「合唱コンクールがあるんだけど、どんな曲を選んだら良いんだろう?」
という方に向けて、校内コンクールで歌える合唱曲を集めました。
合唱歴10年以上で、パートリーダー、指揮者歴もある私えすたが全曲解説させていただきます!
- 『翼をください』
- 『明日という大空』
- 『夢を乗せて』
- 『Let’s begin』
- 『ぼくらの世界』
これら5曲を、
- 難易度…歌唱・伴奏・指揮・作り込みの難しさ
- ドラマ性…ダイナミクスの幅、劇的な展開などがあるか
- キャッチーさ…メンバーが好きになって一生懸命歌ってくれるか
という3つの項目で評価させていただきました。
さらに「どんな音楽を目指せるか?」「どんな音楽を作っていけるか?」という非常に重要なポイントに関してもコメントしています。是非ご参考にされてください。
それではいってみましょう!
もくじ
『翼をください』(同声二部/加賀清孝 編曲)
伸びやかなメロディーが非常にさわやかで、取り組みやすい曲ですね。
前ウタ(Aメロ)とサビの対比が、ハーモニー・音量・伴奏の形でうまくアレンジされています。
同声二部合唱ということですが、
- 上声…女声、下声…男声
あるいは混声四部に分けて
- 上声…ソプラノ・テノール、下声…アルト・バス
としても歌えると思います。
後者はハーモニーに非常に厚みが出そうですね!
1番2番でパートを入れ替えても面白いかもしれません。
https://esutawachorus.com/chorus_part_role/
『翼をください』の評価と理由
- 難易度…
- ドラマ性…
- キャッチーさ…
ユニゾン部分が多いので初めてでも歌い易い作品です。半音的な動きがあり、その点はやや注意が必要。
先ほども述べましたが、アレンジが上手になされており、
- Aメロ→サビ
- mf(少し大きく)→f(大きく)
- 四分音符主体の伴奏→エイトビート
と自然に盛り上がっていくドラマチックさも兼ね備えています。そういった意味では楽譜の記号をしっかり守ることも大切になってくるでしょう。
いわずもがな、非常に親しまれてきた曲ですので、キャッチ―さも高いです。
『翼をください』で目指せる音楽
親しみやすい曲ですので、まずは自分たち(歌う側)がしっかり楽しめると思います。
自分たちが楽しめば、それはお客さんにとってノリの良い音楽として伝わりますので、そういった音楽が目指せますね。
サビの部分では明るくのびやかに歌えば、聴いている方も元気になれそうです。
『明日という大空』(同声二部/橋本祥路 作曲)
ゆったりと流れるような癒しのテンポ感、よくよく聴くとオシャレなコードが魅力の作品です。
前半の滑らかなメロディーと後半の弾むようなリズムの対比もポイントになりそうですね。
『明日という大空』の評価と理由
- 難易度…
- ドラマ性…
- キャッチーさ…
メロディーはシンプルなので歌い易い曲です。シンコペーション(タイでつながった音)にやや注意が必要。
伴奏パートが簡単なようで、実は結構くせもののような気がします。スラーやテヌートの書き方によってフレーズのまとまりが示されていますので、その点も意識されると良いかと思います。

『明日という大空』で目指せる音楽
リズム感の対比、メリハリをしっかりと届けるのがポイントとなりそうです。
前半はゆったり、しっとり目に歌い、fからの4小節は弾むようなリズム感を際立たせて。
続くフレーズ「かがやく」からは再びレガート(滑らかな歌い方)に戻し、たっぷりと聞かせることでドラマチックな音楽を作ることができると思います。
ピアノパートの音型の変化も良く感じ取って、歌い方のヒントにしてみてください。
『夢をのせて』(混声二部/若松正司 編曲)
ニ短調、ロシア民謡を思わせるような、厳しい寒さを感じさせる曲調。なかなか玄人好みな曲かもしれません。
中盤、ヘ長調に転調する場面では、一瞬春の日差しが顔を出したようにも思えます。
『夢をのせて』の評価と理由
- 難易度…
- ドラマ性…
- キャッチーさ…
テンポが比較的速く、歌詩のパートと「ルルル」のパートでずれて歌うので、先ほどの2曲よりは難易度が高めかなと思います。フェルマータやrit.(リタルダンド/だんだん遅く)の処理も必要です。
ドラマ性に関してですが、「ここが一番盛り上がります!」という部分が明確には示されていないので、どこに音楽的な山を持っていくのか考え所です。
例えば、練習番号Cの場面は歌詩が無いものの、コード(ピアノの弾いている和音)がかなりダイナミックに動いていますので、大きく盛り上げてみても面白いかなと思います。
フェルマータで伸ばす部分などはこちらの記事を参考にされてみてください。

『夢をのせて』で目指せる音楽
短調の部分では歌詩と「ルルル」にずれてメロディーを歌いますので、2つのラインが絡み合う音響的な面白さを作り上げる、というのが一つ大切かなと思います。
先ほど盛り上げる箇所として言及した練習番号Cの場面では、厳しい木枯らしをイメージしてみるのも良いかもしれません。
練習番号Bでは、ヘ長調に転調したことによる曲調の変化、サウンドの温かさをしっかりと伝えましょう!
『Let’s begin』(混声二部/松井孝夫 作曲)
初めて聴いたんですが、良い曲ですね!
非常にさわやかですし、いろいろ作り込みがいもあると思います。
『Let’s begin』の評価と理由
- 難易度…
- ドラマ性…
- キャッチーさ…
曲の後半に向かってどんどん盛り上がっていく、非常にドラマチックな構成になっています。
また8分音符を主体にしたメロディーや、カッコ良いコードなども相まって非常にキャッチ―な作品に仕上がっています。
16分音符のリズムや臨時記号が付いたメロディーがやや難しいのと、テヌートやメゾ・スタッカート(テヌート+スタッカートの記号)の歌い方はポイントとなりそうです。
『Let’s begin』で目指せる音楽
全体的にさわやかで前向きな音楽なので、まずは明るく元気なサウンドになるように練習しましょう。
後半に向かって盛り上がっていく構成になっていますので、特にMeno mosso(メノ・モッソ/前より遅く)で一番迫力のあるサウンドになるよう工夫してみましょう。
『ぼくらの世界』(混声二部/富岡博志 作曲)
弾むようなリズムが生き生きと伝わってくる音楽です。
テンポ感も快速で、ノリの良い感じですね。
『ぼくらの世界』の評価と理由
- 難易度…
- ドラマ性…
- キャッチーさ…
テンポが速く、言葉を喋るのになかなか苦労しそうな感じがします。また、一つのフレーズが長いのも難しいポイントです。
fの箇所もあるのですが、メロディーの音域が高くないので盛り上がりを作るという点においては少々大変で、工夫が要りそうですね。
『ぼくらの世界』で目指せる音楽
楽譜に書かれている通り、生き生きとしたリズム感・メロディーをしっかりと伝えましょう。
そして、もう一つ伝えたいのが言葉です。未来・宇宙といったなかなか壮大な歌詩になっていますね。
リズム感と言葉の両立というのはなかなか難しいテーマです。この曲場合ですと細かいリズムで弾むような歌い方になり過ぎると、言葉としては不自然になってしまうおそれがあります。
生き生き感と、ある程度のレガート(滑らかさ)を両立して歌うことが重要でしょう。

まとめ:【全解説】校内コンクールで使える合唱曲一覧1
それではまとめです! 校内コンクールで使える合唱曲の解説シリーズ第1弾でした。
- 『翼をください』
- 『明日という大空』
- 『夢を乗せて』
- 『Let’s begin』
- 『ぼくらの世界』
「この曲、良さそう!」という作品が見つかりましたら是非歌ってみてください。
それではまた別の記事でお会いしましょう!