合唱ってこんな感じ

【初心者向け】外声・内声・高声・低声とは?|合唱パートの呼び方早わかり

内声・外声とは

合唱の練習中、指揮者の人が「次は高声だけで」「外声どうしでよく聴き合って」などと言っているのを聞いたことはないでしょうか。

「それってどういうこと?」と思った方もいるかもしれません。実は、これらは複数のパートをまとめて指すための用語です。他にも「低声」「内声」など、練習でよく使われる呼び方がいくつか存在します。

練習での指示内容をしっかり理解するためにも、こういった言葉はぜひ知っておきたいもの。

そこでこの記事では、それぞれの意味を分かりやすく整理しました。

ぜひ最後までお読みください。

※混声四部合唱のパートで説明します。女声合唱団、男声合唱団に所属されている方は、適宜それぞれの編成におけるパートに読み替えていただけると幸いです。

「女声」と「男声」

まずは簡単なところからいってみましょう。混声合唱の場合になりますが、「女声」と「男声」というまとめ方です。これは分かりやすいですね。使われる頻度も非常に高いです。

  • 「女声」…ソプラノ・アルト
  • 「男声」…テノール・バス

4つのパートがある混声四部合唱において、高い方の2パートであるソプラノ・アルトをまとめて「女声」、低い方の2パートであるテノール・バスをまとめて「男声」と呼びます。

「女声」どうし、「男声」どうしは音域や響きの方向性が近いため、実際の楽曲でも同じ役割を担う場面がよくあります。たとえば「女声」でメロディーをユニゾンで歌ったり、「男声」で和声を支えたりといった形です。

一方で、「女声」と「男声」が別々の旋律を歌い、掛け合いをつくる場面では、両者の音域や音色の差によって、はっきりとしたコントラストが生まれます。

こちらの記事(【SATB】合唱パートの種類と呼び方|混四・混三・女声・男声での違い)でも書きましたが、「女声」「男声」というのは、あくまでパート分けのことを指す言葉であり、実際の性別は問いません。例えば、高い声が出せる「男性」が「女声」を歌ってもかまいませんし、同様に、低い声を出せる「女性」が「男声」を歌うことも問題なく、実際の演奏でもしばしば見られるものです。

「高声」と「低声」

続いて、「高声(こうせい)」と「低声(ていせい)」というまとめ方です。

このようなまとめ方になります。

  • 「高声」…ソプラノ・テノール
  • 「低声」…アルト・バス

つまり、女声・男声それぞれの高い方のパートを「高声」、低い方のパートを「低声」と呼ぶわけです。

ソプラノとテノールは女声・男声の違いこそありますが、ソプラノを1オクターブ下げる、あるいはテノールを1オクターブ上げると、ほぼ重なる音域になります。アルトとバスの関係も同様で、1オクターブずらすと近い高さに並びます。

このため、「高声」どうし、「低声」どうしは似た動きのフレーズを受け持つことが多く、メロディーをオクターブユニゾンで歌う場面などによく使われます。オクターブで重ねることで、旋律はより太く、豊かな響きになります。

逆に、「女声どうし」「男声どうし」で同じ動きをさせると、高音域ではアルトが苦しくなり、低音域ではソプラノが歌いにくい…というように、無理のある音域に入ってしまいがちです。高声・低声の組み合わせは、その点で非常に合理的なまとまり方と言えるでしょう。

また、「高声」は比較的軽やかな音色、「低声」は比較的どっしりとした音色で歌われるため、場面によっても使分けがなされます。

「外声」と「内声」

続いて、「外声(がいせい)」と「内声(ないせい)」という分類です。

  • 「外声」…ソプラノ・バス
  • 「内声」…アルト・テノール

「外声」は最も高い音域と最も低い音域を担当するパート、「内声」はそのあいだを埋める中間のパートと捉えることができます。

ここでいう「声」とは声部、つまりパートのことだと捉えて良いでしょう。SATBの4パートが集まりを1つのかたまり(=四声体)として見たとき、ソプラノとバスは”外側”に位置し、アルトとテノールは“内側”に包み込まれるように配置されるため、このような呼び方をします。

「外声」であるソプラノは主旋律を担当することが多く、音楽の“主役”を担います。バスはベースラインを担当し、和音の土台や曲全体の方向性に大きな影響を与えます。このように、「外声」は音楽の輪郭を形作る役割を持っています。

一方、「内声」の役割はなんといってもハーモニーを作ることです。メロディーを音楽の主役とするなら、ハーモニーはいわば背景。背景は主役よりも目立ってはいけませんから、「内声」パートが担当するのがうってつけです。こう言うと、地味な役割のようですが、ハーモニーはメロディーを引き立たせ、様々な彩りを与える、音楽には欠かせない要素です。

例えて言うならば、「外声」はシュークリームの皮、「内声」はカスタードクリームです。皮だけでは味気ないし、クリームだけでは形を保てません。どちらか一方だけでは、お菓子として、あるいは音楽として成り立たないことが分かります。

「上三声」と「下三声」

音楽理論で用いられることの多い用語です。練習でも耳にすることがあるかもしれません。

  • 「上三声」…ソプラノ・アルト・テノール
  • 「下三声」…アルト・テノール・バス

上三声(じょうさんせい)は、最低音を担当するバスを除いた3つの声部を指します。

和音をどのパートが担当するかという配分(ボイシング)を考えるとき、「上三声 + バス」という構造で理解するとわかりやすい場面がよくあります。

例えば、バスが和音の土台(根音)を歌い、その上に上三声が和音を組み上げていく、といったイメージで捉えると良いでしょう。

下三声(かさんせい)は逆に、メロディーを担当するソプラノを除いた3パートを指します。

練習中に「では下三声だけで歌ってみましょう」と言われた場合、「メロディー(ソプラノ)とハーモニー(下三声)を分けて確認する」という意図があります。

メロディーとハーモニーを切り分けて練習することで、ハーモニーがどのようにメロディーを支え、響きを作っているのかが明確に見えてきることが多いです。

まとめ

この記事では、複数のパートをまとめて呼ぶときに使われる用語を整理しました。

  • 女声/男声…ソプラノ・アルト/テノール・バス
  • 高声/低声…ソプラノ・テノール/アルト・バス
  • 外声/内声…ソプラノ・バス/アルト・テノール
  • 上三声/下三声…ソプラノ・アルト・テノール/アルト・テノール・バス

これらの呼び方を知っておくと、練習の場で指示を受ける側にも、出す側にも役立ちます。
さらに、楽曲を分析するときにも欠かせない概念なので、ぜひ覚えておくと合唱の理解が一段深まります。

自分のパートだけでなく、周りとの関係性を意識できるようになると、アンサンブルの楽しさがぐっと広がりますよ。