 「体操ってどんな意味があるの?」
- 「どんなメニューをやればいいの?」
と、いろいろな声があると思いますが、それにお答えできるような内容になればと思います。
また、ふだんやっている筋トレ、ウォーミングアップ、体操あるいは発声練習を見直すヒントにもなるかもしれません。
それではいってみましょう!
もくじ
なんとなくで行われている体操
合唱部や合唱団の練習日、音楽室・練習室に人がわらわらと集まっている状態を想像してみてください。
ここで、「はい、みなさん揃いましたね。それでは早速歌いましょう!」…ということってあんまりないですよね。
だいたいどの合唱団でも発声練習、パート練習、アンサンブルなど、声を出す練習をする前に、なにかしら体を動かすことを行っているかと思います。
このような流れがオーソドックスでしょう。
- 体操(体を動かす)
- ブレス・発声
- パート練習
- アンサンブル
これらのルーティーンのなかで、特に最初の体操の部分に注目してみます。
この体操ですが、そもそもどういった目的で行われているのか、考えたことがあるでしょうか。
実はハッキリとした考えを持たれていない方が多いのではと想像しております。
この記事では、
- 体操をする目的とは何なのか?
- その中で筋トレの位置づけは?
- そもそも体操・筋トレは必要なのか?
ということを考えていきたいと思います。
目的が分かれば効果的なメニュー・注意点が分かる
体操の目的は、
「ハッキリとは答えられないけどなんとなくやった方が良さそう…」
そう思われる方も多いと思います。
私もそう思います(笑)。
何となく良さそうだし、今までやってきているからやる。それでもそう悪いことは無いでしょう。
ただし、問題点もあります。次の2点です。
目的がハッキリしないので、
- どういうメニューをやるのが効果的なのか分からない
- 何に気をつけてやればいいのかが分からない
ということです。
逆に言うと、目的をハッキリさせれば
- どういうメニューを組めば効果的なのかが分かる
- 何に気をつけてやればいいのかが分かる
ということになります。
次からはこの体操なるものの目的について、具体的に考えていきます。
目的によっては、
- こういったことを取り入れた方が良いのでは?
- これはやる意味が薄いのでは?
といったことも見えてくるはずです。
体操の目的は3つある
体操の目的とはなんでしょう? 私なりに考えてみました。
結論から言います。
- 全身のウォームアップ(筋肉・神経への刺激)
- 筋トレ(合唱に必要な筋肉のトレーニング)
- 脱力(喉、舌、肩周り、胸郭、肩甲骨など)
の3つに集約されるのではないかと思います。
一つずつ触れていきます。
1.全身のウォームアップ
まず1つ目の目的は全身のウォームアップです。
合唱においては、体の部位全部が直接声を出すことに結びついているわけではありません。(一見、関係なさそうでも実は…ということがあるのも理解していますが。)
それにも関わらず全身のウォームアップを体操の目的として考えるのはなぜか。
それは、結局のところ全身の筋肉、神経は繋がっているからです。
合唱では声を使います。
声を本格的に出す前にはブレス・声をコントロールする筋肉や神経の働きを活性化すること、すなわちウォーミングアップが必要ですね。
声に関する筋肉・神経は先ほど述べたように全身の筋肉、神経と繋がっています。
そのため声に直接関連する部分だけを取り出してウォーミングアップ行うのは難しいと考えられます。
逆に、全身ウォーミングアップすることで、声に関連する部分も温まってくるということになります。
全身の筋肉・神経→声周りの筋肉・神経→声の順に活性化していく。
これが体操をする1つ目の目的です。
2.筋トレ
体操をする2つ目の目的は筋トレです。(体操というカテゴリに含めず、筋トレそれ自体を独立して扱っても良いかと思います。)
先ほどは声に関する筋肉・神経を温めることの必要性を述べました。
しかしより合唱・発声を上達させていくためには、温めるだけではなく鍛えていくことも必要でしょう。
「合唱の筋トレと言えば腹筋。腹筋をやれば良いの?」
と思われるかもしれませんね。
それについては次の見出しにて触れたいと思います。
3.脱力
合唱を始めて、最初に歌う際に倣うのがこの脱力だと思います。
要するに力を抜くことです。
なぜ脱力が必要なのかというと、詳しくは端折りますが
- 喉を傷めないため
- 自然な声を出すため
- 声をニュートラルな状態にするため
というのが理由となります。
逆説的なようですが、体操をして意識的に体を動かすことで脱力につながります。
力を抜くためにはまず力の入れ方を知らなければ、ということだと思うのです。
そのようなわけで、脱力が体操の3つめの目的となります。
3つ目の
- 声をニュートラルな状態にするため
という点に関しては少し補足させてください。
合唱では「良い声で歌って!」とよく言われます。では良い声とは何でしょう?
私の考える良い声の条件は、
- 声量
- 音高
- 音色
- 発語
という4つの要素を自由自在にコントロールできる声だと思っています。
合唱のゴールは、声そのものではなく音楽だと考えているからです。
自在にコントロールするためには、まず声の状態をニュートラルにすること。さらにそのために必要なのが脱力、と私は考えています。
合唱で使う筋肉(合唱といえば腹筋?)
さて、ここまで体操の目的に関して私の考えを明らかにしてきました。
ここからは2つ目の目的である筋トレに関して、もう少し深めていきたいと思います。
記事のタイトルに『合唱と筋トレを真面目に考える』と書きましたしね。
さて、合唱に使う筋肉とはなんでしょうか?
ここでは本当にざっくりですが述べさせていただきたいと思います。
大きく分けて次の3つ、
- 体幹を支える筋肉
- 息をつくる筋肉
- 声をつくる筋肉
を考えています。
体幹を支える筋肉
体幹、すなわち体全体を支える筋肉です。
大まかにいえば腹筋(腹直筋、腹斜筋など)、背筋(広背筋、脊柱起立筋など)のこととなります。
先ほど、発声の際には脱力が必要と述べました。
脱力したい部位には余分な力が入らないようにする必要があります。
逆にそれ以外の部分はしっかり安定しておく必要があり、それを行うのが体幹を支える筋肉ということです。
息を作る筋肉
呼吸筋と呼ばれたりもします。息を吸ったり吐いたりするための筋肉です。
代表例としては横隔膜。
他にもいろいろあり、体幹を支える筋肉とも共通するものがあります。
もちろん腹筋も使います。
声を作る筋肉
最後に声をつくる筋肉です。以外かもしれませんが、声を作っているのも筋肉なのです。
これらの筋肉は体操で鍛えるというよりは、この次に行う発声練習ですることになりますのでざっと紹介しておきます。
声そのもの(声量)をつくる筋肉
閉鎖筋群といっていわゆるオモテ声を作ります。
ピッチ(音の高さ)をつくる筋肉
輪状甲状筋といって、声帯を引っ張り高い声を作ります。
言葉(子音・母音)をつくる筋肉
口、喉、舌の形や位置を変える筋肉で、母音(ア、イ、ウ、エ、オなど)、子音(k,s,t,nなど)、あるいは音色(明るい、暗いなど)を作ります。
結局、合唱でも筋トレは重要
いろいろありますね!
もう結論はお判りでしょうが、「合唱においても筋トレは重要!」と私は思います。
体操の一環として筋トレを行う場合には、惰性で行わず「今、どこどこの筋肉を使っている」と意識する必要があると思います。
筋トレ、つまり筋肉を鍛えることが合唱をする上で大切とお伝えしました。
ただし、「全身をムキムキにしないと歌が上手くならないよ」と言っているわけではありません。
当然最低限の筋力は必要でしょう。しかし、筋トレには筋力の向上と共にもう一つ効果があります。
それは脳と筋肉の間での伝達を担う神経のトレーニングにもなるということです。
体というのは「動け!」と思ったり、意識したりすればすぐに動くもの、……と思いきや実は必ずしもそうではありません。
たとえ筋力的には十分でも、普段から動かしていないと脳の指令がうまく伝わらず、思うように動かせないということが起こりうるのです。(普段使わない筋肉が鍛えられているということはありませんけどね。)
大きな筋力を必要としない動作であっても、久しぶりにやってみると上手くできなかった、という経験をされたことがあると思います。
合唱・歌を練習していく過程でも、普段使わないような筋肉を使うとことになります。
このような筋肉に関しては、強くするだけでなく、意識を伝えるトレーニングも必要になってくる、ということなのです。
まとめ:体操の目的とは?|合唱と筋トレを真面目に考える
それでは最後にまとめておきます!
この記事で是非お伝えしたかったエッセンスになります。
体操の目的は3つ
なぜ体操をするのか? 私の考えを書かせていただきました。
以下の3つです。
- 全身のウォームアップ
- 筋トレ(合唱に必要な筋肉のトレーニング)
- 脱力(喉、舌、肩周り、胸郭、肩甲骨など)
全身を動かすことから始め、歌うために必要な筋肉・神経を刺激し鍛える。不要な部分は脱力です。
目的を意識して体操に取り組む
体操の目的とは?という部分が明らかになりました。
練習メニューを考えていく際には、これを踏まえることが必要です。
また実際に体操に取り組む際も「今は何を意識して、どこに注意するべきなのか」を考えながら行いましょう。
これを怠ると十分な効果が得られません。
今までは「体操しまーす」という感じで惰性でやってきたかもしれませんが、これからは
- 「体操、まずはウォーミングアップです」
- 「次は体を支える筋肉をトレーニングします」
- 「最後に脱力します」
などという風に、きめ細かい指示出しが有効になるかもしれませんね。
合唱でも筋トレが重要
どのような筋肉が合唱で必要なのか、歌うときに使う主な筋肉についてまとめました。
ざっと書いてもそれなりのボリュームになりましたね。
いかに色々な筋肉が使われているか、改めて実感しました。
良く言われる腹筋はこの中の一つに過ぎないことが分かります。
腹筋を鍛えることは無駄ではありませんが、他にもいろいろ筋肉が必要なんだ、ということは念頭に置いておかなければならないでしょう。
それぞれの筋肉が
- どのように役立っているのか
- どのように鍛えるのか
ということを理解して練習することも大切でしょう。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました!
非常に基礎的なテーマでしたが、なかなかに奥深く、ずいぶん長い記事になってしましました(笑)。
自分は専門家ではないので理解の浅いところ、不適切なところもあるかもしれませんが、その点はご容赦いただければと思います。
ただ、私個人としては体操に意義を見出せましたし、メニューを練り上げる指針にもなりました。
また、実践してみて効果が期待できそうな予感もあります。
みなさまの合唱団におかれましても、普段の練習を見直すきっかけになれば幸いです。