作曲家・木下牧子の代表的な合唱作品を年代別に紹介するシリーズです。
本記事では1991~2000年に初演(または作曲・出版)された作品を集めました。
難易度、初演データなどをまとめていますので、作曲家・木下牧子を俯瞰する資料としても使えるかと思います。簡単に紹介コメントも書いていますので、是非ご利用ください。
- 《地平線のかなたへ》
- 《春の予感》
- 《光と風をつれて》
- 随時追記していきます!
もくじ
ア・カペラ混声合唱のための《春の予感》
個人的にとても好きな曲集で、四季がテーマとなっています。
委嘱した東北大学混声合唱団から
「緑の多い仙台にふさわしく、自然を讃えた歌を」
《春の予感》より
という要望があってのことだそうです。
《春の予感》の概要
テキストは今成敏夫さんの詩画集『風の詩・森のささやき』から取られています。
今成敏夫さんは信州(長野県)、やヨーロッパの風景を書かれておられる方。
《春の予感》の曲を聴き、詩を見たときに「長野っぽいな~、八ヶ岳かな?」と思ったのですが、まさしくその通りなのかもしれません。
- 作詩者:今成敏夫
- 初演:東北大学混声合唱団(1991年6月)
- 演奏時間:約20分
- 編成:無伴奏
- 言語:日本語
- 難易度:中級
- レパートリー:合唱祭、演奏会、コンクールに
《春の予感》の収録曲
全8曲、無伴奏の佳曲が揃っています。
- 『春の予感』
- 『キンポウゲの草むら』
- 『虹』
- 『星の話し』
- 『高原列車』
- 『たそがれ』
- 『冬の小さな旅人たち』
- 『シュプール』
《春の予感》の特徴
《春の予感》の8曲は、春夏秋冬をテーマにした曲が2曲ずつ並べられています。
拍子や調性を変えることで、様々な曲想が展開されています。
四季の描き分けが大変巧みで、私が《春の予感》を好きな理由でもあります。
div.が比較的多く、実は結構歌うのが大変な作品となっています。
混声合唱曲集《地平線のかなたへ》
《地平線のかなたへ》は『春に』を中心に、良く親しまれている作品が収録された曲集です。
もともと『教育音楽』別冊付録のために書き下ろした三部合唱の作品を、出版に当たって四部合唱に書き直したものとなっています。
全曲初演されたのが1992年ですのでこのページに分類しましたが、1980年代後半に書かれた曲も含まれています。
《地平線のかなたへ》の概要
テキストは谷川俊太郎さんの詩から。
中・高校生が歌うのにふさわしい希望に満ちた内容であること
《地平線のかなたへ》より
が念頭あったそうです。
- 作詩者:谷川俊太郎
- 初演:法政大学アカデミー合唱団(1992年12月)
- 全曲の演奏時間:約20分
- 編成:ピアノ付き
- 言語:日本語
- 難易度:初級~中級
- レパートリー:合唱祭、演奏会などに
《地平線のかなたへ》の収録曲
《地平線のかなたへ》は全5曲。それぞれ作曲されたタイミングが異なるので合わせて紹介します。
- 『春に』(1989年)
- 『サッカーに寄せて』(1987年)
- 『二十億光年の孤独』(1992年)
- 『卒業式』(1991年)
- 『ネロー愛された小さな犬に』(1989年)
《地平線のかなたへ》の特徴
もともと中高生向けに書かれた曲ということで、難解さはなく取っつきやすい曲が揃っています。
特に1.『春に』、2.『サッカーに寄せて』、4.『卒業式』は親しみやすく、愛唱曲や合唱祭向けのレパートリーとしても取り上げやすいと思います。
3.『二十億光年の孤独』はテンポが速く、転調を多く含みやや技巧的な内容。
5.『ネロ―愛された小さな犬に』はではdiv.が多用され、5曲の内では一番ボリューム感のある内容となっています。
混声合唱組曲《光と風をつれて》
《地平線のかなたへ》と同じく『教育音楽』に向けて書き下ろした作品を中心にまとめた曲集となっています。
『秋のまんなかで』『あいたくて』『はじまり』の3曲が『教育音楽』のための書き下ろし。
その後新たに加えられたのが『いっしょに』『雨』の2曲となっています。
《光と風をつれて》の概要
テキストは工藤直子さんの詩から。
意識的に中・高校生の声や音域を考慮して作曲してある
《光と風をつれて》より
ということで、難しすぎることなく色々な合唱団で取り上げることのできる作品となっていると思います。
- 作詩者:工藤直子
- 録音:松原混声合唱団(1999年12月)
- 全曲の演奏時間:約16分
- 編成:ピアノ付き、無伴奏
- 言語:日本語
- 難易度:初級~中級
- レパートリー:愛唱曲、合唱祭、演奏会などに
《光と風をつれて》の収録曲
全5曲。1曲目の『いっしょに』のみ無伴奏で、他の4曲はピアノ付きの作品となっています。
- 『いっしょに』(無伴奏)
- 『秋のまんなかで』
- 『雨』
- 『あいたくて』
- 『はじまり』
《光と風をつれて》の特徴
工藤直子さんの詩は言葉づかいが暖かく、読んでいて、または曲を聴いていて大変心が安らぎます。
しかしよくよく読み込んでいくと、口当たりの良い詩句が並んでいるだけでなく、しっとりとした深みも感じられるのがまた魅力的。
木下牧子さんが付けている音楽も、時折ブルーなサウンド(♭系の借用和音など)が感じられて、マッチングが素敵ですね。
【混声編】木下牧子の合唱作品まとめ2(1991~2000年)
1991~2000年に初演(または作曲・出版)された木下牧子による混声合唱作品のご紹介でした。
- 《地平線のかなたへ》
- 《春の予感》
- 《光と風をつれて》
- 随時追記していきます!
随時、作品を追加していく予定です。是非またお越しください。
それではまた!