合唱講座

【転回形・配分(ボイシング)】その意味と響きは?

ハモる感覚を磨く5
この記事の目標
  1. 転回形・配分という用語の意味を知る
  2. 各転回形での響きの違いを掴む
  3. 開離配分・密集配分の響きの違いを掴む

転回形とは? 最低音がポイント

まずは今回の記事のテーマ1つ目。転回形について解説します。

見出しの通り、最低音がポイントです。

基本形…”最低音=根音”の和音

さっそく譜例を示します。例によってハ長調の和音。

C_tenkai基本形と転回形(ハ長調)

まずは一番左にご注目ください。見慣れたハ長調の和音です。低い方からド・ミ・ソの順番に並んでいますね。

それぞれの音の役割を確認しておきましょう。次のようになります。

  • ソの音…第5音
  • ミの音…第3音
  • ドの音…根音

一番左の和音ように、和音のうち一番低い音が根音になっている形を基本形と呼びます。

本シリーズ1回目の記事のタイトルを覚えていますでしょうか?

https://esutawachorus.com/harmony_chord_lesson_1/

三和音基本形とついています。つまり、これまではずっと最低音=根音となる和音を勉強してきたというわけです。

最低音=根音ではない場合はどうなるのか? それが次の転回形になります。

転回形=音の順番を入れ替えた和音

もう一度譜例を見てみましょう。

C_tenkai基本形と転回形(ハ長調)

真ん中の形は、”基本形の最低音=ド”を1オクターブ高くして作ります。

このように和音の中の音を入れ替えることをを転回と言い、基本形から1回だけ転回して作られる形なので第1転回形と言います。

オクターブ違ってもドの音はドのままなので、和音としてはハ長調のままですが最低音が”第3音=ミ”に変わりました。

第1転回形では和音の最低音が第3音となるのが特徴です。

同様に考えて、もう一度転回したのが一番右の和音。第2転回形です。

第2転回形では最低音が第5音となっています。

先ほどは一番音が密集していた場合で基本形転回形を考えました。

それでは通常の混声合唱の譜面のような場合はどうなるでしょうか?

譜例を示してみます。

C_tenkai2四声帯での基本形と転回形

すべてド・ミ・ソから成るハ長調の和音です。

四声帯(普通の混声合唱のような編成)の場合、先の例のように音同士がいつも密集しているわけではありません。したがって、基本形・転回形の判断は最低音が第〇音か?で判断することになります。

”何回転回した”では判断できなくなってくるのですね。

まとめると、

  • 最低音=根音…基本形
  • 最低音=第3音…第1転回形
  • 最低音=第5音…第2転回形

となります。

C_tenkai<評価・記憶>をやってみよう

ここまで三和音を例にしてきましたが、もちろん四和音についても転回形が存在します。

四和音には音が4つあるため、転回形は3種類存在します

譜例を掲げますのでご覧ください。

C7_tenkaiC7(シー・セブンス)の転回形

第3転回形では第7音が最低音に来ることで個性的な響きとなっています。

余力があれば<評価・記憶>もしてみましょう!

私のイメージ:転回形

私のイメージも共有しておきます。参考にしていただければ幸いです。

基本形安定感が強く、どっしりしている。
第1転回形やわらかく、浮遊感がある。もわわ~としている。
第2転回形硬質、金属質な感じ。筋張った感じ。

 

【参考】転回形の利用の実例

実際に転回形が利用されている作品例をいくつか紹介したいと思います。

(準備中です…)

配分とは? 音の離れ具合がポイント

続いては今回2つ目のテーマに参りましょう。配分についてです。

配分は混声四部合唱のような編成において登場する考え方で、和音の構成音をどのように配置するかということを表しています。

例を見てもらった方が分かりやすいと思うのでご覧ください。

haibun開離配分と密集配分

どちらともド・ミ・ソの音が鳴っているのでハ長調の和音です。左右の違いは、内声(アルト・テノール)が歌っている音ですね。

左のようにソプラノ~テノール(バス以外のパート)が歌う音の範囲が1オクターブより広がって配置されている配分を、開離配分と言います。(漢字に注意!)

一方、右のようにソプラノ~テノール(バス以外のパート)が歌う音が1オクターブより狭い範囲に配置されている配分を、密集配分と言います。

例にはありませんが、ソプラノとテノールがオクターブの関係になっている場合には、オクターブ配分と言います。

要するに、バス以外のパートの音が離れているのか近くにいるのかがポイントとなります。

開離・密集配分の響きの<評価・記憶>

それでは実際に配分の異なる和音を聴いて<評価・記憶>してみましょう。

譜例は同じです。

haibun

和音自体は同じですが、微妙な性格の違いを感じ取れるでしょうか。

なかなかマニアックな聴き分けです(笑)。

私のイメージ:開離配分・密集配分

参考までに私のイメージを共有しておきます。

開離配分どっしりとして安定、響きの広がり、重厚感がある
密集配分繊細で、軽い。コンパクトにまとまった感じ。

 

【参考】開離配分・密集配分の実例

学んだことを実践例を通して確認してみましょう。

今回は練習でよくやるカデンツを取り上げてみました。

次に示すのは通常のカデンツの楽譜。

Kadenz_kairi通常のカデンツは開離配分

普段は配分がどうなっているかなんてあまり気にしていないと思いますので、一つ一つ確認してみてください。

ソプラノ~テノールが常に1オクターブより離れていますので開離配分です。全体にダイナミックな和音の響きが感じられます。

ここからソプラノ・テノールの音を入れ替えたのが次の譜例です。

Kadenz_missyu密集配分バージョン

配分を確認してみましょう。ソプラノ~テノールが1オクターブ内に収まっていますので、すべて密集配分です。

軽やかさ、細やかさが感じられる響きになっています。

実際の練習などで取り上げて、響きの違いを確認してみるのも面白いかと思います。

まとめ:和音講座⑤【転回形・配分】

それではまとめです!

今回は【転回形・配分】について学びました。本記事の目標を振り返ってみましょう。

転回形・配分という用語の意味を知る

まずは用語の意味を押さえましょう。

転回形では最低音の役割がポイントでした。

  • 最低音が根音…基本形
  • 最低音が第3音…第1転回形
  • 最低音が第5音…第2転回形

でしたね。

また配分については、ソプラノ~テノールが歌う音の範囲がポイントでした。

  • 1オクターブより広い…開離配分
  • 1オクターブちょうど…オクターブ配分
  • 1オクターブより狭い…密集配分

となります。

各転回形での響きの違いを掴む

転回形において、和音の種類自体は基本形と変わりません。

しかし和音の響きの性格が微妙に変化するのでした。

各自の<評価>をしっかりと振り返っておきましょう。

開離配分・密集配分の響きの違いを掴む

転回形と同様に、開離配分・密集配分でも響きが変化しました。

カデンツの譜例を掲げておりますので、練習の際に是非お試しください。